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世界が広がった、思い出の夏。

中学2年の夏、カナダから女の子が一個下の学年に編入してきた。

お母さんがカナダ人でお父さんが日本人だったその子は確か短期留学生みたいな扱いだったと思う。カナダの学校は9月からだからそれまではお父さんの母校である日本の学校に通いますって感じ。7月まで仲良くしましょう、的なことを全校集会で言われた…気がする。

ただ、各学年約40人の田舎の学校だ。外国から来た子なんてもうそんなワクワクドッキドキな子を同じ学年の子がほっておくわけがなく、いつもその子の周りには人だかりができていたから、ほとんど話すことはなかった。

ただ、私はどうしても日本以外の国の人と話してみたかった。どうしても英語で話してみたかった。だって、英語でネイティブの人と話すなんてなんかカッコいいから(笑)。そこで私が目を付けたのは週に2-3回学校を訪れていた彼女の”お母さん”。多分娘さんの言語補助をしつつ日本の教育を視察、といったところだったんだと思う。

中学2年生の知ってる英語の定型文なんてたかが知れている。それでもめげずに電子辞書片手に私は彼女の周りをチョロチョロチョロチョロしていた。多分、というか確実にクソほど邪魔だったに違いない。それでも彼女はニコニコしながら対応してくれた。

たどたどしい英語が伝わった時、それはそれは嬉しくて。私は英語の楽しさを知った。もっと長い間話がしたくて、もっと自分の言いたいことを話したいと思って、英会話のホームページとにらめっこをした。もともと英語は好きな方だったけど、明確に英語を楽しいと思ったのはこの時が初めてだった気がする。

夏が終わり、彼女は寂しがる私にそっと一冊の本を渡し、カナダへと帰っていった。いつものように学校から帰った私が急に洋書を持ち帰ってきたもんだからお母さんは驚いていたっけ(笑)

私は今、大学で英語を専攻している。ペラペラにはなれてないけれど(笑)そこそこ読み書きはできるし、話せるようになったよ。

ちなみに必修科目の第二外国語はフランス語を選んだ。え?なんでかって??

それは、彼女から貰った本がフランス語で書かれた児童書だったから、その本には

素敵なおもてなしをありがとう、いつかフランス語をあなたが学んでくれる日が来て、この本を読んでくれたら嬉しいわ。

と彼女のメッセージが書かれていたから。なんかカッコいいで始まった出会いがその後の人生にここまで影響してくるなんて、思いもしなかったなぁ(笑)

中学2年の夏。私は英語の楽しさを知って、フランス語に出会った。私の世界が広がった、思い出の夏。

ただ、フランス語に関しては難しすぎて再履修でやっとこさ単位を取ることになったのだけど(一歩間違ったら留年の危機だった。危ない危ない。)ま、それも人生ってことで(笑)

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