ショートショート パスタ

今日のランチは
明太子パスタを食べたと仰る女性に、
「美味しかったですか?」
と尋ねたところ、
「言われてみれば美味しかったです」
という答えが返ってきた。

では、
カルボナーラはどうなんだ?
と思った僕は、
「カルボナーラはお好きですか?」
と尋ねてみる。

すると女性は、
「カルボナーラはお好きなほうです」
と答えてくれた。

それだから調子に乗った僕は、
「ナポリタンはどのような感じですか?」
と尋ねていく。

そうしたところ女性は、
「今年の二月までは好きでした」
と答えてくれた。

なので、
その理由を伺おうと思った僕は、
「その理由を伺ってよろしいですか?」
とその理由を伺ってみる。

そうしたら女性は、
「え? なんで?
 って聞いていいですか?」
と聞いてきたので、
そう聞かれた僕は、
「いいですよ、
 って言っていいですか?」
と言った。

そうしたところ女性は、
「いいですよ」
と言ってくれたので、
それを受けた僕は、
「いいですよ」
とお返しした。

そうしたら女性は、案の定、
「え? なんで?」
と聞いてきたので、
僕は素直な気持ちとして、
「気になるじゃないですか」
と答えていく。

その気持ちに対して女性は、
「すいません。言いたくありません」
と暗い顔して言ってきたので、
そうか、じゃあ仕方ないなと思った僕は、
「そうですか。なら、しょうがないですね」
と言い、
「では、明太子パスタとカルボナーラなら、
 どっちがお好きですか?」
と質問を変えていった。

すると、
女性はその質問に、
「どっちかと言えば、カルボナーラかも」
と答えてくれたので、
また調子に乗ってみた僕は、
「じゃあ、カルボナーラとナポリタンなら?」
と問うてみる。

そうしたところ女性は、
悩む間もなく、
「ナポリタンかな」
と即答してきたので、
「え? なんで?」
と思った僕は、
その思いのまま、
「え? なんで?
 って聞いていいですか?」
と聞いていった。

それに対して女性は、
「いいですよ、
 って言っていいですか?」
とお尋ねしてきたので、
「全然いいですよ」
という気持ちの僕は、
その気持ちを全面に出していき、
愛想良く、
「いいですよ」
とそれを了承した。

という訳で女性は、
「いいですよ」
と仰ってくれた。

だから僕は、
「え? なんで?」
と聞いていく。

そうしたら女性は、
深刻そうな顔をして、
「それは言えないかな。言いたくないです」
と言ってきた。

であるので僕は、
「そうですか、すいません」
と軽く頭を下げて謝っていく。
そして頭を上げたら、
もう一回、
「明太子パスタは美味しかったですか?」
と尋ねてみる。

そうしたところ女性は、
「やっぱり言われてみるとよね。
 本当に美味しかったわ」
とグッドスマイルを見せてくれた。

それだから僕も同じ様にグッドスマイルを
見せていって、
「この後は、ラーメンか焼きそばですか?」
と尋ねてみる。

そうしたところ女性は、
「この後は勿論、明太子パスタよ」
と言ってきた。

なので僕は、
「また食べるんですか!?」
と驚きの声を上げていく。

そうすると、
その声を受けた女性は、
「言われてみれば、
 また食べるの私? とは思うわ」
と言ってきた。

であるから僕は、
「相当、美味しかったんですね」
と声を掛けていく。

そうしたら、
その声に対して女性は、
「いや、そうなのよ。そう言われると、
 相当、美味しかったわ」
と言ってきた。

なので僕は、
「そうなんですね」
と笑顔で頷いていき、
「なんか僕も明太子パスタを食べたくなっちゃいました」
と今の正直な気持ちを、今、正直に言った。

そして最後に僕は、
「長々とお付き合いありがとうございました」
と感謝を述べていく。

そうしたら女性は、
「いえいえ。でも、そう言われると、長々とお付き合いありがとうございましたと言われるだけ付き合った気がするわ」
との感想を述べてきた。

と述べたところで、
そのすぐ後に女性は、
「じゃあ、お元気で」
と言って、去って行かれました。

じゃあ僕も、
明太子パスタを食べに行こうかな。
いや、ナポリタンにするか。


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