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装甲騎兵ボトムズ考察-闇の只中で輝く光-

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装甲騎兵ボトムズの考察です。順次追加していく予定です。
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2016年1月の記事一覧

『装甲騎兵ボトムズ』考察1

『装甲騎兵ボトムズ』考察1

(今まで有料限定の記述がありましたが、序論を増補したため、こちらを無料で全文公開することにしました)

1.他所ものとしてのキリコ
 人間はただ一人、大地を踏みしめ、耐え難く、絶望……自殺という考えを取り除けない非常に実存主義的な絶望……それと背中合わせで存在していることに変わりはございません。(開高健『輝ける闇』p.193)

 「生まれながらのPS」、「異能者」、「触れえざる者」、「赫奕たる異

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装甲騎兵ボトムズ考察2-間奏-

(この考察は『装甲騎兵ボトムズ-闇の只中で輝く光Ⅰ』の続編ですので、未読の方はそちらからお読みいただけると幸いです。全文無料で読める設定にしてあります)

2.あの世とこの世、二つの神の思弁とグノーシスの衝動-
 ヨーロッパの哲学的伝統を一番無難に総体的に特徴づければ、それはプラトンにつけられた一連の脚注であるということだ。(アルフレッド・ノース・ホワイトヘッド)

 かくも賞讃されるプラトンよ。

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装甲騎兵ボトムズ考察3:ワイズマンがキリコに課した暴力的な宿命(さだめ)-グノーシス的なニヒリズムと被投性-

装甲騎兵ボトムズ考察3:ワイズマンがキリコに課した暴力的な宿命(さだめ)-グノーシス的なニヒリズムと被投性-

(この考察は『装甲騎兵ボトムズ-闇の只中で輝く光Ⅰ』の続編ですので、未読の方はそちらからお読みいただけると幸いです。全文無料で読める設定にしてあります。)

3.ワイズマンがキリコに課した暴力的な宿命(さだめ)-グノーシス的なニヒリズムと被投性-

 私たちの宇宙から出発する限り、尊敬に値する神よりも胡散臭い神に行き着くほうがはるかに容易である。(E.M.シオラン『悪しき造物主』p.5)

 生誕

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