見出し画像

春のような温かさがいつもある学校に… 気づくことと、行動することの距離を、怯まずに跳び超えた君を尊敬する 〜心の宝物180

🌷家へ帰る人波に逆らって


コロナ機の学校
帰りの会が終わりました。
校舎の2階から、学年下校の集合場所に急ぐ、2年生の子供たちの波が、階段を埋めます。
「ソーシャルディスタンス!」と呼びかける声に交じって、「トイレのスリッパが乱れているよ」という声が響きました。きっと多くの子が、心の中では立ち止まったことでしょう。しかし、階段を下に向かう人の流れには抗いようもありません。
心に響くことと、行動することの間には少し距離があることを感じつつ、あるいは全く意識もなく、子供たちは玄関へと急いだことでしょう。

その中で、半ば以上階段を降りていた彼が、人波に逆らって、階段を上っていきました。

🌷気づくことと、行動することの距離を、怯まずに跳び越えた君を尊敬する


彼は多くを語りません。ゆったりと大らかに、マイペースで過ごしています。はしゃいだり、仲間の前で大きな声を出したりすることもあまりありません。
かといって、決して引っ込み思案でもありません。とりわけ運動や遊びの場面では、存在感を発揮します。体格に恵まれていますが、それをかさに力任せに行動するようなところはみじんもなく、むしろ小さな子を気遣いつつ、にこやかに、ゆったりと楽しむ姿は仲間たちから親しまれています。

このエピソードは、担任の先生から伝え聞いたので、私はもちろん目撃してはいません。しかし、そのときの彼の表情は、容易に、そうして(きっと)確かに想像することができます。
穏やかに、しかし、いつもよりちょっとだけ引き締めた表情に決意を込めて、彼は、人波に逆らって階段を上っていったに違いありません。
そうして、声をかけてくれた子といっしょに、黙々と、スリッパを整えたことでしょう。
きれいに整え終えて、その子や周りの子が「ありがとう」と声をかけるのに、誇ることも威張ることもなく、小さくうなずいて、何事もなかったように、階段を降りて行ったことでしょう。

いつも穏やかに、ゆったりと、周りに春の風のような温かさを届けてくれる。そんな君のこのエピソードをきいたとき、ちょっとびっくりした。でもすぐに、合点がいった。これまでの君の、大らかな優しさを支えているものが、これだったのだと心から納得がいった。
あっと思うこと、気づくこと。それだけでも素晴らしい。優しさのアンテナを、細やかに周りに向ける自分を選び取る、しなやかな心を見習いたいと思う。しかし、そのことと、そこでとらえた「気づき」にしたがって行動することの間には、狭いようで実は相当に大きな距離がある。

誰もが跳べる。

しかし、大きな勇気が必要になる。

きっと君はそんな風には思っていない。しかし、帰りを急ぐ人波の中で、君が振るった勇気は、君が思うよりはるかに大きいと思う。
そんな君を、心から尊敬するよ。

そんな思いで、お伝えしました。

かけがえのないあなたへ
素敵なきらめきをありがとう
出会ってくれてありがとう
生まれてきてくれてありがとう
どうか、ありのままで
どうか、幸せで

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?