見出し画像

【おいしくて面白いイタリア実習】~フィレンツェ編~

私の学部には、ガストロノミックスタディプロジェクトという講義がある。

ガストロノミックスタディプロジェクトとは
教室での学びと実社会の接点となる国内・海外の食の現場に学生が実際に身を置き、課題解決型学習を通じて学びを深め、新たな体験を通じて学びの視野を広げることを目的とする正課授業

https://www.ritsumei.ac.jp/gast/can/program02/

入学してからの3年間はコロナによってこの講義は日本国内だけで完結していた。しかし今年はやっと海外プログラムが始動することになったので、大学生最後の夏休みはこの正課授業に参加することにした。
私の選んだプログラムは、イタリアのプログラム。日本人初のフィレンツェ市公認ツーリストガイドであり、スローフード協会イタリア本部の唯一の日本人スタッフとしてスローフードジャパンの創立に関わった私のゼミの先生が企画するものだ。
もうすでにプログラムの5日目あたり。ここらでここまでの旅を振り返ってまとめておきたいと思う。

べニッシモなホテル


9月6日の夜にフィレンツェ空港に着き、貸切バスでホテルへ。長時間フライトの後、早く部屋に行きたいのに私の部屋は他のみんなとは少し離れた棟だった。長い坂道を重い20キロのスーツケースと登り、部屋までは何段も階段があってもう体力は限界に達していた(笑)



9月7日7:30朝食を食べにレストランへ。

澄んだ空気と素敵な朝日、どこを撮っても絵画のような景色の部屋でチーズやトマト、生ハム、パン、ケーキ、ヨーグルトなどを食べた。

カプチーノをお姉さんに頼み、淹れたてを頂く。泡立てられたミルクは甘くて濃厚でクリーミーだった。食べている途中に採れたてラズベリーをカゴで運んできてくれて、スプーンを使って口いっぱいに頬張った。その後、部屋がある棟に戻るとそこでも朝食が食べられるようでさっきのレストランには無かったフルーツやオムレツがあった。ホテルのお姉さんに食べてもいいか聞いたらもちろん食べて!美味しいからこれもこれもって勧めてくれたので2回目の朝食を楽しんだ。違う棟の部屋の特権だと勝手に思って、ここではエスプレッソをお姉さんに頼んだ。はい、幸せです。

その後はホテルの農場を散歩。ロバ、ガチョウ、孔雀、ポニー、ダチョウなどあらゆる動物が放し飼いされ、有機栽培の農作物、有機はちみつ、エクストラヴァージンオリーブオイル、チーズが生産されているらしい。フィレンツェ市内から5キロ離れていて、広大な自然とルネサンス時代のピエトラセレナの採石場があるホテル。動物はおしとやかで、優しそうな目をしていて、臭くない。採石場はラプンツェルの塔みたいだった。

そしてオリーブの講義を受けた。オリーブは2種類あって、モライオロ、フラントイオの違いを学んだ。その後、オリーブオイルができるまでの工程について学んだ。そしてトマトを収穫した。長いトマトや今にも破裂しそうな野生っぽいトマトだった。

中庭に行って、オリーブオイルの試飲をした。マイルドだったり少し辛味があったり。少し温めると香り高くなって幸せになった。そしてさっきの採れたてのトマトのブルスケッタを食べた。外で食べると気持ちが良くて、開放的な気分になれた。美味しくて「Can i have more??」って言って沢山食べた。



その後は農場ランチが私を待っていた。グリル野菜、ペコリーノチーズのフレッシュなやつと熟成Version。グリル野菜の力強い野菜の味とオリーブオイルのシンプルな合わせ技が私を幸せにした。そして生ハムとメロン、ボロネーゼパスタとみずみずしいかぼちゃ入りのリゾットを食べた。

定年退職されたフィレンツェ大学の歴史の先生とお散歩


午後は、先生のフィレンツェ大学時代の歴史の先生にフィレンツェの案内散歩をしてもらった。ポンテヴェッキオの日時計のトカゲから始まって、噴水に生えていた服にくっつく不思議な草の話、超古い絵の話とか、キリスト教が認められる前の文が書かれた石とか。石畳だからか足が疲れて、暑い、座りたいと言いながら計4時間歩き続けた。歩数計は2万歩。案内してくれた方はだいぶおじさんなのに体力ありすぎてびっくり(笑) 見習います(泣)


