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さかさまの世界 ~ぼくにできる能力だと思ってた~

ぼくのみえてる世界、みたい世界。

その一方で、さかさまの世界の人がいる。

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ちょっと苦手なあの人はぼくをすっかりとけなした。まるでぼくが間違っているかのように。何度も我慢しつづけたあの言葉をもう何度も飲み込んできたぼくは、ついにタイミングがきたかのように、ひとりで抱えきれない思いを掃きだした。

外へ外へ

誠意をもって精一杯つたえても
その思いを受け取ってはもらえないと知って、ぼくは愕然として動悸すらした。

どうしていつも
分かってもらおうとしてしまうんだろう。

言葉がつうじない、異世界の人へ。

何をつたえてもきっと、何もつたわらない。

つたわらないことがあるんだ。
ぼくはみんなとたのしい時間をすごしたかった。それがぼくの理想だったから。

あるとき、ぼくは少しだけ我慢してその人の話を聞いた。なるべくたのしい気持ちになれるように矢印をむけて…

でもそれは
ぼくにとってふつうではなく、少しだけ背伸びした結果だった。

しかしその人はきっと
ふつうとして受け取ったのだろう。

そうやって、"開いた誤差"があとあとに響いてきてしまった。今ならそう思う。理想的にいられるように努めることは果たしてよいことなのだろうか。

ぼくにとっては
よいことだった。

その場がうまくまわって、ここちよく終われるならそれがいいとしたから。

ぼくにできる能力だと思ってたから。

だけれど、ぼくはずっとその人の言葉のシャワーを浴びることになった。ぼくはその場かぎりのつもりだったのにだ。

許しすぎてしまった、と思った。

許容しすぎてしまう。

だめだと分かっていなかったから。

この特殊な能力をたくさん使うことは危険だった。使ってもせいぜい1、2回にしなくてはぼくの身がもたない。

良かれと、親切だと思って
やったことが自分にとっては結果的に良いことではなかった。つらかった。

ずっと聞きたくないことばを聞かされている時間。同意や質問をびしばしと投げ掛けられ、ただそれを受けるだけのおもちゃみたいなぼく。
かわいそうで、みじめなぼく。

そんな思いにさせるあの人をぼくは許せなかった。

不快をそらすために、忘れることも何度もした。でもその人とは何度となく関わる機会が用意されていた。

でもぼくはもう、
きっと無理なんだ。

あの人とすごす時間はもう、ぼくにとって地獄でしかないのだから。さようなら、もう2度と会わない場所へ。幸せに、

ぼくは新たな道をつくって、
また歩み始める。

それが今のぼくにできる最善の道なのだから。

(Lemon)

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