『素直さ』それは私にないもので、私が一番欲しいもので私が一番憎いものだ。時々、周りの人の『素直さ』が私にとって悪魔になる。

私の友達には不思議と素直な子が多い。言葉通り真っ直ぐな子だ。多分、彼女達のその素直さにどこか惹かれているから友達に多いのだと思う。一方私は素直じゃない。素直になれない天邪鬼だ。
その分自分で言うのもなんだけど人一番空気が読める。読めすぎる時がある（時に厄介）

友達の素直エピソードなんていくらでもある。

ep.1 終わらない質問

私の親友A子は間違えなく私の受験時代の戦友であり仲間だった。よく、2人でクラスに残って勉強したし、わからない問題を教えあったりした。
彼女なしでは考えられないほど、受験時代支えてもらったし支えていたと思う。彼女も今看護師を目指していて、今でもとても仲がいい。

そんな彼女と高校時代分からない問題を聞きに職員室に行ったことがあった。たまたま、同じ先生に質問したいことがあり、なかなか捕まらない先生だったので2人で向かった。

「先に質問していいよ」

私がそう言ってからがこの話の始まりだ。彼女は私が後ろで待つ前で分からない問題を質問をし始めた。時計をチラッとみると昼休みは残り十分を回っていた。少し嫌な予感を感じながら見守る私。その一方で彼女は時間を考える余裕もなく一生懸命自分の質問を聞くので精一杯だった。質問が二つ目に回り始めた頃、チャイムがなった。続きはまた今度ね。と先生に言われる背中を見つめながら私はイライラしていた。私なら一つ目の質問が終わった時点で時間を気にして私に譲るだろう。先生にお礼を言って振り返った瞬間彼女の顔が青ざめるのがわかった。私を見て「私は質問できなかった。しかもこの先生はなかなか捕まらない。」と思い出したらしかった。

彼女の一つ夢中になると周りが見えない素直さは普段はすごく好きだ。彼女の性格もよく分かっているし、また考えてなかったんでしょ？と笑い飛ばしたかったが、その時は受験で切羽詰まったため無言で2人で教室に帰る羽目になった。

ep.2 泣けない

私は人から怒られている時、周りの誰かが泣き始めると泣けないタイプだ。意地を張ってしまうから。私の部活が同じだったB子は泣きたくないのにイライラしたり悔しかったりしたら涙が出てきてしまうタイプの子だった。勿論、その子も泣くことがよくない場面では泣かないようにしたいし、泣きたくはないけど涙が出てしまうらしい。

部活で後輩を交えて彼女と顧問にめちゃくちゃに怒られたことがあった。彼女は勿論後輩の前でもはちゃめちゃに泣いた。こんな時は私はいつも憂鬱だった。私だって泣きたい。でも、私は泣いた後この後輩達を仕切る人間がいないこととか泣いた後のあの余韻とかそんなことを考えて泣けない。その日も彼女が泣き止む間、後輩達に明るい声掛けを送り、いつも通りのメニューを進めた。

ep.3 みんないい人

友達C子はどんなに良くない噂がある人もいい人だと信じている。そして、その人の良くない場面を実際に見た時驚くほど落ち込むのだ。男女関係なく。私はその場面を2度ほど経験したことがある。落ち込んだ時、周りは「え？彼のこと好きだったの？異性として」と勘違いするほどだ。そして、恐らくみんなが最初からおかしいだろと思っていることを本気で感じた時、彼女は本気で腹が立ち、その後彼ら彼女らと口を聞けなくなる。周りがいたとしても。分かりやすく。

私は、この口を聞けない場面に遭遇したことがある。本心＝しんどかった。この空気を脱するべく話題を出したりしたし、その人達の真ん中で接続係と化した。私は、怒ることにも真っ直ぐ、信じることにも真っ直ぐな彼女の波を隣でみながら、あーまた来た来た。くらいで終わらせている。いつもは。

「素直さ」？いや、真っ直ぐさ？これは、彼女達の魅力の一つで、私はその悪魔にやられても彼女達を怒れない。苛立つこともできない時がある。
だって、性格だもの。怒ったところで当の本人も直せないから。時々、この途方もなさに苦しくなる。わぁぁぁあああ！おい！！ってなる。こっちの気持ち考えろぉお？ってなる。

『素直さ』
欲しいけど、時に厄介だな。
私の天邪鬼と一緒か。

どっちもどっちやな。

moka!!