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「投網漁」コイ科の魚は主要なタンパク源

こんにちは。ボルネオ島の手工芸品店を営んでおりますラヤンラヤンと申します。毎週金曜日にマレーシア・ボルネオ島に暮らす先住民ドゥスン人の村での暮らしを紹介させて頂いております。

私が暮らしていたドゥスン人の村は、舗装道路のない山間部に位置し、熱帯雨林の広がる山奥で村人は自給自足の生活を営んでいます。焼畑で米や野菜を育て、山菜を採り、狩猟や漁労を生業にしています。

狩猟で野生動物を捕獲できない時、最近では豚インフルエンザの影響でイノシシが捕れない時は、魚は重要なタンパク源となります(村には保護区や狩猟禁止エリア、捕獲禁止の生物多様性、違法猟法があり、村の方はこれらをきちんと把握しています)。村に流れる大きな川とその支流で、投網漁やすくい網漁、また仕掛けを設置したりして魚を獲っています。今回はそのうちの一つ、「投網漁」を紹介させて頂きます。

こちらが村で使われている網です。網先には、錘のチェーンがついています。網は、おおよそ5kg~7kgあります。ちなみにですが、村でいつも私の面倒を見て下さるドゥスン人のお母さんはこの網を作るのが得意です。農作業のない日は網の修理をしたり、制作の依頼を受けることもあります。お母さんの買い物についていくと、糸の質やミリ数にもこだわっていました。

この日は、投網漁について行きました。私は川岸でその様子を眺めておりました。網を腕に引っ掛けて両手で持ちます。

勢いをつけて投げます。網が広がりました。小さい頃から親や兄弟に付いて狩猟や漁労を学んでいるので、10代の子でも一人前です。家族の生活を支えています。

網を引き揚げて、魚を確認します。捕獲した魚は、腰に巻き付けている袋に入れます。上流へ向かいながら、投網を繰り返し、その日に必要な分だけ取ります。

私は投網を体験したことはありますが、もちろんきれいな円に広がりません。いつも美味しく頂いてばかりです。

村では、よく2種類のコイ科の魚が獲れます。中央にある大きな魚は現地のドゥスン語で「ポリアン(polian)」、マレー語で「ぺリアン(pelian)/イカン・クラ(ikan kelah)と呼ばれています。周りの小さい魚は、「サラウィ(sarawi)」と呼ばれてます。

当時、まだ村では電気が不安定で冷蔵庫がなかったため、捕獲された魚はすぐに内臓と鱗を取ります。サラウィは小骨が多いので、必ず5ミリ幅に切り込みを入れます。

村で定番の魚料理といえば、そのまま炉でバーベキュー、スープや煮びたし、揚げ魚が美味しいです。ポリアンは鱗を取らずに、そのままスープにすると甘みが出て美味しいです。また保存食として、燻製や発酵食品にしています。私は燻製したサラウィが大好きで、町の暮らしに戻る時はいつもお母さんが大量に持たせてくれていました。


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