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ICDってぶっちゃけどうなん?【心不全といっしょ vol.1】

街中にあるAEDを指さして「あれ身体の中に入れられるんやで」と言ったら、病気の気配を全く知らなかった私はマスオさんばりの「ええっ」を発するでしょう。

さて、私が体内版AEDことICDを植え込んで早いものでもう5年になります。植え込んだ理由は心肺停止(経緯は自己紹介記事参照)で、当時「ICDを入れないと退院させられない」と言われたことが決め手でした。

年末に差し掛かっていたこともあり術日が限られており、唯一候補日に挙がったのがなんと私の誕生日。

絶望に不安にぐちゃぐちゃになっていたら「植込日忘れなくなるしいいじゃん」と返され、「何か音楽をかけよう、リクエストがないなら僕の好きなミスチルの『くるみ』で」と言われ、おかげでミスチルがトラウマになるという、トンデモ展開を経て植え込みました。

ミスチルがトラウマになってから早5年。絶望と不安を抱えながらICDを植え込んだ私が今ぶっちゃけどんな感じかという話をしたいと思います。


ICD植込の何が不安だったか

  • 人生初の全身麻酔への恐怖:20%

  • 見た目の変化に対する絶望感:20%

  • これからの生活への影響への不安:40%

  • 誤作動への不安:20%

内訳書くとこんな感じ。一番上は手術が終われば解消したので、この記事では下3つについて述べていきます。

【ICDぶっちゃけ話①】見た目の変化

水着とドレスは着づらくなった

左胸のあたりが誰が見ても明らかに「何か入っている」と分かるくらいにはボコッと盛り上がっています。流石に写真は載せないのですが、恐らく検索したら出てくるのではないでしょうか。

ビキニやベアトップの服・ドレスは厳しいですが、ちょっと広めのVネックは普通に着れます。

「他人と見た目が違って恥ずかしい」と思っていた部分も正直ありましたが、そもそも他人の身体をそもそもジロジロ見ることってないことに気付いてからは気にしなくなりました。

【ICDぶっちゃけ話②】生活への影響

携帯はじめ電子機器・家電はなんの心配もいらなかった

私が最も不安だったのが、スマホやBluetoothイヤホン、生活家電の使用制限。「ペースメーカーは電波で誤作動を起こす」と聞いたことがあったので本当に心配していたのですが、蓋を開けると植込前と全く変わらず使えています。

どのメーカーのICDかによっても異なるかと思いますが、私が言われた注意事項は下記のとおりです。

  • スマホを胸ポケットには入れない

  • 通話時は念のため右手でスマホを持つのが望ましい

  • IH家電には近付きすぎない

3番目について、心配性なので「近付きすぎってどれくらいですか」と聞いたところ「抱きしめなければいい」とのこと。どういうシチュエーションよ。

寝姿勢は変わった

これまで20ウン年間、基本左半身を下にする形で横向き寝をしていたのですが、ICDがめり込む感覚があるため寝姿勢を変えざるを得なくなりました。

最初は地味にストレスだったのですが、これも案外すぐ慣れました。

バッグの使い方も変わった

荷物が多いときにたまにリュックを使っていましたが、手術の跡が引っ張られる感覚があるため、リュックはめっきり使わなくなりました。

また、ショルダーバッグに関しても、斜め掛けする際は左肩からかけていましたが、ベルトが植込部と擦れて違和感があるので、右肩に変えました。(引っ張られる・違和感といっても痛みは一切ありません)

そんなことで…と思われるかもしれませんが、最初は「ICDによって持ちたいものが持ちたいように持てなくなる=生活が制限された感」に落ち込みましたが、今は受け入れられるように。

空港にギリギリに行くことはできなくなった

見出しだけを見ると何のことって感じですが、金属探知ゲートの話です。

ご存知の方も多いと思いますが、ICDを植え込むと金属探知ゲートを通ることができないため、ボディチェックができる保安員の方を呼んできていただく必要があります。

近くにいないこともしばしばあるため、ギリギリに空港に着いてギリギリに搭乗手続を済ませるといった、KAT-TUN的行動はできなくなりました。

運転免許更新に一手間かかるようになる

これは退院後に知ったのですが、ICDを入れると運転免許の更新に制限がかかります。私の場合は、術後から一定期間は運転NG・その後は6ヶ月毎に作動有無などを示す診断書の提出が必要と言われました。(正確な情報はご自身でご確認ください)

私は大学時代に免許を取ったものの一度も運転したことがなく、今後車を持つ予定もないため、診断書作成費用もチリツモということで免許は返納しました。

言い方を変えれば「診断書提出して、体調が維持できていれば運転は続けられる」ということなので、ポジティブに捉えましょう。

荷物が少し増えた

ICDを入れると「ICD手帳」というアイテムが渡されます。ここには手術をした病院やICD本体の情報が記載され、常に携帯するように言われます。

まあでもほら、忘れるじゃないですか。変な話、持ち歩かなくても別にええやんと思うじゃないですか。持ち歩かないと私みたいに救急隊員に怒られるので気をつけましょう。

(半年ほど前、心臓と全く関係がない迷走神経反射で救急搬送された際ICD手帳を持っておらず、「ICDがMRIに対応しているかを確認できないと検査ができない、対応遅れると困るから今後肌身離さないでくれ」と言われたのでした)

【ICDぶっちゃけ話③】誤作動のはなし

幸い一度も誤作動は起きてない

冒頭で術前の私の絶望・不安の内訳を下記のように述べました。

  • これからの生活への影響への不安:40%

  • 誤作動への不安:20%

が、退院して時間が経つほど、誤作動への不安が大きくなりまして。

見た目の変化、生活への不安、また心停止を起こすのではないかという恐怖。背負うものが自分のキャパシティを超えてしまった結果、長い間不眠と抑うつに悩まされることになりました。


あれから5年。幸い一度も正常作動も誤作動も起きていません。

「誤作動はそうそう起きないから心配しなくていい」とは言えません。が、ネットで誤作動のことを調べるとネガティブな情報が多いように感じていて。(人間そういう内容に無意識に目が行きがち、というのもあると思いますが)

ひとつくらいポジティブな情報をネットの海に放流しておこうという気持ちで書き残しておきます。

まとめ

術前から術後にかけて、不安に怯える私に「ICDはお守りだから」「やがて信頼できるようになるから」と声をかけてくれた看護師さんがいました。複数の病院で言われたので、割とよくある表現なのかもしれません。

当時の私は「目に見えない、しかも誤作動リスクがあって生活にも支障をきたすモノをお守りなんて思えるわけないだろ」と思っていたのですが、不思議なもので今はそれなりに信頼できています。少し脈が飛んでも「(最悪何かあったら)守ってくれるんでしょ」みたいな。CV林原めぐみでお願いします。

ここまでの内容をまとめると「確かに色々変わったけど、術前に絶望していた程ではなかった」というのが私の今の率直、タイトルと表現を合わせると「ぶっちゃけ」の感想です。

この記事が「ICD 誤作動」的な検索結果の絶望感を少しでも和らげる一助になることを願っています。

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