Naked Desire〜姫君たちの野望

第一章 心の壁-1

ジリジリジリジリ──
枕元の目覚まし時計が、けたたましく鳴る。
「う、う、う──ん」
私─神聖プレアガーツ=ホッフンヌング連邦帝国グラーツ大公国第一皇女エルヴィラ・ジャンヌ・マリナ・カーリン・フォン・ゾンネンアウフガング=ホッフンヌング─は、目覚まし時計のベルを止めると、ベッドの中で思いきり身体を伸ばした。
上半身をゆっくりと起こすと、気のせいかまだだるい。
しまった、

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Naked Desire〜姫君たちの野望

第6回 モノローグ-6

「そうね、そのほうがいいわね。置きっぱなしにしておいて、誰かに毒でも入れられたら大変だし」
実際この10年間、信頼していた部下や側近に、毒を盛られて命を落としたり、一命を取り留めても重篤な後遺症が残ったという話は、国内の至る所で流れた。
情勢が落ち着いたとはいえ、復古派の残党が一掃されたとは言い切れない現在、彼らの思想の信奉者が、素知らぬ顔で有力者に毒を盛らない可能性は残

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本当の紳士になった日

過去記事にも書いたりしているが、私は中学時代にあだ名というかキャッチコピー的な感じで【紳士】とか【ジェントルマン】と言われていた。私のイメージやキャラでそう言われていたのかもしれないが、それとは別に、中学3年のあの日、私は本当の紳士になったと確信した出来事があったのだ。

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我々の中学には、代々3年男子だけに伝わる秘密があった。1、2年生と女子には知らされず、3年になった時に3年男

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理想を追い求めるって恐いことなのかもしれない

あなたは、中東のIS(イスラム国)のことどう思う?もしかしたら、あなたも同じような思考回路を持っているのかもしれないよ。

ニュースでよく見るテロを起こすISなどの組織(イスラム過激派)には、彼らがしたがう経典がある。

その経典に[ジハード/聖戦]という記述がある。

ジハードの解釈はいくつかあるが、イスラム過激派が解釈しているのは、

「イスラムをひろめる、または防衛するための戦い」

という

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Naked Desire〜姫君たちの野望

第3回 メモワール その3

そして勢いよく立ち上がると、窓に映る景色を見つめた。
暗闇の中に、部屋から漏れる光が、幻想的な光景を生み出している。
それを眺めながら、私は知り合いから、日本に古くから伝わる昔話を思い出した。
ある日、民のかまどから煙が上っていない光景を目にした天皇は、その理由を家臣に問うた。
家臣は天皇に、税金が重すぎるから、民のかまどから煙が立たないのですと返答した。
その話を

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超高級ホテルに閉じ込められた貴族のおじさまの暮らしを描く『モスクワの伯爵』(エイモア・トールズ)試し読み

(書影・リンクは、Amazonにリンクしています)
『モスクワの伯爵』エイモア・トールズ/宇佐川晶子訳/早川書房

全米140万部突破のベストセラー『モスクワの伯爵』は、いまも実在する超高級ホテルを舞台に、そこから一歩も出ずに何十年も暮らすことになったロシア貴族を描く長篇小説。一見つらそうですが、紳士の流儀をつらぬく伯爵の生き方と絢爛豪華な内装が美しく綴られ、上質なユーモアとペーソスをかもしだし、

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Naked Desire〜姫君たちの野望

第2回 メモワール その2

ところがそんなある日、意外なところから虐げられる者のために立ち上がる勢力が現れた。そしてその勢力の中心人物は、私もよく知る人物だった。
そして彼らは旧勢力を打倒し、中心人物は新皇帝として即位した。
人々は狂喜乱舞した。ついに、自分たちの願いを聞き届けてくれる人間が現れたと。
国民は口々に
「新皇帝万歳!」
と叫んだ。
国中の至る所に、新皇帝を称えるポスターが貼られ、

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イギリスの席次

どこの国でも、公式行事などでは席次(precedence)というのが決まっています。

イギリス(イングランド・ウェールズ)での席次は次のとおりです。

席次(1位〜20位)

1.女王(The Queen)
2.エディンバラ公(The Duke of Edinburgh)
3.プリンス・オブ・ウェールズ(The Prince of Wales)
4.君主の次男以下の息子
5.君主の孫(親の年齢の

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Naked Desire〜姫君たちの野望

第1回 メモワール その1

宮殿の自室の窓からみえる、月明かりに照らし出された景色を一人で眺めながら、私は過去を振り返っていた。
手の届かない場所に行ってしまった人たちの顔を。
そして、二度と戻ってこない景色を。

私の暮らす国では、これまでありとあらゆる不条理がまかり通っていた。
差別。
嘘。
本音と建て前の乖離。
弱者に対する侮辱行為。
富の偏在。
えこひいき。
拡大する格差問題と、固定化

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