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野菜会議(2)

「ウエです♡」
「ナカです♡」
「シタです♡」
「せーのっ。三人合わせて、国産100パー、パフュームです❤︎!!」
(ウエ)「キャハハ!!!300%って私だけ間違った!ぴえん超えてぱおん!」
(シタ)「キャハハ!!!300%って言いにくっ!それはむしろキュンです!!」
(ナカ)「キャハハ!!!いみふー!!あえて感が最高です!!」

by Natto Perfume

若さとはエネルギーであり、栄養だ。鮮度だけで若さを判断しがちだが、身体中に行き渡る活力こそが、若さだ。つまり80歳になっても「若さ」は放出できるし、10代でも無気力な人からは「若さ」を感じられない。年齢とは如何に愚かな指標だということに気が付くだろう。ちなみに、納豆パフュームは発酵食品でもあり、熟成を経ているので発言ほど若くない。人間でいったら30代後半だ。

「おいおい、今日はお前達、はしゃぎすぎじゃないか? 発酵研究所の恥にならない程度にしてくれよ。まあ、最近忙しかったからな、お疲れサマンサタバサっ」

味噌BOSS

そう言って颯爽と現れたのは、この冷蔵庫の10%は占める自家製味噌の「味噌BOSS」だ。いきなり「味噌BOSS」と言われても、一体どんなキャラクターなのか。他のどんなキャラクターより想像しにくく、読者を置き去りにしていることは重々承知だ。「野菜ならわかるけど、ギリ、米もわかるけど、味噌ってさ。。」という呟きはごもっともだ。そんな方々は、味噌を擬人化するのを諦めてもらいたい。その代わり、こう想像してほしい。

味噌が詰まったタッパーの角に足を組んでにっこり微笑む小人の

「竹野内豊」

味噌を竹野内豊にするのは無理があろう。そんな無茶なことは要求していない。味噌の上に乗っているだけだ。誰が何と言おうと、私の中で2022の自家製味噌は「竹野内豊」なのだ。この味噌で味噌汁を作ると、荒く潰した大豆がお椀の底に沈むが、この感じが竹野内豊のセクシーな顎髭を連想させる。色も煉瓦色なところが大人の男にしか醸し出せない気がする。塩分が高いはずなのに、むしろまろやかでカカオ率98%のチョコレートを食べているような官能だ。なのに、しょうもないギャグを言ったり、少年ぽさも醸し出すので、どんな野菜達からも人気。そこが味噌っぽい。

えっ? わからない? 本気で言ってるの? でしたらもう、わからなくて結構です!(逆ギレ、プンプン)。とにかく、竹野内豊がこの冷蔵庫にいるのよ。

本題から激しく脱線し、個人的な嗜好に走ってしまった。失礼致しました。

ごめんなさい

ーーーーー
本題に戻ろう。竹野内豊が、いや味噌BOSSが言った「発酵研究所」とは何か。
この研究所は決して一般的な冷蔵庫にはない。この冷蔵庫の所有者であるサキという名の女は元々のオタク気質も相まって、美容に並ならぬ関心を持っている。よく「本棚を見ればその人の性格がわかる」などというが、冷蔵庫も然り。食生活は「その為人(ひととなり)」を如実に表す。
この「発酵研究所」は冷蔵庫の上から1段目、2段目の「後ろ」をほぼ占拠している。タッパーに詰められた自家製味噌(2022は玄米麹)のほか、米麹、納豆麹、醤油麹、糠漬け、発酵小豆、椎茸の成分が入った追加で足す糠漬けの元、納豆ーーー。そういった、発酵食品がこのフロアを占めている。
研究所のテーマは「食と美容」。食品のどのような成分、栄養が美肌に影響が出るのか、食べるタイミングはいつで、量は何が最適か、何と何を掛け合わせたら効果的か、といったことを日夜研究している。表向きには「健康第一」を看板に掲げているが、真の姿は「秘密美容研究所」と理解していただくのがいい。

(ナカ)所長、すみません。ちょっと調子に乗りました。このテンションの方がビーツさんの緊張も溶けるのかなと思いまして。年末の忘年会の余興の練習も兼ねてみました。いかがでしょうか?本当は2000年前後の「ガングロ」衣装と設定で登場したかったのですが、流石にわからないかもと思い。ビーツさん、びっくりさせたかしら?ごめんなさいね。

(シタ)ビーツさん、初めまして。Aangenaam kennis te maken, Nice to meet you, どれが一番しっくりきますか?オランダがご出身だと伺いました。すみません、お会いする前にビーツ様のこと、勝手ながら調べさせていただきました。カリウムや鉄分が豊富とのこと。我々納豆はビタミンB2が豊富ですが、あなた様はB3も含まれてるとのこと。なんて美しい。

