見上げれば

迸り流れ落ちてくる

水の勢いに開いた口が

戻らない

弾ける水滴が顔に当たる

青を飲み込み

晴れていく鬱屈

ひんやりした空気が

熱った身体を冷やしてくれる

気持ちが良い

山道をエッサホッサと

歩いて登ってようやく

たどり着いた養老の滝

どしゃどしゃと

激しい音を立てて

落ちてくる大量の水

滝の流れを前にして

小さな頭で抱える

小さな悩み事なんて

馬鹿馬鹿しく思えてきて

むしろ晴れ晴れとした

気分になった

誰がどう言おうとも

結局は無意味で瑣末な事柄

鬱屈したところで無駄なのだ

僕は僕でしかない

滝壺が泡立ち水滴が

跳ねてはいくつもの

波を形作っていく

そうしてまた更なる流れを

作っては

さっき僕が歩いてきた坂道を

一つに集まり川となって流れていく

その光景があまりにも

綺麗で雄大で圧倒的だから

僕はしばらくその場所から

動けなかった

忘れたくないからこそ

一枚の写真として

撮らえて手のひらサイズの

思い出としてポケットに

しまったんだ

心が疲れた時に

滝の雄大さに触れて

力を沸かせ

心を癒そう