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棟方志功聖地巡礼in富山 stage.2 【躅飛山 光徳寺】堂内拝観編 ※再掲載

熱波に覆われる日本列島……皆様いかがお過ごしでしたでしょうか。
先日のstage.1では、富山県にある棟方先生ゆかりの寺院・躅飛山ちょくひざん 光徳寺の境内をご案内いたしました。(そちらの記事は以下です⬇️)

今回は続編として、光徳寺の堂内に入り拝観をさせていただいた際の様子をお届けしたく存じます。ここでは、お参りがてら、棟方志功をはじめとした数々の有名無名の人々の作品や民藝を見ることもできて、朝から夢のような空間でした。噂には聞いていましたが、実際伺って目の当たりにしてみると想定を遥かに超えていたといって過言ではないでしょう。

民藝とは、民衆的工芸の略語です。華美な装飾性に特化せずあくまで日常の暮らしに根ざした品や道具類のことで、名もなき職人が制作したそういったものにも美を見い出すという文化的概念を世に広めようというのが民藝運動なんですね。“民藝運動の父”とも呼ばれる思想家・柳宗悦に、陶芸家の濵田庄司や河井寛次郎も共鳴し、当時の新しい美の世界には、その後も追随する人たちが次々と現れました。棟方志功や、光徳寺18世住職・高坂貫昭氏もその内の一人です。

光徳寺さんでは、置かれているものに作品名等はついておりませんでした。だからか、“鑑賞する”というよりはもっと“出会う”という感覚が大きくて💡「これは誰誰の作でこういうものです」というのを頭に詰め込むのではなくそこにあるものに自然と目が向いていく、もののある道すじをあるがままに辿る自由さがあるんだな、と。
先方のお考えとしても、「そこから御念仏をいただいてほしい、説明すると説明した通りにしか見えなくなるから」だそう。現代社会は特にそうかも?
無明むみょうの闇を裂く阿弥陀仏の本願・他力たりきに触れるチャンスは目の前ですぞ…!

※光徳寺堂内は、一部を除き写真撮影が許可されています。そして、筆者はネットへの掲載許可も、お伺いの上にいただきましたことを先にお伝えしておきましょう📝


玄関口を入り室内に向かってご挨拶し、対応に出てくださったかたに拝観料¥500をお支払いすると、その時は特に案内に付かれるわけでもなく自由に見ていいというような感じでしたね。さっそく靴を脱いで上がらせてもらいます🐾

玄関口から廊下を少し進んで振り返ったところ
何とも洒落た、落ち着く雰囲気
木造ならではの情感ってありますよね
格子枠の明かり採り
“陰翳礼讃”って言葉がしっくり🌿🌘
目にも涼しげ
光徳寺のある南砺市福光は、棟方志功ゆかりの地
それは、第二次世界大戦中に一家で疎開し、
戦後もしばらく滞在されたエリアだからです
ゆえに、あちこち足跡が🤭
ボードで各スポットを案内くださってます

※ちなみに先生は当時の住職と親交があったため
光徳寺にも身を寄せていた時期あり🖌️
ついに民藝の宝庫が一面をのぞかせました…!
手仕事が感じられる布と器たちがお出迎え
わあ~……と筆者はもう目がキラキラ🥹✨
日本文化に溶け込む多国籍がおもしろい
以降もそういう空間が盛りだくさん🫶

さて、光徳寺建て替えの際、襖絵は水墨画家の岩崎巴人氏に依頼されたそうです。ですので、だいたいは岩崎巴人氏の作かなと思われます。その中で、棟方志功とはっきりわかるもの(記名がある等)に関しては、キャプション等でそのように明記を行いました。

天女かな、飛天かな
わたくし飛天が好きなんですよ~
やわらかな笛の音が聴こえるようです😚
この衝立も岩崎巴人氏かと
(当初、世界のムナカタ感とお伝えしましたが💦)
よく見ると巴人書画と記載もみえます
文言は、曹洞宗の僧・良寛の詞のよう
“良寛禅師 詠”の文言が末尾に記されてます
良寛は文学的才能があった人なんですよね

手前の民藝の設えとともにお楽しみください
スリップウェアぽいお皿は日本家屋にも調和✨

ここから、何げなくのんびりと隣の部屋へ移りかけた筆者。そんな我が目に飛び込んできたのは…!あ~~~🤩釈迦十大弟子!以下は弟子たちの襖絵がある一室です。棟方志功の板画『二菩薩釈迦十大弟子』が異常に好きな筆者は、こちらの襖絵もテンション上がりました。棟方先生かなと思いましたが岩崎巴人氏の作だと思います。やっぱり雰囲気が違う気がするし。それでも部屋になじんでて、すごくよかったです^^

背もたれグインいすが私にはちょっと
華麗な鎧兜の甲冑武者のようにも見える
下に敷かれているのはキリムかな?
艶紅が主張する空間が品よくまとまってます

それでは、また別の部屋に向かうことにいたしましょうか!

