見出し画像

酒とバラの日々

ジャックレモンが酒に溺れアル中になり破滅していく主人公を演じた映画「酒とバラの日々」。原題は”Days of Wine and Roses”.

後年、アクターズスタジオインタビューにて彼自身がアルコール依存性だと告白した際の衝撃は忘れられません。

この映画は主人公がのちに妻となり彼とともにアルコールに溺れ自滅していく女性にチョコレートリキュールの入ったカクテルを勧めるところがトリガーでした。その時点で主人公は既に飲酒で度を越しがちでしたが、彼女は大の甘党でチョコレートに目がなかったのです。しかしながら、後に医師から何か一つに執着する性質の持ち主は依存性になりやすく、彼女の場合はアルコールの前にチョコレートへの強い執着を見せており、リスクファクターの持ち主だったと言われます。この辺りは我が身に置き換えてしまいました。

その美しいタイトルからは想像が出来ないほど壮絶な映画です。堕ちていく人間を冷徹に描きながら、彼らの絶望と悲しみが痛いほど胸に迫ります。

ジャックレモンの演技は凄まじいのです。鬼気迫るものを感じます。実は自らが苦しむアルコール依存性を演じたのだと知った時、彼の決意があの映画を傑作にしたのだと分かりました。

自分はアルコールに溺れる人間ではない、そう思う人も生活の中で何かに夢中になったり依存する傾向を意識することは多いと思います。だからこの映画が他人事ではないと感じ、見終わった後強い余韻を残すのです。

それにしてもジャックレモンです。この映画に挑んだ彼に心から敬意を表します。

End


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?