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手紙

 管理職から泣きながら話があった直後にまた電話があった。今度は何だろう。手続き忘れでもあったのだろうかと聞いてみると、担任ほかクラスの子が手紙を書いたのだと。ただ、管理職が見たところ、失礼なというか、そうじゃないだろうという表現も散見されて、渡すのを躊躇しているという。

 うーん、そういうところなんかなと。手続きに行った時に、何の改善もされなかった状態で、普通の転校と同じように担任からの手紙はもらえませんと拒否した。にもかかわらず、子供たちにまで書かせた。同じことで、結局、どうしてクラスメートを失う羽目になったのかを腹落ちさせないまま、型通りのお別れをしようとするからこちらの感情を逆撫でする。

 たぶん、管理職もそれが分かっているから、私に聞いてきたのだろう。私が当然ながら受け取れない、というと、安心したように、では学校で大切に保管しておくと。たぶん、私が受け取ると言った時のほうが怖かったのだろうなという感じで安堵した声を出しておられた。

 担任と話すときは、精一杯やっていただいているので、と一貫して言い続けてきたが、今回こういうことになった原因がよくわかる一件だった。あのまま続けていたら、もっと深く取り返しのつかない傷を負っていたのだろうと思う。そして、それに対して申し訳ありませんと、中身のない謝罪が繰り返されて。

 たぶん、この先もきっと何がまずかったのか、ということはおわかりにならないのだろうな。その時々の子供がそれでよいとするなら、明るく元気な先生ということになるのだろうから。ただ、うちにはそうは映ってない。

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