歩き疲れ、私達は先生おすすめのシチリアの製法方法、原料はナチュラルなもので脂肪分や糖分が少ないCarabeのジェラート屋さんに行った。フレイバーが多くて迷ったが、いちじくといちごチーズジャラートに決めた。果実がアイスに閉じ込められたようでさっぱりジューシー系で美味しかった。

イタリアンイケメンと行くNight Safari


夜はサファリツアー。お昼に見たロバとかだけかと思いきや、枝の上に止まっているメスとオスの孔雀、そして危険区域みたいなところに入っていって、ガッタガタな道を進み、うさぎを見つけた!3匹いた。結構すばっしっこいし、大きかった。耳も大きい。親子とかじゃなくて、一匹ずつ。25度の急斜面を登ったり下ったりのサバイバル運転でハラハラジェットコースターみたいで楽しかった。

そういえば部屋のシャンプーとかボディーソープは食べる用のオリーブオイルで作られたすごく良い製品らしいから贅沢に使わせて頂いた。


街全体が美術館のフィレンツェ


9月8日、昨日の朝に食べたいチョコレートチーズケーキがさらにお金を必要とすると知り寂しそうな顔をしていたからか、特別にそのケーキをマンマがくれてテンションバク上がりに(単純です)。30分で朝ごはんを食べてフィレンツェ街へ。(本当はもうちょっとゆっくり食べたかった、、。)

街は歴史的な教会、サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂を始めとするルネサンス時代の息吹を感じられるものが多かった。そしてウフィツィ美術館に入った。先生の特別なガイドにより重要な絵をわかりやすくスピーディーに、豆知識を頭に入れた。ガイドなしでは何を見たら良いのかわからないしすぐに疲れてしまいそうな広さの美術館だった。中学の教科書に載っていてテストのために頭に叩き入れていたボッティチェリの「ヴィーナスの誕生」やレオナルド・ダ・ヴィンチ「受胎告知」を実際に見て、その様子や伝統的な場面を魅力とともに感じ取った。そういえばボッティチェリという名は本名ではなく実はお兄さんが酒飲みだったからボッティチェリ(酒樽)となってしまったらしい。マリアは赤い服に青いマントを着ていることが約束事だということ。あとは修復作業によって新たに発見された細かい花の絵のこと、ヴィーナスの誕生は近くで見たら実は2つのキャンバスを使って描かれていることなど、実際にその絵を見ながら学ぶと本当に楽しくて時間があっという間だった。

その後は美術館のところでアイスのカプチーノを頼んで飲んだ。コーヒーフラペチーノみたいで美味しかった。こんな素敵な景色の見える場所で飲むとルネサンス時代にいる気分。


サンタ・マリア・ノヴェッラ近くの広場を通りすぎるとき、友達が道端で売っていた絵を踏んでしまったみたいで45ユーロで買えってめっちゃ怖く言い寄られ、私達は怖すぎて猛ダッシュしてマックに駆け込んだ(交番ではない笑)。心臓がバクバクしてるのがわかるくらいで、本当に怖かった。2分間の全力疾走だった笑

キャンティ・クラシコワインのイベント


9月9日、朝4:45に起きてホテルについてるプールに入った。朝日を見ながら、どこからか登る気球を見て、素敵な色のグラデーションと友達との心満たされる時間を過ごした。


この日はキャンティEXPOに行った。

これは年に一度のキャンティ・クラッシコの祭典で、グラスを15ユーロで購入すると7種類のワインをテイスティングできるとのことだったけど実質飲み放題。より樽でねかされたワインは複雑で深くて、浅い年数のものはフレッシュだった。キャンティ・クラシコは、主にサンジョベーゼを原料として作られ、厳格な条件下で生産された高い品質のワイン。もちろんデザートワインまで楽しんだ。”Buono” とBuonissimo”しか言えないけど、それ以上に顔で驚きと感謝を伝えた(つもり笑)。

