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人生の終着駅が来る前に。な、話し。



閲覧ありがとうございます。

今日は、ある知り合いの老婦人のおうちに
お邪魔した時のコレアレを書いておこうと思います。



わたしは、時々、祖母の昔からの友人の方が所有する賃貸物件に関する用事を頼まれますが、その友人も、足が悪くなり、また、不動産屋さんからの相談ごとなどが、「煩わしい」と感じる日々が老齢のせいか、多くなったようでした。


4月最初の日曜日の午前中に、「ぜひ来てくれないか」と、連絡があったので、出かけていきました。


鍵は開けてあるから、そのまま、入ってくれという、申し出をすっかり忘れ、ピンポンを鳴らしてしまったわたしは、大家さんちのプードルの罵声を浴びることになりました。



ギャンギャンギャンギャン!!


(ひっ!)

「RIAちゃん!大丈夫だから、入ってきて!」

奥から大家さんが叫びますが、プードルご本人から
「大丈夫ですよ。お上がりください」と、言われなければ、安心できません。
アワアワしていると、大家さんが、激熱プードルを呼んでくれ、プードルが回れ右したあと、サササとリビングに行きました。


「こんにちは!」

(!!)

男の人の声が聞こえたので、びっくりしたら、
大家さんちの息子さんが、パソコン画面からニッコリしていました。息子さんは、海外で医療の仕事をしていて、あちらの女性とご結婚されています。

画面の向こうから息子さんが話します。

「朝早くから、ごめんなさい。こちらが、この時間が余裕あったから。いつも、お世話になってます。
ごめんなさいね。それで、ペラペラペラペラペーラ
○□△☆ペラペラペラペラ」


「はぁ。」


「べらべらべらべら。という感じで、何ヵ所かアプローチしてるからべらべらべ」

(医者って、なぜ、早口なんだろ)

わたしの横で、(死んでもらいます)という感じの
目線を送ってくるプードルを横目で、警戒しながら、
なんとか、聞き取りました。

要約すると、母親が老齢化してるので、月々の管理料は要るが、どこかの不動産やさんと、委託契約を結ぼうと思う。だから、それまでの間、お世話をおかけします。
という内容でした。

「結果を待ってみて、進めます。よろしくね。」

医者から検査結果を見たあとの手術方針を聞いた患者みたいな気分になったわたしは、先生にやるようにぺこぺこしながら、
挨拶をしたら、向こうから通信が切れました。

「早速で、悪いんだけど、来月の最初にアパートの
消防設備点検をALSOKがやるから、立ち会いをお願いできないかな。小一時間で終わるから。」


「わかりました。(大家さんには、昔からお年玉やら入学祝いやら宝塚チケットやらいただいているし、
貰いっぱなしは嫌だし。)」

と、返事したわたしは、プードルと距離を取りながら、退去しようとしましたが、

「RIAちゃん、宙組、、」

「はっ??」

宝塚沼の話しが出たので、また、どっかりと座り込んでしまいました。

「去年は、トップスターお披露目公演のチケット、流れたけど、レビューで再開だね。観たいよね。」

「はい!(ALSOK隊員より劇団員に会いたいです)」

「わたしも、足が、サカサカ動いたら、行きたいの
だけど、仕方ないわ」

と、しんなりとしてきたので

じーっと、プードルを見つめ、「はよ、飼い主の所に慰めに行けよ!」と、心でアドバイスしました。


「一人息子は海外だし、嫁は言葉が通じないし、
なんだかね、、」

と、本格的に黄昏てきたので、覚悟しました。

わたしから見たら、不労所得生活者だし、見守る医療団体と、契約されているし、目付き悪いプードルがいっしょにいてくれるし、
黄昏れる要素がよくわからなかったのですが、

くどくどと、聞いていると、彼女の抱えている黒い霧は、「心の孤独」なんだなと思いました。
心の中の調度品は、現金では豊かに揃えることはできませんから、そこら辺なのかなと思い、

「うちのおばあちゃんは、花の写真をネットに載せたりしてますよ。同じ趣味の方々の写真も楽しんでます。それなら、動かないでお部屋で(目付き悪いプードルといっしょに)できますよ。」

「あら、わたしも、お食事とかお花の写真を載せたブログは、70代のころにやってたのよ」

「ほぉほぉ」

「でも、、お付き合いがねぇ、、お話しが合わなかったり、いろいろね。。」

「…………。」

別に、ネットの向こう側の方々とは、社会礼儀的に失礼な言葉をかけなければ、仲良くなる必要はないし、向こうも、そういう親密性は、求めてはいないと思うのですが、

ネット社会に対する期待や自分のスタンスは、人それぞれなんで、とりあえず、あいずちを打つだけに
しておきました。

「いつか、ゆっくりお散歩でも、わたしがお供しますよ。」


こういう言葉をかけたら、この場面での「正解」に近いだろうし、大家さんの、気持ちの霧が少しは晴れたかもしれません。


しかし、そういう言葉は、継続的にできる自信が無ければ、安易に言うべきじゃないし、わたしは、そんな、キャンディキャンディみたいな優しい人物ではないし、自分ができることだけをとりあえずコツコツと。が、信条なので、関口宏さんみたいな気持ちで、お話しを真摯にお聞きするに止め、
必殺仕事人みたいな、目付きのプードルに、ぺこぺこお辞儀しながら、おいとましました。


帰り道、外国人の観光客らしき方々が、
「SAKURA!SAKURA!」

と、言いながら、記念撮影をしているのを目にしました。4月だから、あちこち、桜が咲いていました。しかし、あの外国人ツーリスト達が囲んで喜んでるのは、
「桃の木」なんですが、周りの日本人は静観しているので、わたしも、勿論、通りすぎるだけでした。


目を楽しませてくれる自然の美には、細々とした
外野からの雑音は邪魔でしょうから。


大家さんちの窓から桜は、見えるのかなとか、
考えながら、帰ったあの日でした。


人生の自分の止まる場所が、沢山の人間がひしめく駅がいいのか、それか、閑散とした駅が、いいのか、はたまた、無人駅が、いいのか、

ほんと、人の気質次第だなと思いました。





どらえもんプロデュースのSAKURA




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