見出し画像

「(海外留学は)同じ目標や意思をもった人たちとつながるネットワークを形成するのにとてもいい機会となりました」

渡部和(わたなべ なごみ)さん
出身地:網走市
職業:日本食バイヤー

ー 英国に来た経緯、理由は?
日本では東京の中央大学の、今はなき総合政策学部に進学しました。そこでは英語の授業が多々ありました。海外の大学院を目指す友達も多くいて、自分ももっと真剣にビジネスの勉強をしたいという思いと、海外の雰囲気が性格的にも合うのではと思い、海外の院に進学することを決めました。アメリカやカナダでも良かったのですが、ビジネスで有名な大学がイギリスに多いことと、歴史を重んじる国であること、ヨーロッパへの憧れもあり、実際に父とイギリスに来てみて、イギリスの院を受けることを決めました。世界大学ランキングや授業内容、学びたい分野が充実していて生活しやすい場所だなと思い、最終的にリーズ大学に進学しました。ロンドンは生活費、学費が高く、田舎から来た私は大都市が不安だったため最初から選択肢には入れませんでした。今年卒業して、4月からロンドンの日系食品サプライヤーにて勤務しています。

ー 海外の大学院に進学となると学力だけではなく、英語力も必要となりますが、日本で英語の勉強はどのようにされていましたか?
実はカナダ生まれでして、四ヶ月しかいなかったので記憶はないですし、その時は英語はもちろん日本語もまだ話せませんでしたが、帰国後に母が「将来は英語で苦労させたくない!」という思いがあったようで、普段の生活の中で英語に触れるような環境を作ってくれました。テレビは英語のチャンネル(ディズニーチャンネルやカートゥーンネットワーク)しか見せてもらえなかったり、英会話学校に通ったりして、気づけば英語は日本語と同じくらい身近な言語になっていました。小学校一年から三年生の間の夏休みはハワイのサマースクールに通って、冬は母が毎日つきっきりで英検の勉強をしました。そのかいあって小学校二年生の時に英検二級を取りました。網走ではその時の最少年記録だったので、新聞にも掲載されました(笑)。母が病気になってからは、以前のように勉強する機会は減りましが、母と作った土台があったからこそ進学の際の英語には、特段苦労はしませんでした。

ー 英国の大学は日本の大学と比べると、どのような違いがありましたか?
始まってすぐロックダウンになり、授業も全てオンラインだったので、一般的な大学生活とはちょっと違う体験をしましたが、まずとことん考えさせられる授業についていくのが必死でした。授業も日本と違いレクチャー(多人数の授業)とセミナー(少人数のグループに分かれた意見交換的な授業)が科目ごとにありました。幸いオンラインだったので録画した授業を後から見直せるようになっていて、土日に全てのレクチャーを見直してノートにまとめたりしました。ビジネス関連の英語は特に難しかったので、寮の友達に教えてもらいながら必死でついていきました。セミナーでは実際のビジネスケースなどをみて、どんなセオリーが使われているかを議論したりするのですが、まずセオリーを理解していないとい話についていけません。正解はないので何を根拠にどう考えたか、自分の考えを言語化することも苦労しました。でも慣れてくると楽しかったです。それぞれの立場(役)になって議論すること(ロールプレイ)もありました。自主性がとにかく重要視されます。お互い切磋琢磨できる環境の中で学ぶというスタイルが、どちらかというと「受け身」の授業が多い日本との違いかなと思いました。


大学ノートの一部。今でも見返すことがある

ー 学生生活でいちばん楽しかったことは?苦労されたことは?
楽しかったのはサッカーのユーロ2020やF1などを、コースメイトと一緒に観戦したことです。スポーツも興味なかったのですが、イギリス来てから見るようになりました。あとは旅行したり、美術館に行ってヨーロッパの歴史を見るのが楽しかったです。院のプログラムで半年スウェーデンにも交換留学で滞在したのですが、その頃はコロナも落ち着いてたので、ヨーロッパを七カ国ほど旅行しました。
苦労したのは寮生活です。イギリスは日本みたいに一人部屋がほとんどなく、あっても家賃が高いので、社会人でもシェアして暮らすんですよね。なので私も男女ミックスの七人でキッチンシェアのフラットに住んでたのですが、いろんな国の人がいて文化も違うし、一人暮らし経験のない人もいて片付けや料理ができない人もいました。ぶつかることも多く話し合いや、「使ったものは元の場所にしまいましょう」という当たり前の話を毎週のようにしていました。私自身片付けは得意ではなかったのですが、それ以上にひどい人が多く、日本はとっても綺麗な国だなと再確認しました。

母国が出るスポーツイベントを一緒に観戦するのは、多国籍の生徒が集まる
イギリスの大学ならではの楽しみ

ー 海外留学を検討している方へのアドバイスをお願いします
イギリスの大学は同じ学科でも授業内容が全然違ったりするので、何を学びたいか、将来的に何をしたいかを明確にしてから下調べをしっかりすることをお勧めします。日本で大学を卒業してすぐ院に進むか、職務経験を経てステップアップのためにイギリスの大学に行くのかでも、方向性が全く違ってくると思います。コースによっては三年以上の職務経験が必要だったり、ビジネススクールであれば大学ですでにビジネスの授業を受けていることなどが条件となるコースもあり、それらを見ても違いがわかります。また将来起業を目指してる人向けの授業の多い大学や、幅広く学んでコンサルなどになる人が多い大学などもあります。ウェブサイトに説明も書いてたり、オンラインの説明会もたくさんあるので積極的に参加して、分からないことは聞くといいと思います。私もStudent Ambassador として学生生活のブレゼンや大学の案内をしてました。

ー 最後にご自身のPRを!
海外の大学に進むのは、勉強や将来のためでもあると思いますが、私は同じ目標や意思をもった人たちとつながるネットワークを形成するのに、とてもいい機会となりました。ロックダウンがなければもっといろんなことができたのかなと思ってます。それでもとても楽しい時間でまた機会があれば、次はMBA取るのもいいかな、なんて思ってます。なので留学を考えている方は、ぜひ積極的に挑戦してみてください!
https://www.linkedin.com/in/nagomiw


編集後記:
「名は体を表す」とはよく言ったもので、お会いした瞬間から「なごみ」を感じさせてくれる渡部さん。ふんわりとした雰囲気とは逆に、内面は自分の意志をしっかりと持って、海外での学生生活を過ごしてきた「たくましさ」を感じました。留学時代の経験は、渡部さんにとって大きな財産となったと思います。
社会人生活が始まったばかり。学生時代とはまた違ったネットワークが広がることが楽しみですね。北海道の食材もどんどん英国で広めてください!取材にご協力いただき、ありがとうございました!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?