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春のような温かさがいつもある学校に… 決して当たり前だとは思わないよ 〜心の宝物178

🌷決して当たり前とは思うまい


山に囲まれた小さな学校
周囲の山から吹きおろす風が冷たさを増し、古い校舎の底冷えは、日に日に厳しくなります。日によっては、廊下は氷のように冷え切りますが、そんな日にも、掃除の時間にはそこに膝をつき、張り切って磨き清める子供たちです。共に取り組む仲間の存在、お腹に落ちる意味や値打ち、それを受け止め、行動を決意する心の強靭さ。

あたりまえのように元気に取り組む子供たちを、決して当たり前だと思うまいと自身に言い聞かせつつ、敬意を短く伝えながら全校を巡回します。

 そんな子供たちから敬意を集めていたのが、6年背の彼女でした。

🌷人として生きるということを、あなたの姿から私たちは学んでいるよ


彼女の掃除場所は、手洗いの流しの周辺でした。寒くなればなるほど、つらさが増す場所ですが、彼女はそんな素振りを少しも見せることなく、黙々と、しかし全力で取り組んでいました。

冬を前に、この学校では虫歯予防や冬の感染症予防の取組に、いつにもまして力が入ってきていました。手洗い、うがい、歯磨き。手洗いはそのどれにとっても欠くことのできない、むしろ中核をなす場所です。

その場所を清らかに保っておくことは、仲間の命を守ること。意志が強く、寡黙な彼女が、そう口に出すことはありません。しかし、冷たい水に手が真っ赤になるのもいとわず、細かなところは歯ブラシを用いるなどして取り組む姿は、心の内にそんな決意があるに違いないと見る者が感じないではいられないような力に満ち、下級生からはその姿への感動と感謝を伝える声が、日々私に届けられました。

底冷えする校舎の寒さも、手を切るような水の冷たさも、仲間が手を洗い、歯を磨いたりうがいをしたりした後の水を吐き出す場所であることも、何一つあなたの行動を妨げていないように見える。

そんなことがあろうはずはない。心の深いところでは、迷いも、つらさもあるだろう。そういう気持ちが湧くことは、人として当たり前であることと同時に、そういうものに左右されない人がいることを、あなたは行動で仲間に教えてくれている。あなたの行動を支える、そんな強い信念が、あなたの姿を通して、仲間の心に届いている。

働くとは、仕事をするとは、人として社会の中で生きるとはきっとこういうことなのだろう。大切な、大切なことを、私たちはあなたから学んでいる。ありがとう。

そんな思いで、お伝えしました。

かけがえのないあなたへ
素敵なきらめきをありがとう
出会ってくれてありがとう
生まれてきてくれてありがとう
どうか、ありのままで
どうか、幸せで

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