見出し画像

Trip|私のフィンランド探訪記 〈01.記憶に残る、フィンランドのサウナ3選〉

フィンランドの美しい自然とデザイン、そこに暮らす人々に魅了され、その魅力を発信する活動を行うイラストレーター・フォトグラファーの入海ヒロさんがお届けする、“読む”フィンランド旅。6月の第2土曜日は、フィンランドサウナ協会が制定した「サウナの日」。そこで今回はヒロさんに、様々なスタイルのマイベストサウナを教えていただきました。

そもそも私は、日本のジメッとした暑さが大の苦手。なのに「アツアツの小部屋で蒸されるなんて!」と遠ざけていたサウナを好きになった理由、それは、フィンランドで人生初にして、最高のサウナに出会ったから。今ではいいサウナがあると聞けばふらりと出かけてしまう、すっかり「サウナー」な私です。今回は、フィンランドに滞在中に訪れた中から、記憶に残るマイベスト3をご紹介します。


その1. 森の自然と一体化する、サマーコテージのサウナ

LAPUANKANKURIT様_コラム用_入海ヒロ-21

まずは、人生初のサウナ体験から。2019年の夏、ホームステイ先のホストファミリーが森のサマーコテージへ連れて行ってくれました。湖水地方サイマーにあるコテージには、サウナがありました。目の前は森の湖畔という贅沢なロケーション!ここでサウナを体験せずして帰国はできませんよね。

LAPUANKANKURIT様_コラム用_入海ヒロ-2

森を散策しているうちにサウナの建物に到着。湖畔に面したテラスにはデッキチェアとテーブルが置かれていました。

画像19

建物のバックヤード。

LAPUANKANKURIT様_コラム用_入海ヒロ-4

入り口扉のなんとかわいいこと!持ち手は森の古木を取り付けたものだそう。

LAPUANKANKURIT様_コラム用_入海ヒロ-5

LAPUANKANKURIT様_コラム用_入海ヒロ-6

6〜8平米ほどのサウナ室の様子はこんな感じ。結構ゆったり。

薪をくべて温めるフィンランドのサウナは、一般的な日本のサウナより温度が低めで、サウナ初心者の私も無理なく入ることができました。熱せられたサウナストーンに水をかける「ロウリュ」をすると、温度がぐっと上がり、じわっと汗がにじみます。

画像19

15分ほど温まったら、サウナ小屋から伸びた桟橋を歩いて広大な湖へ。遠浅の静かな水面にそっと足を入れていきます。水温はおそらく10度台。冷たさで全身がシャキッとして、頭と視界がどんどんクリアになっていくような感覚。

まるで海のように果てしなく広い湖に、ぽつんとひとり。ぷかぷか浮いて空を見上げます。聞こえてくるのは、白樺の葉が風に揺れる音と鳥の声だけ。こんなに自然をひとり占めして満喫したのはいつぶりだろう。自分の存在がとてもちっぽけなものに思えてきて、日々の悩みなど取るに足りないことだなぁ、と思えたのでした。

LAPUANKANKURIT様_コラム用_入海ヒロ-1

LAPUANKANKURIT様_コラム用_入海ヒロ-7

湖からあがると、体がふわふわとして、なんともいえない幸せな感じ。これが噂の「ととのう」状態なのでしょう。その後、何度もサウナと湖を往復し、滞在中は毎日サウナを楽しみました。フィンランドには、旅行客でも泊まれるサウナ付きのサマーコテージがありますので、サウナは苦手という人も一度、森のサウナと湖の水風呂を体験してみてほしいです。


その2. フィンランド現存最古の公衆サウナ 〈ラヤポルティン〉

LAPUANKANKURIT様_コラム用_入海ヒロ-22

首都ヘルシンキから列車で約2時間、フィンランド第2の都市タンペレへ。ここにフィンランド現存最古の公衆サウナがあると聞き向かいました。

タンペレ駅からバスで20分くらい揺られたところに、ピスパラという地区があります。ピスパラは、高台にあって、木造の家が立ち並ぶ地区。黄色、水色、赤、ピンク…カラフルな家々のかわいさに、ため息を漏らしながら散策していると、すれ違う人が微笑んでくれました。

LAPUANKANKURIT様_コラム用_入海ヒロ-19

高台の頂上にある小さな公園から東側へ下って行くと、カフェのサインが入った黄色い建物を発見。「ふー。ちょっと休憩しよう」と近づいてみると、なんとここが目的の場所、ラヤポルティンサウナ(Rajaportin Sauna)だったのでした。

LAPUANKANKURIT様_コラム用_入海ヒロ-8

外観からはサウナと分からない佇まい。敷地内にカフェとサウナ、中庭もあります。待ち合わせしていた友人と合流し、いざ、ラヤポルティンサウナへ!

