4 祖母の話①

 祖母のうちに遊びに行った時、祖母が若かりし頃元第二総軍の作戦部(当時広島市へ業務移管中)を結婚退職?するにあたって贈られた和綴じの寄せ書きを2冊をみせてくれた。1冊は上官から、もう1冊は同僚からのものだった。

 1冊目筆頭は終戦時の高級参謀。送辞と記名と花押が黒々と記されている。「高級参謀」の役職名ひとつとっても、現在はwikiに記載されているから分かることであってやはり73年前(祖母23歳)ははるけき昔なのだという感慨が湧いた。
 「戦後自衛隊の上の方へ行った方もあれば、『自分は戦犯だから』と、引き合いがあっても会社の守衛さんで一生を通した方もあって、それぞれ。もうわたしだけになった」

 2冊目の中身はというと書式が一様ではなく、わたしには判読困難だった。祖母によると「(書いてある内容は)女の人はわりに気楽だけれども、男の人は先を憂いて悲壮よ」
 そんな悲壮なはずの文の書き起こしに「いつも可愛い笑顔で」「貴女のにこやかなたたずまいが」といった賛辞が多く…社交辞令?マドンナ?
 なんとか肝心の本文をざっと読んだところ、悲壮を通り越してまともではいられなかったのだろうなぁ…という印象を受けた。なにしろ原爆をピカドンどころか「パンペロ」と呼び習わすリアルタイムなのだ(パンと爆発した後ペロンと皮膚がはがれたことを爆弾の呼称にしていた…)。

 おばあちゃん、saneに長生きしてくれてありがとう。

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