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教員採用試験がボーダーフリー化するかもしれない

専門分野は違いますが、リスペクトしている先生がいます。

名古屋大学の内田良教授です。

いつもヤフーニュースの教育関連記事のコメント欄で、内田先生の的確な意見を拝見しては、教育問題について理解を深めていました。


うちの大学(Fラン)に着任し、日本の教育が抱える問題に直面するようになってからは、内田先生のコメントには大変学ぶことが多く、教育系記事のコメントは必ず読むようになりました。


以下の記事『公教育が崩壊寸前!教員採用倍率は過去最低「受かってはいけない人」も先生に』は、内田先生のインタビューに関するものです。

この記事でも内田先生は教育現場の問題を的確に分析し、教育はどうあるべきかを伝えています。


教員のなり手がいないことは世間一般に知られていますが、これに関連してあまり認識されていない問題点についても内田先生は指摘しています。


「受かってはいけない人」が教員になっている問題です。


かつては10倍以上の倍率が当たり前で、超優秀な人材が選抜されていた教員採用試験ですが、近年は大学生がブラックな職場である学校を敬遠し、受験者が激減し、ボーダーラインが思いっきり下がって、学力や指導力が低い人材を採用せざるを得ない状況に至っています。

採用する側としても教育の質を確保するために優秀な人材のみ採用したいところですが、採用予定枠を埋めなければ、現場の仕事が回らないため、やむをえず、学力不足、能力不足と認識しつつも採用しているのです。



これは底辺の私立大学と同じ構造ですね。

少子化で受験者が減少し、かつての入試のボーダーラインを保てなくなり、しかし、大学の経営を維持するために、やむを得ず、学力の低い受験生も受入れる…… これを繰り返し、気がつけばボーダーフリー化してしまったのです。



一部の私立大学はすっかりボーダーフリー化してしまっていますが、教員採用試験はまだボーダーフリー化していないのが救いかもしれません。


ですが、そのうち、日本のどこかで、ボーダーフリー化した教員採用試験が生じるかもしれません。



教育系記事のコメント欄で内田先生が毎度毎度指摘していますが、部活指導、やり過ぎな保護者対応、謎の雑用などを教員の仕事から完全排除し、教員が真に教育に専念できるよう待遇改善すべきです。

そうすれば、たくさんの大学生が教育という仕事に魅力を感じ、教員を目指すでしょう。

たくさんの志望者が集まれば、優秀な人材の確保も難しくないはずです。



ちなみに、Fランと呼ばれる底辺大学には、保育士資格、幼稚園教諭免許に加えて、小学校教諭免許も取得できることをアピールしている大学がけっこうあります。

資格が取れることは学生集めにものすごく有効なので、小学校の先生になれる底辺大学は本当に多いです。

そして、小学校教諭の免許は、大学で教職科目の単位を取って卒業してしまえば、取得できます。

医師、歯科医師、薬剤師、看護師などの免許とは異なり、全国統一の国家試験はありません。

つまり、何が言いたいかというと、小学校教諭免許を持っている人の学力や能力は一定の水準を保っていないということです。


小学校の教員免許を持っている人には、高校まであまり勉強せず、大学(底辺)には総合型選抜(旧AO入試)などで入学し、ギリギリ単位を取れる程度の勉強して卒業するような人材がそれなりにいるということです。

教員採用試験の受験者がさらに減れば、こういう人材も採用せざるをえなくなります。


実は、うちの大学(Fラン)も小学校教諭の免許が取れる学科があります。

うちでは小学校教諭の免許を取る人はそれほど多くはありませんが、免許取得者の中には、驚くことに、実際にどこかの小学校の教員として採用されています。

その人のことは個人的には知りませんが、仮にその人の人柄や指導力が素晴らしかったとしても、うちの大学の学力で小学校の教員として本当に大丈夫か心配です。



教育は国の根幹です。

質の高い教育を提供すれば、優秀な人材が育ちます。


国には、教育への投資、特に、教員の処遇改善に真っ先に取り組んでもらいたいですね。


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