敏感さをユーモアのセンスで肯定する
HSPの気質は、病気ではないのですが、とかく否定的に捉えられがちです。
私自身も生きづらさは感じて生きてきましたが、わりと早い段階で、個性として肯定的に受けとめてきた部分があります。
それができたのは、映画や小説、音楽を通して、HSPの才能に触れていたからのように思うのです。
当時は、もちろんそれらがHSPの特質だと認識していたわけではありませんが、印象に残っている作品の一場面などは、振り返ってみると、見事にHSPが観る風景だったりします。
HSPの特性を勉強していて、パッと浮かんだ映画のワンシーンがあります。
NYの映画監督、ウッディ・アレンの名作『アニーホール』のオープニングシーンです。
日本語字幕がある動画を探しましたが、ありませんでした。。。
このメガネの男の子は、右側に座っている母親に連れられて、精神科医の元にやってきます。
母「この子はずっと落ち込んでいるんです。何もできないでいます!」
医師「どうして落ち込んでいるんだい?」
母「(子に向かって)お医者さんに言いなさい。
(医師に向かって)彼が何かを読んだんです。」
子「宇宙は膨張している。」
医師「宇宙が膨張している?」
子「宇宙は全てだ。宇宙が膨張しているなら、
僕たちはいつかバラバラになって、全てが終わってしまう。」
母「(子に向かって)それがあなたとどう関係があるの!
(医師に向かって)彼は宿題をするのをやめてしまったんです!」
子「何の意味があるのさ。」
母「宇宙と何の関係があるの!あなたは今、ここブルックリンにいるのよ。
ブルックリンは拡大していません!」
医師「宇宙が膨張するのには何十億年もかかるよ。
ここで生きてる間に、楽しまないとね。どうだ?はっはっは!」
くすりと笑ってしまう、有名なシーンです。
いかがでしょう?HSCだったみなさんも、哲学的な問いに対して、大人たちが真摯に受け止めてくれなかった経験はありませんか?
母親も、医師も、小さな彼の真剣な悩みを「そんなこと気にするな」という姿勢です。
(この母親と、医師のキャラクター作りも完璧です!)
私も、小学生の頃に、すでに「人はなぜ生きるのか」「幸せとは何か」ということを考えるタイプだったので(笑)、このシーンにものすごく共感してしまい、忘れられずにいます。
ウッディ・アレンは、監督をしながら、主演をしています。
コメディアン出身の彼の作品は、細かい心の動きや、不条理な心理などに対しての洞察が鋭いのですが、コミカルな表現に仕上がっているために、笑いながらも引き込まれていきます。
コメディ仕立てなので、キャラクターとして神経質な部分を強調して描かれてはいますが、HSPの視点で見ると「あるある〜!」「わかる〜!」と共感するポイントが多くあると思います。
私はウッディ・アレンの作品、彼の生き方、姿勢から学んだことがあります。それは、
「人生いろいろあるけど、ユーモアというスパイスを付け足すと
割といい具合に仕上がる」
ということ。
彼の表現を通して、私は神経質と思っていた自分の性質を、少し面白いものとして捉え直すことができました。
「自分をコミカルに表現してみる」というのは、空気を軽やかにさせる一つの方法なのかもしれません。
お試しあれ!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?