公務員的オススメ本①〜正しく失敗する〜

読書が好きだ。
2023年は150冊読むことができた。
読書習慣の有無は仕事の良し悪しにかなり影響すると感じている。

今回は公務員目線で刺さった本を紹介する。

失敗の科学

人間にとって自分の失敗を認めることがいかに困難で、いかに重要かを教えてくれる本。

「航空業界」と「医療業界」の失敗への向き合い方を紹介するところから物語は始まる。

どちらも失敗が人命に直結する仕事だ。
しかし、失敗を次に活かそうとする航空業界に対して、医療業界では必ずしもそうではなかった。

手術が失敗し患者が亡くなった場合、執刀医ひとりに大きな責任がのしかかる。
こんな状況で執刀医は自分の非を認めることができるのか?
かくして医療事故の真相はいくつも闇に葬られてきた。

この本を読んでいると公務員の構造的問題を思い起こさずにはいられなかった。

公務員にとって「失敗=税金の無駄遣い」

事業に失敗すれば上司や議員にガン詰めされる。
「我々の血税を何だと思っているんだ!」と言われた日には返す言葉もない。
かくして管理職は失敗を認めることができず、失敗を闇に葬る、若しくは、無理やり成果をひねり出し成功したかのように取り繕う。

こうなっては「なぜ失敗したのか?」という点に言及することができなくなる。
失敗を次に活かせず、同じような失敗を繰り返す。

複数年の事業計画を立てても同じ。
途中で変更の必要が生じても、コンサルに大金を払い作らせた計画を見直すとなると、当初計画が失敗であるかのように捉えられる可能性がある。
かくして当初計画に固執し、計画に合わせるために不要な事業を実施するという事態が頻発する。

失敗が許されない現場だからこそ、失敗から学び、二度と同じことが起こらないようにしないといけない。

ひとつのミスが数百人の死に繋がる航空業界ではそれが徹底されている。

ニアミスを10日以内に報告すれば、パイロットは罰せられないらしい。

失敗やニアミスから徹底的に学ぶ姿勢が、今日の超安全な運行体制を作り上げている。

「飛行機事故より、空港に向かうまでに交通事故に合う可能性のほうが遥かに高い」と言われるのも納得だ。

ほとんどの交通事故は個人の責任となり、その失敗は他者に共有されないのだから当然だ。

まとめ

公務員には是非この本を読んでもらい、失敗を認める心を持ってほしい。
失敗を叱責する上司に反論できるようにもなる。

大切なのは「失敗から学ぶこと」
「失敗をしないこと」ではない。

また、むやみに公務員バッシングばかりしていると、彼らが失敗から学ばず、失敗を隠蔽するようになり、余計に税金が無駄になる。

公務員バッシングはしっかりと内容を見極めたうえで行ってもらいたい。

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