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『黒執事』枢やな:英国女王に仕える影の少年伯爵と万能の悪魔執事ミステリー

19世紀末イギリスを舞台に、名門貴族「ファントムハイヴ家」の当主である12歳(最初の方で13歳の誕生日を迎える)の伯爵シエルと、忠実なしもべで美形の完璧な執事セバスチャンが活躍するミステリー。

枢やな(とぼそ やな)の『黒執事』(くろしつじ)は、2006年から連載され、現在30巻まで発売されている漫画だ。

1巻は比較的穏やかだったものの、2巻目からはセバスチャンの悪魔としての正体や力が発揮されていき、ヴィクトリア女王に陰で使える身として「手を汚す」シエルの仕事が描かれていく。

切り裂きジャック事件や、タイタニック号沈没を題材にしたと思われる事件、植民地インドや英国寄宿学校をテーマにする事件など、イギリス文化もどっぷり味わえる。

ライター・翻訳家の村上リコが時代考証を担当しているらしい。

一人一人の人物造形が見事で、徐々に明かされる過去や、衝撃の展開までもっていく伏線が見事だ。

絵もどんどん洗練され美しくなっていく。

作者は簗緒ろく(やなお ろく、Yanao Rock)のペンネームでBL(ボーイズラブ)漫画も手掛けていたらしく、本作にもそうしたサービスショット(コマ)?!も多く描かれている。

連載中の雑誌で、登場するキャラクターたちの人気投票を行い、その上位にランクインした人物たちを出演させるストーリーを番外編として掲載するなど、サービス精神も旺盛だ。漫画はこういう工夫や仕掛けもファンを増やす要因になっているのだろう。

せりふで、日本語の言葉に英語の言葉を片仮名でルビとして付けるなど、言葉へのこだわりも随所に感じられる。

28巻まで読んで、それまでのシエルの謎のいくつかがとうとう解ける急展開を迎えたのだが、続きが読みたくてたまらない・・・!

音声ドラマ、アニメ、舞台、実写映画化もされているとのこと。


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