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性と暴力そして革命。

白石和彌監督作品「止められるか、俺たちを」、監督と井浦新、タモト清嵐の舞台挨拶があるので行ってきましたよ。

監督が二十歳のころ門を叩いたという「若松プロダクション」。故・若松孝二監督の元に集まった若き才能らの群像劇です。ちなみに、若き日の若松監督を演じる井浦新も若松プロの俳優部出身だそうで。

主演は門脇麦。映画監督にはなりたい、でもどんな作品をつくりたいのか分からない。現代の若者の悩みにも通じるような、「ふわり」と懸命に生きる助監督・吉積めぐみを演じます。どの時代も大多数の人はふわりとしているもの、それが普通。やれ「あの時代は輝いていた!」なんて無責任に宣うのは、大抵が思い出横丁でいつまでもたむろしてる老人の戯れですよ。我々は、生きた時代に関係なく、いつだって悩んで怒って歳をとる。

エンターテイメント性はほぼ無し(ただし白石監督演ずる三島由紀夫は最高)。面白いかって言われると微妙。ただ、若松監督およびその周りの面々、そしてその時代への愛が溢れてます。かと言って、ただ美化するのではなく、格好悪い部分もしっかりと描いているあたりは、さすが白石監督と言ったところでしょうか。あと若松作品処女なので、貫通した後に観たらまた印象が変わるのでしょうね。

それよりもですよ。若松プロはどうだか知らないけど、手塚プロといい藤子プロといい、故人の功績をもって飯を食ってるプロダクションって気に入らなくないですか?ん、石原プロもか。

版権管理とかなら理解できるが、その名を拝借して新作を出したりするのが腑に落ちない。才能は一代きり。クリエイティブに跡取りはいないのだから。自分の名前で勝負しやがれってんだ。

…あ、取り乱しました。

本作品、クリエイティブに関わる人間ならば、観て損はないはず。映画が、芸術が「商品」である前にどう存在すべきなのか?映画監督を含めた若いクリエイターは、このパッションを目にして何を思う?


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