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春のような温かさがいつもある学校に… 空気まで美しくなっていくようだったよ 〜心の宝物103〜112

🌷掃除を見にきてください!


コロナ機の学校
夏休みが明けたある朝、3年生の児童が私のところにやってきました。
「校長先生、ぼくたちの掃除を見にきてください」

彼らは児童玄関の掃除当番。
夏休み明けの新たなスタートのめあてを「掃除を頑張る」としたこと、その滑り出しがとても好調で、自分たちの目から見ても、いい掃除ができていると思うこと、何より充実感があることを生き生きと話してくれました。

「いい話を聞かせてくれてありがとう。今日の掃除の時間に必ず行かせてもらいます」
「少しだけじゃなくて、始めから終わりまでいてください」
巡回の途中で立ち寄るだけでなく、始めから終わりまでの参観を約束しました。

🌷空気まで美しくなっていくようだったよ


彼には、少し前、給食当番の仕事ぶりに感心させられました。自分の分担への熱心さと、周囲をよく見つめ、何気なく隙間を埋める気遣いが見事でした。そういう選択が、彼の生き方となっているようでした。

笑顔で、言葉で、行動で、周囲に温もりを届けてくれる彼は、靴箱をきれいにすることに集中していました。てきぱきと素早く、しかし、靴に、その持ち主を見ているかのように、取り扱いは丁寧に。やる気と思いやりが伝わる姿でした。

黙々と、しかし、口元にはほほえみをたたえて。多くを語らない人ですが、彼女の周囲には、いつもふわりと温かい空気が漂っています。砂粒一つ取り残すまいという決意が、ほうきの先端まで行き届いていることが分かりました。

授業のときも、休み時間も、落ち着いて穏やかに。優しさのアンテナを細やかに働かせ、とらえた人や物事に対して、最善の自分を選び取り、決然と行動する。取り出した靴の底のごみまできれいにする姿は感動的ですらありました。

多くの人の前で、言葉で自分を表現することはあまり得意ではありません。しかし、行動が、彼女の思いやりの細やかさを雄弁に語ります。靴を取り出したロッカーの中を水拭きする、雑巾の一拭きもおろそかにしない姿には尊敬の念すら覚えます。

登校の坂で、どれほど離れていようと、そこに誰かを認めたら自分から先に挨拶する。自ら決意して選択した行動を続けることが、その人の内にどれほど豊かな力を培うか。次から次へと、自分ができることを探して働き続ける彼の姿から改めて実感させられました。

誰に対しても、穏やかな笑顔で接し、その子が困り感を抱えていれば、いたわる言葉や行動を届けることに怯まない。後で使う人が喜んでくれるといいな。床からロッカーの上まで、注意を払い、清める姿から、彼女の心の声が聞こえてくるようでした。

笑顔で元気に生き生きと。小柄な彼女ですが、全身から発するエネルギーは、周囲の人の心を温め、次の一歩を選びとる勇気を届けています。傘立てやボール入れを動かし、掃除し、また戻す。そんな作業すら楽し気に行う姿を見ていると元気が出てきます。

ゴミ集めを一手に引き受け、てきぱきと処理する。自分にとって心地よくても、そうでなくとも、決して下を向くことなくいつも真っ直ぐに顔を上げ、明るい言葉や声で状況に対応する。ムードメーカーとはそういう人のことを言うのだと、彼の姿から学びました。

タイルの土間の、目に見えないような砂埃を黙々と掃き集めてちりとりへ。自分の役割を理解し、手を抜かず、きちんとやり遂げる。後年、通学班長として、校門を入るまで決して下級生から目を切りませんでした。3年生ながら、彼の姿は律儀という言葉を体現しています。

10人の掃除チーム。一人一人の前向きな思いが、児童玄関で、素敵な音楽のように響き合って、皆さんの心に入り、一段と、取り組む気持ちと仲間に対する信頼の気持ちを高めていました。靴箱や、床、土間だけでなく、空気までが美しく輝いているように見えました。チームワークとは、こういうことを言うのだと、その高まりは、こんなにも大きな力になるのだと、皆さんの姿から学ぶことができました。ありがとう。

そんな思いで全員にお伝えしました。

かけがえのないあなたへ。
素敵なきらめきをありがとう。
出会ってくれてありがとう。
生まれてきてくれてありがとう。
どうか、ありのままで。
どうか、幸せで。

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