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繋がりが生まれる場所

年の瀬、1日早めに仕事納めとし、実家の広島に娘と一緒に帰省してきた。
夫は、逆に29日まで仕事なので、今回は、男子組・女子組と分散帰省をすることにした。2歳の末っ子は連れていくつもりだったけど、夫から「仙台の実家に連れていくからゆっくりしていおいで」という言葉に甘えることにした。そう、帰省先は真逆なのです。
新幹線での4時間、じっとしたくない年ごろの2歳児がいないのは実際、移動の負荷が全然違った。そんな選択肢をくれて、ありがとう。


ロゴが繋ぐご縁

さて、広島に着いたら、実家よりも先に行く場所があった。電車を乗り継ぎ、向かった先は、今月オープンしたばかりの本屋さん。
店主は、X(旧Twitter)でなんとなく知っていたCさん。もともと面識はなく、「わたしの周りの人たちと繋がっている人」という印象だった。
その繋がっている人のひとりがデザイナーさんで、わたしの今後の麹の活動に込めた想いを体現する素敵なロゴを制作してくれた方。その方が投稿されたロゴデザインをきっかけに知ったのがCさんが広島でオープンした小さな本屋さん『Lounge B books』だった。
店主Cさんのブログも拝見し、俄然興味が湧き、「広島なら行けるじゃない!」と思い、年内営業日を見ると28日まで。
その時は、“29日の夜に車で広島に向けて出発する予定“だったので、今回はタイミング合わずかぁ…と。
ところが冒頭の夫の提案により、前倒しして帰省することができ、急遽、購入した新幹線の到着時間的にギリ営業時間内に行けそうだ!とわかり、お店に直接行くことを決めた。
早速、Cさんに「はじめまして!」とXからDMするもフォローされていないので、そもそもDMが送れなかったのだ(笑)そこで、デザイナーさんに頼んで、取り次いでもらい、なんとか事前に連絡することができた。

目的地までもまた冒険

さすがに年内最終営業日の営業終了時間の数分前に到着するということなので、「そんなタイミングで伺うこと大丈夫でしょうか?」と、「事前に選書していただくことは可能ですか?」ということを聞いてみたら、Cさんは、両方とも快くOKをしてくれた。
新幹線の中から、選書に関するやりとりをする中で、好きな音楽のことも質問され、マニアックかな?と思われるバンド名も一応、伝えた。(あとで、「僕もそのバンド好きだけど、そのバンド名をあげた人は初めて」と言われた)

広島駅に着いてからは、5歳の娘と一緒に(実は乗ったことのない)在来線に乗り換え、最寄り駅を目指した。思っていたより、小さな駅に降り立ち、18時近くの真っ暗な中、少し不安になったけれど、娘がいたので、おしゃべりしながら、寒空の下、歩いていった。少し歩けば、明るい道に出た。駅近くには、新しめの閑静な住宅が並ぶ一角もあり、駅から徒歩圏内にお店や病院、保育園などもあり住むにはなかなか便利そうな町だと思った。

わたしは、初めての場所に行ったり、気になる人に会いにいくのが好きだ。
この道中もまさに新たな冒険のよう。12月の夜の寒さに反して、心の中は、ワクワクしていた。まだ見ぬ何かを目指して。その何かを自分の目で確かめたいから。これが自分の中の行動力の源泉にあると思っている。

ただ、当方、方向音痴なもので、google mapを片手に5、6分歩いた頃に青い看板が見えた。そう、あの見覚えのある青いロゴだった。
「着いたよ!ここだね」と娘に語りかけるやいなや、娘の方が先に数段の階段をタタタっと上りドアを開けようとしていたのだ。その軽やかすぎる行動に思わず、笑ってしまった。

本を一緒に選ぶという体験

「はじめまして~!」と店主のCさんにご挨拶し、まずは東京のおみやげをお渡しする。(ほんとは娘から渡す予定だったのに気がコロコロ変わるお年頃みたい)
お店はこじんまりしているけれど、全部見渡せるちょうどいいサイズ感だった。奥の方にはテーブルとイスが置かれていて、喫茶店のような雰囲気も感じた。なるほど、こちらの本屋さんは、「談話室」とも掲げているので、そんな光景も想像できた。
事前に選書についてのやりとりをしていたので、Cさんのおすすめを聞いてみた。リクエストしていた普段なかなか読めていない小説やエッセイあたりをピックアップしてくださっていた。
あとは、わたしは直感を大切にするタイプで、ジャケ買いもよくするので、表紙を見て、「これいいな」と感じた本も手に取ってみた。哲学の本も混じっていた。
他にもCさんが、韓国の群像劇の小説やチベット文学本なども紹介してくれて、視界がグッと広がった気がした。
それらを一旦テーブルの上に並べてみた。並べてみると、どれも全然違って全部魅力的で余計に悩んでしまいそうだった。
なので、娘にも協力してもらい、「どれがいいと思う?」となぜか聞いてしまった(笑)。娘は、「目をつむって選ぶからね!」と「どれにしようかな、神様の言うとおり……」の長いバージョンを歌いながら、指を本から本へと動かしていった。
歌が終わった時点で指が置かれていたのはなんとチベット文学の本だった。「そう来たか!」、娘っ子、さすがである。
わたしは、自分の直感も大切にしたくなってきた。
もう一度、全部を俯瞰して眺めてみて、「今読んでみたい」と思えた本を選ぶことにした。そう“今”ってわたしの中でも大事にしている時間軸だったりするから。
今回選んだのは、「偶然の散歩」「美味しいと懐かしい」「水中の哲学者たち」「どこから行っても遠い町」。そして、Cさんがこの本屋さんの名前『Lounge B books』をつけるきっかけになったという「人質の朗読会」の計5冊。
こんな風に本屋さんと一緒に本を選ぶのはわたしにとって初めての経験。いつもは、大型書店に行くし、どうしても大量の本の中の一部のコーナーの一部の本しか目に入らない。その中から選ぶので、選択肢も狭くなる。店員さんと話をするわけでもないので、Amazonのレビューをチェックして買うかどうか判断することもしばしば。本を買うのは好きなのだけど、結局、読まない本として積み上げられていくことの方が実は多い。

でも、本屋さんと直接コミュニケーションしながら、最終的に自分で選んだ本は、「選んだ感」が全然違うのだ。そして、「自分のために大切に読みたい」という気持ちも出てくることに気づいた。
これこそまさに今この時の自分にとっての一期一会なのかもしれない。

繋がりが生まれる場所

わたしは、コロナ禍前から、人と人が繋がれるきっかけを作りたいと思っていて、地域やオンライン上でそんな活動もしている。
今回『Lounge B books』での体験もまさに「人と本」「人と人」を繋ぐ場所だと感じた。新たなチャレンジをされているCさんを応援したくて、こちらに伺ったけど、これからの希望が広がる空間に身を置けたことで、こちらも励まされた気がした。わたしも地域に人が集える場所を作るのが夢の一つでもあるので。やっぱり顔が見える距離感のコミュニケーションっていいよね、とリアルの場の良さを実感。

そして、思っていた以上にたくさんの本との出会いをいただき、これらの本から新たな気づきや心が揺さぶられることがあるんだと思うと、まだ見ぬ何かとの出会いにワクワクせずにはいられない。

また、次の帰省の際もお店に行こう!


お近くの方はぜひ直接、遠方の方も本を購入することができるので、ぜひ店主Cさんにご相談してみてくださいね!

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