画像22

画像22

入口には、日本の銭湯の番台をもっと小さくしたような、昔の映画のチケット売場くらいの小窓があり、支払いを済ませます。ガランとした脱衣所には、壁に衣類をかけるフックと細いベンチがあるだけ。ロッカーも鍵もありません(貴重品は先の小窓で預かってくれます)。「地元の常連さんのためのサウナだなあ」という実感が湧いてきました。

準備ができたら小さな扉からサウナ室の中へ。真ん中が一部壁で仕切られていて、隣から男性の声が聞こえてくる感じは、日本の銭湯の雰囲気と似てますね。掛け湯用のお湯でさっと体を流し、脇にある階段を上がったところに腰掛けます。中二階のような狭い空間には熱気がしっかりこもっています。

画像19

LAPUANKANKURIT様_コラム用_入海ヒロ-9

しっかり温まった後は、タオルを巻いて中庭へ。ちょうど常連さんたちで賑わっていました。観察してみると、サウナに入っている時間より中庭でビールを飲んだり、おしゃべりしている時間の方が長そう。言葉はほとんど分からないけど、楽しい雰囲気は伝わってきて居心地がいい。中には知っている日本語で嬉しそうに話しかけてくれるおじさんも。サウナで温まって中庭で飲んで楽しくおしゃべりすることが、ここでずっと続いている「日常」なんだなと思いました。

その中に紛れ込み、国も性別も世代も違う人間同士、裸(バスタオル有)で小さなベンチに体を寄せ合いながら座って過ごしている。フィンランドの人々の普通の暮らしをのぞいてみたいと思っていた私にとって、不思議でプライスレスな体験でした。

ラヤポルティサウナ(Rajaportin Sauna) 


その3. 街で気軽にサウナを楽しむなら 〈ウウシサウナ〉

LAPUANKANKURIT様_コラム用_入海ヒロ-16

次は旅の途中にふらりと立ち寄れる、ウウシサウナ(UUSI SAUNA)を紹介します。UUSIとはフィンランド語で「新しい」という意味。その名の通り、2018年にオープンしたばかりのサウナです。マンションビル街の中にあり、バーが併設されています。タオルやサウナシート、バスローブなどがマリメッコで揃えられ、ロビーやカフェスペースにもカラフルなマリメッコのクッションなどが並んでいて、目を楽しませてくれます。

LAPUANKANKURIT様_コラム用_入海ヒロ-11

LAPUANKANKURIT様_コラム用_入海ヒロ-12

LAPUANKANKURIT様_コラム用_入海ヒロ-15

初めての都会派サウナにとまどっていたら、店員さんが丁寧にサウナ室まで案内してくれました。脱衣所には真っ赤なロッカー、広々としたシャワールームと洗練された雰囲気。サウナ室は左右に上下2段、暗めで落ち着きます。シャワールームにはシャンプーやボディソープの備え付けがあり、ロッカールームにはドライヤーも設置されるなど機能的で、街歩きの途中で気軽に立ち寄るのにぴったり。クールダウンはシャワーか中庭の外気浴で。そしてサウナ上がりには、バスローブを着たまま併設するバーでビールを飲みながらくつろぐことができる、これがまた最高なのです。

ウウシサウナ(UUSI SAUNA)

・・・サウナに持っていきたいアイテム・・・ 最後に、フィンランドでサウナに行くときに持って行くといいものを。①バスタオル ②ポンチョ ③ビーチサンダルです。タオルはレンタルできますが4ユーロくらいかかります。ビーチサンダルは、外気浴のために屋外に出たり、そのまま飲食したいときなどにさっと履いていけたりするので、おすすめです。

スクリーンショット 2021-06-12 14.15.45

Instagram:@hiroro2_suomi
twitter:@hiroro_drawing






この記事が参加している募集

一度は行きたいあの場所