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レゾネ


思い出を拾い集めて

無くしてしまわないように


形には出来ないから
文字に変えて

唄には出来ないから
文字に変えて


二度と巡りくることはないから
文字に変えて


文字を綴って
胸の中で本にして

それが私のレゾネ


そしてわかっていること

自分では
このレゾネは開かないということ


愚かしくも儚く
一時ほどの灯もある


ひとを傷つけた痛み
苦しむ自分の胸のうち


誰かに知ってもらいたいのか
忘れてしまいたいのか

わからない


今は見えない
朱色の文字

それが見えたとき
レゾネの役目は終わる


それが
私がわかっていること


海の彼方で揺れる
鬼火を指に移して
夏の星空に掲げる


そんな日に



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