あなたの決断は誘導されている
「深夜にネット通販で衝動買いしてしまった」
「学校帰りや仕事帰りに、ついつい寄り道してお金を使い過ぎてしまった」
「ショッピングで余計な物まで買ってしまった」
皆さんもそんな経験はありませんか?
その時の決断は、ひょっとすると誰かに仕掛けられたトリックで誘導されていただけなのかもしれません。
人間が一生の間で衝動買いに費やしてしまう金額は平均して約1300万円と言われています。
お客さんが知らないうちに衝動買いしてしまう秘密のメカニズムをここで明かしちゃいます。
スタンフォード大学のジョナサン・レバーブ准教授が発表した「ドイツの新車販売店での実験」「イスラエルの仮釈放委員会の決断の分析」に関する論文によると、人間は決断に迷えば迷うほど、精神が疲弊してしまうことで、金銭感覚が麻痺して衝動買いしやすくなるということが科学的に明らかになっています。
ドイツの3都市にある新車販売店で750人の顧客を対象に実験が行われました。
この実験では、顧客は新車を購入する際、オーダーメイドで「内装」「外装」「エンジンとギアボックス」「ホイールリムとタイヤ」「ハンドル」をそれぞれ数十種類の中から1つずつ選び、さらに「6種類のバックミラー」「4種類の変速ノブ」など、膨大な選択肢の中から選んで購入することになっています。
すると、ほとんどの人たちが途中で選ぶのに疲れてしまい、最終的には店員から薦められるままに高いオプションまで買う人が続出するという結果に。
イスラエルの仮釈放委員会が下した決断を1100件以上(過去1年分)分析したところ、審査の順番が最初の方だった人に対しては仮釈放を認める割合が高く、審査の順番が最後の方だった人はその割合が低かったことが明らかになりました。
午前中に審査された人の約70%が仮釈放を認められたのに対して、夕方に審査された人で仮釈放が認められたのは約10%以下でした。
つまり、後になればなるほど、審査委員は「釈放しなくていい」と、途中で思考を放棄してしまう傾向にあったのです。
この調査結果からも「新車販売での実験」と同じく、「決断疲れ」によって冷静な判断ができなくなっていることが分かります。
この「決断疲れ」を利用したマーケティング手法は私たちの身の回りでもよく使われています。
例えば、テレビショッピングは消費者の購買意欲を煽るために、1日の中で肉体的にも精神的にも最も疲れている深夜帯を狙って放送しています。
飲食店のメニューで膨大な数の料理と一緒に「おまかせコース」を用意してあるのも、「決断疲れ」を利用してコースメニューを選んでもらうように誘導するという販売術です。
他にも、コンビニやスーパーのレジ付近に安いお菓子が置かれていたり、高級腕時計の販売員が最初に高い腕時計をたくさん紹介して最後に本命の腕時計を薦めるなど、「決断疲れ」の理論はあらゆる場面で活用されています。
Facebook創業者のマーク・ザッカーバーグや資産家のウォーレン・バフェット、第44代アメリカ大統領のバラク・オバマなど、数々の著名人は、無駄な「決断疲れ」を回避するために毎日同じ服装で生活するなどの工夫をしています。
Apple創業者のスティーブ・ジョブズが駐車場でいつも障害者専用のスペースに自分の車を停めていたのも、おそらくどこに停めようか迷ったりする時間を削減するためだったと考えられます。
「決断疲れ」の理論だけでなく、他にも行動心理学に基づいた様々な手法によって、無意識のうちに私たちの思考回路は誰かに誘導されていることが多々あります。
逆に言うと、自分が誘導されているということをあらかじめ理解しておけば、これまでより良い決断を下すことができるようになるので、その後の人生、すなわちあなたの未来は少しずつ変わってくるかもしれませんね。
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