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心臓移植と言われたら考えることリスト【ふたりぼっち心臓移植 vol.2】

特技は現実逃避、どうもこんにちは。今日も今日とて心臓移植のことを考えるお時間です。

さて、心臓移植に関しては「今すぐ決断を」ではなく「いずれは必要になるから考えていきましょう」と猶予期間が設けられることがほとんどかと思います。(そもそもすぐに移植できるわけではないので)

ただ、vol.1でも触れましたが、心臓移植までの道中には考えることが本当に大量にあります。ありすぎてアリになりそう、としょうもないことをいいたくなるくらいに。

ここで突然ですが問題です。特技が現実逃避の人が、【中途半端な時間の猶予】と【大量の検討事項】を同時に与えられるとどうなるでしょう?答えは先延ばしです。

ただ私も伊達に30年弱この性格で生きてきたわけではないので、もう見えているのです。決断の時が目の前に迫ったときに「もっと早くから考えておけばァァァ」と、夏休み最終日の小学生みたいなことを言っている未来が。

前置きが長くなってしまいましたが、先延ばし予防策その1「大量の検討事項を可視化して、考える順番を付けること」に着手したいと思います。えらいぞ、わたし。


心臓移植検討で考えることを整理する

心臓移植までには大きく分けて次の3つのステップがあります。

  1. 人工補助心臓ことVADの植え込み

  2. VADを植え込んで移植に備える待機期間(想定5年)

  3. 移植

各ステップにおいて考える必要があることを書き出したのが上の図。就労状況・年齢・家族構成・移植への前向き度などによって内容は変わると思いますので、あくまで一例として捉えてください。

図の大きさの都合上かなり端折って記載しているので、軽く補足していきましょう。

【フェーズ1】VAD植込み

居住地要件

移植予定の病院から救急車で概ね1時間で到着するエリアに住んでいる必要があると小耳に挟んでおりまして。気軽な住替えも難しくなる可能性があるため、住居費・生活圏諸々と照らし合わせて考える必要があります。

身体の変化に対する覚悟

ここで言う「変化」は2通りの意味があって、ひとつは常に医療機器を背負った状態になること・管が出ることなどを受け入れられるかといった外見の変化。もう一つは合併症リスクなどを考える必要が生じるといった意味での変化です。

私は鬼滅の刃すら見られないレベルで血やらなんやらが苦手なので、昔から支えてくれている看護師さん達からは前者がかなり厳しいのではないかと懸念されています。

【フェーズ2】待機期間

心臓移植を検討するにおいて一番の肝となるのがこの期間ですね。

介助人要件の人数

移植待機の一番の難関である介助者要件。VADを入れると患者一人での行動が基本的に許されなくなり、24時間常に介助人を側に置く必要が生じます。

ネット上では介助人要件は1人とも2人とも言われています。恐らく病院によっても異なると思いますが、2人だった場合はその時点で私の移植検討はNOで終了になります。

私と夫の在宅勤務・給与

もし1人でOKだった場合も、常に目の届く範囲にいるためには、基本的に私も夫も在宅勤務をデフォルトにしなければなりません。

現状私は在宅勤務が主ですが、夫は出社が基本。お金がないと治療は受けられませんし、金銭的に頼れる実家もないため、夫婦揃って在宅勤務へのシフトが可能かつ減給が許容範囲である必要があります。

夫の人生への影響

仮に夫が在宅勤務メインにシフトできたとしても、その代償として思い描いていたキャリアや働き方を諦めることになる可能性が。仕事以外でも一人で外出しづらくなるなど『彼がしたいこと』がかなり制限されます。

仮に本人に上記を伝えたとしても「それは構わない」と答えると思いますが、実質それ以外選択肢がないわけです。表現が極端すぎますが「それは無理=◯ね」と同義になりかねないので。

「家族=最も近しい他人」だと思っているので、私の治療と同じ熱量で彼の人生も考える必要があると思っています。

義実家の協力・介助者外注の可否

出勤・体調不良・息抜きなど、夫の介助が難しい場面は当然出てきます。というか、夫だけに背負わせるのはあまりにも酷なので、それを避ける手段を探す必要があります。

義実家が少々離れた場所に住んでいる(同居は困難)ため、ヘルパーなどアウトソーシングできる先が協力を得られるかも確認が必須です。

不自由な生活に5年耐えられるか

心不全な時点で既にある程度行動制限はあるわけですが、一人での行動が許されない・湯船に入れない・常に医療機器が繋がっているなど、制限が強固になります。

仮に移植を決断したとしたら30代前半は間違いなく待機期間として過ごすことになりますが、30代というと結婚・出産・キャリア諸々ライフステージが一番充実する時期と思われるわけで。

もちろん皆外に見せないだけで色々抱えていることもあるとは思いますが、他と比べながら生きていくことにメンタル的に耐えられるのかという問題はあります。

また、最初の記事で軽く触れた通り私は学生時代に両親がそれぞれ急死していることもあって、遠い未来を明るく考えることができない性格です。数年後に私が心不全を脱したとしても、今度は家族が病気になっているかもしれない、みたいな。

明るい希望のようなものがないと、5年という長い月日を過ごすことは不可能だと思っていて。そのあたりもしっかりと自分の心と向き合う必要があると思っています。

【フェーズ3】移植

他人の命を引き継ぐ覚悟があるか

心臓移植を受けられるということは、誰かが死ぬということ。

「私が生きられるのは誰かが死んだからなんだ」と考えることはないと思っていますが、提供された以上しっかりと「生きる」必要があります。上手く言えませんが、治療の流れに身を任せた形ではなく「生きたい」という気持ちを持って命を引き継がなければならない。それが提供者への誠意なのではと考えています。

その「命を受け継いで生きたい」という気持ちがあるか、このあたりの気持ちの整理も考える必要があると思っています。

優先順位を付ける

さて、一通り洗い出せたので最後に優先順位を付けましょう。生活に直結するものから番号を振るとこうなりました。

  1. 居住地要件をクリアしているか

  2. 介助人要件が1人でいいのか

  3. 夫が在宅勤務メインにシフトできるか

  4. 私の職場に理解を求められるか(在宅勤務オンリーなど)

  5. 介助者外注の選択肢があるか

  6. 義実家の協力をどこまで得られるか

  7. 身体の変化に対する覚悟はあるか

  8. 夫の生活・人生への影響

  9. 他人の命を受け継いで生きたいか

  10. 不自由な生活に5年耐えられるか

介助人要件や勤務形態など、自分ではどうにも変えられない事柄の確認を先に済ませ、その後気持ちなど抽象的な部分と向き合う…という流れです。


そんなこんなで「考えるべきことを考える」ターンはこれにて終了。今後は具体的な中身について向き合っていきたいと思います。

とりあえず、おつかれ!わたし!



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