ここは廊下の角
人の暮らしがゴキゲンに描かれた布がユーモラス
ゆるくていいですね~かわいい🎈

民藝壺などが並べられたお庭の外から拝した仏様に、堂内でも再度お参り。まわりには誰もおらず、とても厳かで静かながら感じたあたたかい世界は、心のどこかに織り込んでずっと忍ばせておきたい大切なたからとなりました🪷

棟方志功の快作『華厳松』が飾られている場所が徐々に近づきつつある中、大盤振る舞いは続きます…!

おっと、この山号の筆づかいはもしや…
やっぱり😁
こちらは棟方先生の書ですね
「志功 書」と入ってます!
そして先の写真の中ほどに写っている衝立の裏側
無量壽むりょうじゅ」(阿弥陀様のこと)
これも棟方志功先生の筆です^^
色づかいがなんともキュンとさせる✨
上の写真のお部屋の棚には民芸品たち
おそらくほとんど海外のものでしょう
それにしても、この小襖ほしい…笑
すごくかわいい…!

そして最後に、ほぼ門外不出と言っていい棟方志功の『華厳松』をじっくりと見させていただきました。ただし、そちらは撮影しておらず、心に留めるばかりとなりましたが……凄まじい筆致で圧倒されたとしか申せません🌬️😵ぶっちぎってる人はチョットオカシイんですね^^(この場合、褒めてます)
ついてきていた身内の晴れ女は、あらためてまじまじと棟方志功を観覧し、「すごくダイナミックなのね~、あなたがご執心なのもわかる気が…」と。そうでしょ😊?二次元で、ここまでその感覚を呼び覚まさせるというのは、マジすごいとしか言いようがない。理屈じゃないのさ。

皆様へここで画像をお見せできない分、ひとつ、情報をご提供いたします。実は今秋、生誕120年を記念して、『棟方志功展 メイキング・オブ・ムナカタ』が東京国立近代美術館で開催予定で、そちらでなんと!『華厳松』が公開されるとのこと😳しかも、通常非公開の裏面も併せて展示されるって。
もし実物を目にしてみたいと思われたら、この機に是非ご覧くださいませ✨

拝観の内容は以上となります。お集まりいただいた皆様、大変お疲れさまでございましたm(_ _)m 光徳寺さんにも、すばらしいものを見せていただき、あらためて感謝申し上げます。


以下は、光徳寺の物販コーナーで見つけおみやげに持ち帰った、志功先生の板画がプリントされた散華さんげです。やった~🙌🏻

渋い外装
うっすらした朝靄の翳りの中で見ると本当に美しい
中身はこんな感じ
5枚セットで絵柄はすべて違いました
裏面には、先生の板画独特の文字で
蓮如上人のお言葉が刻まれていました🙏🏻

“他力”というのは実は難しい言葉で、個人的には、そうやすやすとつかめるものではないという気が未だにしています。浄土真宗の開祖・親鸞が説いた他力は、少なくとも、人や自然から受ける恩恵に感謝することを言うのではないのですが、真宗の坊さんですら間違って教えてることもあるそうで💦、そんなもん、坊主でもない一般人が急激に悟ったら、むしろ得度できるわけですよね笑(ついでにうちの家の宗派、禅宗だし←)

他力は本来、阿弥陀仏の本願力ほんがんりきを指していて、それは人が生を受けたからこそ必ず持つ無明の闇を払ってくださる、阿弥陀様だけに宿る有り難い御力。その御力をお借りして、いや…仏が自分の手足を使って描かせるのだという棟方志功の創作物たち…。
でもそうなると、間違いって笑われるかもしれませんが、筆者が初めて先生の『二菩薩釈迦十大弟子』を新聞で見た時、あまりの衝撃に呆気にとられて釘付けになったのは、もしかするとその他力というものを垣間見たためなのかもしれない。その頃、無明の闇に押しつぶされそうになっていた自分を、確かに救ったことは間違いないので。

自分が棟方志功の作品が好きなのは、目に入った瞬間、その一瞬だけでも、思考や感情が消えた世界に行ったみたいになるというのが多分にあります。もちろん、その後から、感動やら、味わいやら、当然湧いてはきますがね。ただ、あの真っ白になる感覚……ただただそこにいるという状態?あれが、もしかすると、他力を感じている、ということなのかもしれません。うん、わかりませんが…笑 これは、死ぬまで楽しく思いを巡らせていこうかな^^

では、光徳寺編はここまで!次回は巡礼地を移し、南砺市立福光美術館編をお送りいたします。や~、風光明媚で親切な美術館でございました💛よろしければ、次回もお集まりをいただけましたら幸いです。それまで、茹だらずどうぞお元気で🤭またお会いしましょう、ごきげんよう。

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