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装甲騎兵ボトムズ考察-闇の只中で輝く光-

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装甲騎兵ボトムズの考察です。順次追加していく予定です。
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装甲騎兵ボトムズ-序論-

装甲騎兵ボトムズ-序論-

(追記:序論において記した方法論について、「もう少し詳しく書いて欲しい」との希望がありましたので、大幅に増補することにいたしました。オズヴァルド・シュペングラー、ハンス・ヨナス、マルティン・ハイデガーに関して増補していますが、実際のところ私が記したかったことは、既にあの短い序論で示唆的に示していたことと何ら変化はありません。無料で全文公開いたします。(2016/1/10))

0.序論
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『装甲騎兵ボトムズ』考察1

『装甲騎兵ボトムズ』考察1

(今まで有料限定の記述がありましたが、序論を増補したため、こちらを無料で全文公開することにしました)

1.他所ものとしてのキリコ
 人間はただ一人、大地を踏みしめ、耐え難く、絶望……自殺という考えを取り除けない非常に実存主義的な絶望……それと背中合わせで存在していることに変わりはございません。(開高健『輝ける闇』p.193)

 「生まれながらのPS」、「異能者」、「触れえざる者」、「赫奕たる異

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装甲騎兵ボトムズ考察2-間奏-

(この考察は『装甲騎兵ボトムズ-闇の只中で輝く光Ⅰ』の続編ですので、未読の方はそちらからお読みいただけると幸いです。全文無料で読める設定にしてあります)

2.あの世とこの世、二つの神の思弁とグノーシスの衝動-
 ヨーロッパの哲学的伝統を一番無難に総体的に特徴づければ、それはプラトンにつけられた一連の脚注であるということだ。(アルフレッド・ノース・ホワイトヘッド)

 かくも賞讃されるプラトンよ。

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装甲騎兵ボトムズ考察3:ワイズマンがキリコに課した暴力的な宿命(さだめ)-グノーシス的なニヒリズムと被投性-

装甲騎兵ボトムズ考察3:ワイズマンがキリコに課した暴力的な宿命(さだめ)-グノーシス的なニヒリズムと被投性-

(この考察は『装甲騎兵ボトムズ-闇の只中で輝く光Ⅰ』の続編ですので、未読の方はそちらからお読みいただけると幸いです。全文無料で読める設定にしてあります。)

3.ワイズマンがキリコに課した暴力的な宿命(さだめ)-グノーシス的なニヒリズムと被投性-

 私たちの宇宙から出発する限り、尊敬に値する神よりも胡散臭い神に行き着くほうがはるかに容易である。(E.M.シオラン『悪しき造物主』p.5)

 生誕

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装甲騎兵ボトムズ考察4:ラ・ロシャットら異能者たちの反乱と罪責について

装甲騎兵ボトムズ考察4:ラ・ロシャットら異能者たちの反乱と罪責について

(無料で全文読めます)

4.ラ・ロシャットらの反乱と罪責について

 過去三千年の歴史について
 正しい批判を成し得ないひとは
 無知なるままに闇にいるがいい
 その日暮らしですごすにしても
(ゲーテ『西東詩集』「旅人の心の落ちつき」)

 前章の末部において、私はキリコを「この世」に「投げ込み」、その権能をもって「頽落した在り方」をもたらした張本人であるにもかかわらず、キリコの過去を剥き出しに

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装甲騎兵ボトムズ考察5:ワイズマンが構築したアストラギウス銀河における〈存在の連鎖〉と「神の眼」

装甲騎兵ボトムズ考察5:ワイズマンが構築したアストラギウス銀河における〈存在の連鎖〉と「神の眼」

(無料で全文読めます。なお、この論考は、『装甲騎兵ボトムズ』の元ネタの一つ(特にキリコの人物設定に関わっている)として製作陣が提示している映画『ランボー』のエンディングテーマ曲“It's a long Road”を聴きながらお読みいただくと、より拡充を効かせることが可能です)

5.ワイズマンが構築したアストラギウス銀河における〈存在の連鎖〉とその「神の眼」

 宇宙は、巨大な長さを持つように引き

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