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銀杏並木とコート

急に寒くなり

引っ張りだしてきたコート

引っ付いてる毛玉を

摘んでは引っ張って

思いを巡らす

くるくると

儚さを憂いてる暇もなく

確かにしっかりと

着実に季節は巡る

くるくると

摘んでは引っ張って

巡っては剥がしては

カレンダーは無情にも

残すところあと一枚

指折り数えてきた年月も

気づけば忙しなく

駆けだしはじめて

吐息に混ざる白いもの

あぁ着込めばもこもこと

温もりが恋しくなれば

求める連絡先は携帯の中に

ちゃんと大切に保存済み

コートの襟を立てて

ポケットに手を入れて

木枯らしに負けない様に

気合いは十分

玄関を開けて通りに出れば

黄金色の絨毯

銀杏の並木道

鼠色の寒々しい空の下でも

輝いて見えるのは

きっとときめいているから

彼女との

待ち合わせの時間まで

まだあと30分ほど

ゆっくり築いていく

大切な思いの積み重ね

季節が巡るのも

そんな思いの積み重ねに

色彩が添えられるから

何も切ない事ばかりじゃない

幸せな感情にも

気付かせてもらえる

小さな温もりを

ポケットに

大切にしまっていき

寒い冬に備えていく

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