見出し画像

鞄に本とおはぎだけつめこんで。

母がスーパーで発見したベビーキャロットを蒸し焼き?ソテー?にする土曜日の朝八時半。ただ焼いただけなのに、甘くて甘くて、カフェラテと妙に合う。最近急に気づいたけど、私はしょっぱいもの、甘いものをどうしても交互に口に放り込みたくなる。母はそんな私にいつも怪訝な顔。

ジャストサイズ。
ジーンズのポケットにボロッボロの文庫本を入れてる人、
最近は見かけないな。
for some reason, I like putting a book in my jacket pocket. 

前回、noteを書いた直後にですね、ものの見事に「年始ブルー」が襲ってきまして。今年は大丈夫だ!って思ってたのになぁ。油断してた。

そんな時には、本と、甘いものと、ぼーっと出来る場所と時間が特効薬。この3つで解決出来ないことなんてない、はず。

教文館で本、日比谷公園で日向ぼっこ、「甘味おかめ」でおはぎ。朝、お布団の中でそんな計画を練り、自分のペースで毎日を過ごせていることに幸せを感じる。感謝。

準備して、電車に乗る。ヘッドフォンを忘れたことに気づく。今日は人の会話に耳を澄まそう。

教文館は幼い頃によく訪れていた本屋さん。長いこと来ていなかったのだけど、ここ数ヶ月、よく足を運んでいる。戻ってきた、っていう感じがする。縦長で、こじんまりした空間の中が本の匂いに溢れてて、好き。静かな店内では、店員さんの会話が丸聞こえで、本への愛が振動しながらこちらまで伝わってくる。「やっとあの本入荷しましたよー!」電話対応する書店員ムッシュー。

谷崎潤一郎の「細雪」(新潮文庫)を探しに行ったら、中と下しかなかった。よく遭遇するパターン。気を取り直して、本棚の間をぐるぐる。群ようこの「鞄に本だけつめこんで」の背表紙が目に留まる。手に取る。裏を読む。書評エッセイ、らしい。文学の勉強になりそう。開いて、目次を眺める。梶井基次郎、谷崎潤一郎、川端康成、志賀直哉。1ページの1行目を読む。個人的に心を掴まれる書き出し。きーめた。悩むときは悩むけど、決めるときは1分もかからない。私の性格の温度差は、私自身にとっても未知数。小学4年生くらいの時に、学校の図書室で背表紙にグッときた本を片っ端から読むことに1人でハマってた、と思い出す。

教文館を出ると、銀座の街の喧騒が戻ってくる。テーマパークや映画館から出てきたときのあの、ふわふわした感覚に包まれる。

歩いて、日比谷公園へ。噴水のお掃除をしている。前回来た時は、真夏中の真夏で焼け焦げそうになってたけど、涼やかな噴水の音で救われた。

木陰のベンチで、買った「鞄に本だけつめこんで」を少し読む。本に集中すると、周りが見えなくなる質なので、外で読むのはエッセイがちょうどいいの。父親の話が面白い。間にスタバでお茶をしてる母とラインする。

そして、ぼーっとする。空を見上げる。人間観察に耽る。ビルを眺める。からっぽの頭。なんにもしないって、なにかの目標に向かってがむしゃらに頑張って努力するより、難しい。動いているほうが楽。行動に移すほうが楽。でも、今の私にはじっとする忍耐と、自分に向き合う勇気が必要。日差しと、時折吹く風を受け止める。ゆっくり息を吐く。

日比谷公園は都会と、自然のバランスが最強だと思う。ベンチの形も、なんか好き。

最後に甘いものを調達する。「甘味おかめ」にやっと行けた。

むちむちおはぎ。

癒されるフォルムよね。はぁー、かわいいぃーって心の中でつぶやきながら、家路につく。

甘さ。塩気。そして大きい。口の中からしあわせが溢れてた。いつまでも、余韻に浸り続けていたい。次は、蔵王あんみつか、ぜんざいを食べてみよう、ともう決めた。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?