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筆圧を追って

先日旅立った父の旧友という人が便りをくれました。

そこには、ほんの数か月前、父が旧友宛に送った手紙が同封されていました。

開くと、懐かしい字が・・・

身体が言うことを聞かなくなっている状態を淡々と述べながら、春の庭木のきらびやかな美しさをつぶさに語り、目はまだ機能を失っていないことへの感謝がつづられていました。

私は思わず、その手紙の中に、書いたときの筆圧とか、しわとか、何かしら痕跡がないか・・・”生きた肉体の”痕跡を探していました。

そして、葬儀後、初めて大泣きしました。

残された母は、認知症を患っています。

一人になってみて初めて、いかに旅立った父が、最も重い病に侵されながらも、懸命に認知症の母を守っていたかを実感しました。

ありがとう。

でも、寂しいよ。

まだ、その手紙を見ると、涙が出てきてしまうけど。

何とか前に進もうって、頑張っています。







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