見出し画像

10分の散歩がひらめきを生む

「…今、何て言った?もう一度、言ってくれ!」

映画でよく登場する台詞である。

刑事や探偵が登場する推理物、または冒険映画で問題解決につながる鍵が、何気ない会話をきっかけにひらめくというのは、謎解き時のお約束みたいなシーンといえる。

大ヒット作『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(1985年)でも、1955年にタイムスリップしたマーティ(マイケル・J・フォックス)が、ドク(クリストファー・ロイド)と一緒に、1985年に戻るために必要な電力の調達方法を考えている時「そんな電力は”雷”でもない限り無理だ…」という何気ない言葉で「それだ!」となる。

アイデア発想法

以前、アイデア発想法の一つとしてオズボーンのチェックリストについて書いた。

オズボーンのチェックリストは、無理矢理アイデアを捻り出そうとする方法になるが、オズボーンのチェックリストを使ってあれこれ考えたとしても、よいアイデアや問題解決方法はすんなり出てくるものでもない。

ひらめきは、考えている最中ではなく、考えるのを止めた後にやって来る。しかも、ボーっとしている時にやって来る

『バック・トゥ・ザ・フューチャー』では、会話中に「それだ!」となるが、自身の経験においては、会話よりもさらにボーっとしている時、つまり全く何も考えていない時に突然「それだ!」となることが多い。

ひらめきが突然空から降りてくるような、そんな感覚である。

こういうボーっとしている時に起こるひらめきについては、脳科学ではデフォルト・モード・ネットワークという神経回路の活動として説明がなされている。脳科学について詳しくないため、デフォルト・モード・ネットワークについて詳しく書けないが、要するにボーっとしている時ほど脳のデフォルト・モード・ネットワークは活発に働いており、ひらめきが生まれやすくなっているらしい。

脳がひらめきを生みやすい状態にするためには、色々なやり方があると思うが、個人的に一番効果があるのは散歩である。

あれこれ考えてもよい答えに辿り着かない場合、考えるのを止める。そして散歩に出る。それまで考えていたことを一切考えない。意識から消す。そして歩く。10分とか15分だけでも、ただ歩く。すると突然、ひらめきが降りてくる。

散歩すれば必ずひらめくというわけではないが、このように散歩するとひらめきが降りてくる、そういう経験は、多くある。

ボーっとするだけではひらめきは降りてこない

散歩してひらめきが生まれることはよく経験するが、しかし、ただボーっとしていればよいというわけでもない。

突然ひらめきが降りてきた時、同時に感じるのは「なぜそれを思いつかなかったのだろう」「なぜそれを忘れていたのだろう」という感覚である。

よいアイデアも問題解決方法も、ゼロから生まれるものではないと言える。

ボーっとしている時のひらめきは、正確にはひらめきではなく、過去に学んだ知識、情報、そして経験を思い出すという方が近い。よいアイデアや問題解決に必要なそれらを思い出す。もしくは問題解決のヒントとしてそれらが結びつく。

またそれは、考えて考えてそれでも答えが出ず、脳が疲れ切って、そうして散歩に出た時ほどひらめきが降りてくる。

これらのことから、ボーっとしている時のひらめきというは、学んだり調べたり考えたり、そういう強い緊張状態の時間があるからこそ生まれるように思う。

強く意識を集中させた緊張の糸を切り、ボーっとした弛緩状態に切り替わることで、それまで強い意識のせいで無意識の中に隠れていた情報、知識、経験が意識と結びつく、そんな感覚を持っている。

ひらめきを生むためには、考えているだけではなくボーっとすることも必要。そして、ボーっとするだけではなく、学ぶこと、そして集中して考えることもまた、重要と思っている。

この記事が参加している募集

コンテンツ会議

映画感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?