(ウエ)下世話な表現でお恥ずかしい限りですが、あなたは「スーパーフード」と言われるジャンルの方です。人に、いや野菜に上も下もないのは当然ではありますが、あなたは自分が自分であることに自信を持ってくださいませ。

3人で1人


彼女達は「ギャップ」という素晴らしい魅力を持つ。何かと何かを区別、判別するためには違いがそこに必要だ。地味で真面目そうな女性が、結えた髪をサラリとおろし、メガネを外した瞬間にドキっとするのは、当然のことだ。想定外でかつ不快な領域ではない「ギャップ」は魅力でしかない。いや、違うな。不快な領域だと思ってたところさえも、オセロの黒が白になるように、魅了に変わるのかもしれない。「スカトロ」といったジャンルもハマればハマる、みたいなところか。私には残念ながらその領域には死ぬまで達せないだろう。ちなみに、最愛の男に「排泄でさえも愛おしく思うのって、あれなんだっけ? カストロ?」「それはキューバの革命家だろ、激しいな」と真顔で突っ込まれたのは、記憶に新しい。

兎にも角にも「納豆パフューム」の3人はあんな軽いノリで登場したものの、普段は黒縁メガネが似合う理系女子なのだ。賢いけどユーモアのセンスもあり、そして何よりエロい。ギャップこそが異性を惑わす最大の魅力ということを、体感的に理解してる。さすが「美容の研究員」だ。今日も多くの女性が納豆娘の前に長蛇の相談の列を作っている。納豆には頭が上がらない。

唖然としてるのは、五分つき米だ。彼は一体何のために今日、会議をしてるのかもすっかり忘れそうになり、立ち尽くした。

「(いかんいかん)。えー、納豆パフュームさん方。野菜に限定しないとは、どういうことですか?」

頑張れ五分付きさん

(ウエ)これは大変失礼いたしました。他の野菜とのコラボレーションはもちろん検討すべきところですが、まず、ビーツ様がご自身の方向性に悩んでいらっしゃるとのこと。方向性、つまりポジショニングを明確するのが先決です。

(ナカ)私共が勝手ながらご提案させていただきたいのは、やはり「美容」です。カリウムの含有量も非常に高いので、むくみ解消につながりますし、何よりそのお色、抗酸化効果があるベタシアニンはポリフェノールの一種です。どれをとっても美しくあるために欠かせない。

(シタ)ただ残念ながら、野菜だけ食べていれば美しくなれるという時代は終わったように思います。トレーニングなども含めて、「美」は総合的に考えなければなりませんが、食では特に、タンパク質が重要です。我々納豆も大豆でありながら、今となってはタンパク質です。髪や爪のつや、脂肪燃焼などタンパク質の摂取は極めて重要ですが、それだけでは足りない。宝石のようにキラキラ光る野菜の方々とコラボレーションし、過多になりすぎない程度の良質な脂質と炭水化物によって、理想の「美」へ近づくのです。

3人で1人

(3人揃って)
というわけで、タンパク質や炭水化物とのコラボもちゃんと考えてくださいね♡

これが言いたかっただけ

「あのう。。。ちょっといいでしょうか?」

会場の隅で、控えめなエシャロット君が手を挙げた。「どうしました?」と五分つきがいうと、エシャロットはすかさず、カバンの中からタブレット端末を出した。

「たまねぎさん、急遽リモートで参加できることになって途中から入ってたのですが、ちょっと発言させていただいてよろしいでしょうか?」

ざわざわーー。
噂話と井戸端会議をこよなく愛する、しめじママ軍団が目をキラキラさせて、小声で話し始めた。

「あの二人、できてるってー知ってた?」
「知ってた、知ってた!冷蔵庫なんて寒くて、無理ー!って言ってたのに、エシャロットに会いに、すっごい高そうな白いミンクのコートを着込んで、野菜室に来てたの、見た見た!」
「コート、質屋で買ったらしいよー!帽子もね!」
「えーーー!!そうなの?ちょっと羨ましい。いくらぐらいかな?」
「あれ?エシャロット君って、にんじんさんと付き合ってたよね?」
「2ヶ月前に別れたらしいよ!!傷心のエシャロット君を慰めてるうちに、好きになったって噂」
「えー、すごいー、私には無理ー」
「あれ、ジャガ兄とも付き合ってなかった?」
「二股?一夜限り?どっちが本命?私はエシャロットくんかな、可愛いし」

噂が大好きしめじママ軍団

しめじママ軍団の噂話でいっぱいになりそうなので、本日はここまで。


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