天上天下唯我独尊のリゾット


お昼はマンジャンド・マンジャンドで伝説の黒豚を食べた。フィレンツェ大聖堂のクーポラ建設で職人に振る舞われたというペポーゾはサルヴァトーレの情熱の贈り物らしい。サラミはフィンネル入と黒胡椒入、生ハム、レバーペーストがのったパンを食べた。その後1時間は軽く待たされて、やっとリゾットが出てきた!!特別なサフランが手に入ったそうで、本当に感動するレベルのリゾットを食べた。サフラン、フォンドゥータ、ズッキーニ、カルナローリ米のリゾット。少し固めでサフランの風味とチーズのとろみは本当に格別。リゾットという料理は食べたことがあるはずなのに「むむ?なんだこれは…??」と初めて食べた人みたいになった。天上天下唯我独尊のリゾットや…!パスタはトマトベースではなく、パセリとチンタセネーゼのラグーのボロネーゼ。複雑な味わい。最後はメインディッシュの黒豚2種類。トスカーナで有名なキアニーナ牛はほぼ絶滅危惧種。付け合せのセロリの苦味がお肉をさらに美味しくさせて、玉ねぎは甘かった。赤ワインで煮たほろほろお肉と白ワインで煮た繊維のお肉。口の中が天国。夢見ていたみたい。デザートはパンナコッタのチョコレートソースがけ。最後にエスプレッソ飲んで終了。やっぱりドルチェの後にキュッと飲むのがイタリアンスタイルだ。私は一緒に飲みたいと思ってしまうジャポネーゼ。合計3時間のお昼ごはん。さすがスローフード!(笑)日本人の私達は「え、さすがに遅くない?」の言葉を連呼。でもイタリア人は焦る様子は一つもなく、ゆったり時間を楽しんでいた。日本人はイタリア人より生き急いでるのかしら、、。こういう時間も大事だなって少し考えさせられた。

その後ワインを飲んでバスでホテルに帰宅。スカートがきつくてワインは想像以上に飲めなかった。次回はゴムのズボンで行きたい。本当に多くの人で賑わっていて、結婚式をあげている人もいた。生産者さんたちは丁寧に樽でねかす話とか、味わいの話をしてくれた。

ホテルのお姉さんとベスフレになった

9月10日朝、この日の朝食にはスイカがあって、ナス入りオムレツ、リコッタチーズとトマトの組み合わせは最強に美味しくて、バルサミコ酢をかけてさらに幸せの頂点に。焼き立てクッキーをカプチーノにつけて食べたら凄く美味しくてハマった。一番最初にご飯食べに来て、1番最後まで食べていた(この朝ごはんを食べる時間が大好きなただの食いしん坊)。
最後にカプチーノ作ってくれてたお姉さんがわざわざ私たちのところに来て、「あなた達にあえて嬉しかった」とイタリア語から日本語翻訳して見せてくれた。私はイタリア語専攻ではないし、彼女も英語があまり得意ではなさそうだったから、必死に翻訳機に頼って、簡単な英語を使いこなして会話をした。そして私達はベストフレンドになった。なぜお姉さんが私達にこいうやって言ってくれたのか不思議だったけど、初日から美味しい!とかこれ食べたいな❣️って指ハートをしながらお姉さんに、これ以上口角上がりませんってくらいのニコニコ顔で話しかけに行っていたからかもしれない(笑) こういう愛や幸せの表し方は世界共通で、感じ取ってくれる人との思いの重なりで心の距離がグッと縮まるんだなって思った。もうお姉さんのことが大好きすぎてホテルを出る時、手紙を残した。読んでくれるといいな。

フィレンツェ最終日


午前中は骨董市に要らないものを買いに行った。途中、ここは愛人を見るために建てた家、広場で昔何がされていたのか、の話を聞きながら、GUCCIやフェラガモの本店を見て骨董市に行った。骨董市にはパチモン?のブランド物が並んでて(意外に高い)、絵、お皿、アクセサリー、カトラリーがあった。
そして歩いて中央市場に向かった。そこでランプレドットを食べた。5ユーロだった。ランプレドットは、牛の4番目の胃(日本語ではギアラ)の事で野菜やハーブ、スパイスを長時間煮込んだB級グルメらしい。ピッカンテ(辛い)ソースもやみつきになる味で、パンに胃袋で煮た汁が染みてて美味しかった。パンは工業製品用だったから、真ん中は空洞じゃないから手でちぎって捨ててた。大きい声でわー!食品ロス!とか言っちゃった笑 本当は真ん中が空洞になるパンを使うらしいけど、作るのが難しいらしい。その後、ティラミスとか食べようかと思ったけど先生が幻の塗ったら幸せになれるオイルがあると言うから先生についてEATALYっていう成城石井のさらに高級versionマーケットに行った。このマーケットはスローフード協会が保護している商品を沢山売っているところで、美味しそうなお菓子、パスタ、オリーブオイル、クリーム類があった。お目当てのオイルはなかったけど、見てるだけで楽しかった。

次の日はフィレンツェからモデナに移動する。

さあこれからどんなことが待っているのかな。一期一会の積み重ねに感謝しながら、明日からもおいしく面白く学んでいきたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?