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Libya Updates #39: January 2020 Week 1


こんにちは🕊
年末年始のリビアを巡る動きを整理しました。

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リビアのこれまで
40年以上続いたカダフィによる独裁体制が2011年に崩壊。新たな政府樹立を巡り、衝突が続いてきた。
現在は首都トリポリを拠点とし、国連の仲介で2016年に樹立した国民合意政府 (GNA)と、東部の都市トブルクを拠点とする政府 (HoR) が分裂している構図だ。
HoRが支持するハフタル将軍率いる勢力が2019年4月、トリポリへの侵攻を開始した。GNA側の民兵組織らが応戦し、武力衝突に発展。GNAにはトルコ、ハフタル勢力にはUAEやロシアなどがつき軍事支援などを行ってきた。
6月はじめにGNA勢力がトリポリを奪還し、ハフタル勢力は同地域より撤退。10月以降は停戦へ向けた協議が進んでいるが、現地での戦闘は続いている状態だ。

■2020年のリビア

■前回のアップデート


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1. 国内の動き

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GNA軍は31日、グテーレス国連事務総長によるリビアの停戦を監視するための国際軍派遣に関する提案を拒否した。
軍は提案が過度の介入を含むもので、自らが国の治安回復のために十分な能力を持っていると主張している。

同政府とハフタル勢力は10月の停戦後、いずれも国連に監視を行うよう支援を要請していた。

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ハフタル勢力側からは昨年10月の停戦合意を破る動きもある。
GNA軍は5日、北中部のシルトで自身の舞台がハフタル勢力を支援する民兵組織による攻撃を受けたことを発表した。
シルト・ジュフラ地域を担当する広報官のハディ・ダラは、トルコのアナドル通信社の取材に対して「ハフタル勢力が停戦合意を破り続けている」と強調している。

軍は昨年12月にもハフタル勢力による攻撃を確認している。

2. 軍事侵攻の傷

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トリポリ南部の軍士官学校で候補生26人が犠牲となった爆撃から、4日で1年が経った。

爆撃は1月4日、50人の士官候補生が訓練を行っている間に発生。生存者の生徒の1人はBBCに対して「仲間が亡くなっていき、最後の呼吸しているのを見ていたが、何もすることができなかった」と話している。

候補生らは現在も心に大きな傷を抱えながら、勉強を続けているという。

中東を扱うメディア、Middle East Eyeの取材に対して当時、現場にいた候補生の1人である26歳のアブデル・モイーン・イェヒア・カワンさんは事件を振り返り「ショックで、絶望を感じていた」と話す。

「学校が標的になるとは思わなかった」とカワンさん。事件から数週間の間は亡くなった仲間のことで頭がいっぱいだったという。
「ただ、(仲間について)話すことで救われた。もう二度とこうしたことが起きないような強い国を作ろうという決意を固めることができた」

爆撃はハフタル勢力によるもの見られているが、同勢力は関与を否定している。だがBBCが昨年行なった取材で、同勢力を支援するUAEの提供したドローンが使われたことが判明した。


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国際NGO、ヒューマン・ライツ・ウォッチは7日、声明でGNAに対してタルフーナでの強制失踪について捜査を進めるよう求めた。

タルフーナは首都トリポリから東南に65キロほど行ったところにあり、一時期、GNAとハフタル勢力の前線となっていた。当時、ハフタル勢力を支持する現地の民兵組織「カニヤート」が多くの市民を連れ去ったと見られている。

GNAは6月以降、少なくとも27か所に集団墓地があることを突き止めており、これまでに女性や子どもを含む200名以上の遺体を発見している。

集団墓地の捜査活動は現在も続いているが、現地の農家らも捜査へ駆り出されているという


3. 新型コロナウイルス

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リビアでは7日 (現地時間) 時点で、累計102,880人の感染者が確認されいている。1週間の新規感染者数は2,945人。日に平均約400人以上の新規感染者が確認されている計算。累計死者数は1,546人で、1週間で87人の増加。


同国では5月頃まで、感染者数は数十人規模で推移してきた。爆発的な感染拡大が始まったのは6月。10月末をピークに新規感染者数は減少傾向にあるものの、依然として高止まりの状態が続いている。

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人口は約689万人。
情勢不安の続いてきたリビアでは、パンデミック以前より医療保険制度がきちんと整備されていない状態。感染者に対応するための病床や医療器具なども不十分だ。

4月から5月には医療従事者や医療施設への攻撃も多発。6月以降は市民が地雷の爆発に巻き込まれる事態が相次いだ。


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困難の続いた2020年、リビアにいる移民・難民も尊厳を奪われてきました。
これらの人びとの置かれた状況について、一緒に考えてみませんか。
直近の戦争が20年近く続くアフガニスタン。
「わたしたちが続けなければ、『彼ら』が力を持つ。ただ殺されるくらいなら、活動を続けるほかない」。現地で平和教育を続けるアジマールさんのお話です。

お金がないことによって、機会を奪われることのない社会へ。大切にしている考えです。そのため、コンテンツは原則無料で公開しています。一方、もう少し資金があれば足を運べる場所、お伝えできることもあると考えています。お気持ちをいただけましたら、とても嬉しいです🙇🏻‍♀️