青天の霹靂62(廉の親の思い)

「俺にすまないと思い親にはあり、俺が小学校卒業するまで、子供を作らなかったんだ。俺には何も言わなかったが、それが俺への謝罪だったんだ。両親は勝手に決めてしまったことを、申し訳なく思ってた。それがわかり、俺はグレることを辞めた。でも、戻るには、きっかけが、必要だった。それをくれたのが、廉夏だ。あいつは生まれたばかりの頃、初めて家に帰ってきたとき、一番最初に俺が抱っこするまですごく、機嫌が悪かった。俺が抱っこすると、ニッコリ笑った。それは、俺にも『笑え』と言っているかのように。で、俺が笑わないと、泣き出した。誰がアヤしても、泣き止まず、俺が笑ったら、満足そうに笑った。だから、それからは、廉夏は特別だ。俺がやさぐれていたのを、廉夏が戻してくれたんだ。どうすればいいか俺も正直分からないときだったから、救われたよ。それからは、じい様を、神崎の党首として学べることは学んだよ。学んでまず、思ったのは、すごいってことだった。じい様から学んだ経営学は、今や俺の宝になっている。そう思えたのも廉夏のおかげだな」
そう、冬眞に語った。
「廉夏は、このことご存じなんですか?」
「たぶん、あいつも気づいているんじゃないか。言ったことはないけどな。幼稚園卒園までは、廉ちゃんだったのに、いつの間にか廉兄に変わったからな」
「そうですね、敏感ですもんね」
冬眞は廉夏を思う。

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