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【映画鑑賞】『チューズ・ラブ~選択は、愛~』観ました。

このページをご覧いただき、ありがとうございます。
ロマコメ大好き、黒木りりあです。

私が個人的に、動画配信サービスNetflixの一番の魅力はロマンティック・コメディ作品にあるのではないか、と思っています。
定額のなかで、スマートフォンやPCなどの決して大画面でなくとも自分空間でザクザクと何作も楽しめる、というスタイルがひとつのNetflixのパターンだった、と思うのです。ある時期までは。巨額の製作費を投じるわけではなく、他のサービスや配給会社が扱わないようなロマコメ作品を一時期はオリジナル作品としてたくさん制作していた印象で、近年も注力はされていないもののやはりそのような作品がヒットしている印象です。


インタラクティブなロマコメとは

そんなNetflixが得意としていたジャンルで、新たな試みの作品がこの夏に配信されました。それが『チューズ・ラブ~選択は、愛~』です。Netflix初のインタラクティブなロマコメ映画作品です。
インタラクティブな映画がどういうものかというと、作品の途中で画面の下に選択肢が登場します。制限時間内に自分の意思で選択肢を選ぶと、その選択に基づいて物語が進む、という仕組みです。つまり、視聴者が物語の先行きをコントロールすることができるのです。

『チューズ・ラブ~選択は、愛~』あらすじ

人生に迷いが生じているキャミは、占い師をたずねる。そこで、彼女のロマンスの相手として三人の男性が浮かぶと言われて、キャミは戸惑う。彼女の人生に存在する男性はたった一人、三年来の恋人ポールだけのはずなのに、と。

ポールとの関係は至って良好で、お互いに相手を非常に良く理解している。この関係にキャミは特に不満を抱いてはいなかった。
しかしある日、姉の代わりに姪を学校に送った際に昔の恋人であるジャックと偶然再会する。ジャックとはお互いに嫌い合って別れた訳ではなく、単純にお互いの進む道が異なったための自然消滅だった。彼との再会に胸をときめかせるキャミだった。
キャミが仕事場であるレコーディングスタジオに行くと、ロックスターのレックスがレコーディングしているところに出くわす。昔は歌手を夢見ていたものの現在はミクシングを主な仕事としているキャミは、レックスの曲をより良くするアイデアを彼に明かし、気に入られる。

自分のキャリアにも迷いながら、ポール、ジャック、レックスの三人の男性の間で揺れるキャミの人生の選択をするのは、他でもない視聴者。視聴者の選択によって結末まで変わる、インタラクティブストーリー。

新感覚なインタラクティブ作品

視聴者参加型作品の延長として、インタラクティブな映像作品自体は他のジャンルで既に存在しています。Netflixが発明したわけではありませんが、映像作品とゲームの両方でこの手法をよく活用しています。この手法を用いてロマコメ映画が制作されたのは初めての試みでした。
映画では初めてかもしれませんが、インタラクティブなロマコメ作品はゲームでの実績があります。スマートフォン向けのアプリゲームでは多数のサービスが展開され、人気を博しています。それを実際の映画に導入するのは斬新ですし、非常に面白い試みだと思いました。
驚いたのは、選択肢に応じるストーリー展開が非常にスムーズだった点です。編集の方の腕が良いのでしょう。ゲームなどでは分かりやすい繋ぎ目が、個人的にはほとんど分からなかったのはすごいな、と思いました。
このような視聴者参加型作品は配信ならではなので、今後も発展を期待しています。

インタラクティブ作品の課題

この手法の作品には可能性を感じるものの、課題は非常に多いとも感じさせられました。

まず、初めてだからでしょうが、作品自体が1時間少しと非常に短い点です。ものすごく短いです。あらすじから推察できるでしょうが、視聴者はキャミのパートナーを三人の男性から選択することを迫られます。ですが、この短時間で選択するのは非常に困難です。
インタラクティブなロマンスゲームを、私はいくつもプレイした経験がありますが、一つの作品がもっと長く、選択に足る根拠があります。しかし、この映画だと短すぎてそれがほとんどなく、フィーリングで選ばないといけません。
作品が短ければ他の選択肢を試すなど繰り返しプレイしやすい利点はありますが、作品の世界に没入するにはやはり短すぎます。

また、ストーリーがおざなりになっているのも気になりました。短く納めるために仕方がないのかもしれませんが、単純に映画作品としては少し残念です。特に、レックスとのストーリーライン。
主人公キャミを演じるのは歌手としても活躍する女優のローラ・マラノです。彼女の代表作の一つが、ディズニーチャンネルで放映されたドラマ『オースティン&アリー』です。大好きなドラマなので是非おすすめしたいのですが、その話はまた別の機会に……。
レックスとキャミのストーリーラインにはこの『オースティン&アリー』を明らかに意識していることが分かる演出が多々ありました。作品時間が短いからのあからさまな演出に感じられて、残念だな、と思いました。
これ以外にも、王道のストーリー設定をたぶんに持ち込むことで作品時間の短さから生じる弊害を隠そうとしているのが推察できてしまった点はもったいないと感じました。

そして、一番は選択肢が表示されている間も物語が普通に続いている点です。会話の途中で選択をしないといけない場面などでは、会話を聞くのと選択肢を考えるの、どちらもに集中するのが難しいときがあり、より作品の世界に没入しづらかったです。インタラクティブという演出上仕方がないことではありますが、残念だったかなと思いました。

総じて、斬新な企画で新鮮さはたぶんに感じましたし、潜在的な面白さはたくさんあるものの、まだまだ発展が必要な作品と分野だと思いました。ローラ・マラノをはじめとした出演者の演技などは良いのですが、課題は多いです。
映画ではなくシリーズものの方がインタラクティブなロマンスものは合うのかな、と思いました。とにもかくにも、この面白い試みが今後も発展していくことを願っています。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
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