記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

【感想】ディメンターと山田うどんのロゴ、コラ画像にダースベイダーが新生タイタニック号を襲うアサイラムの作業用クソホラー映画『シン・タイタニック』【ネタバレ】

概要

シン・タイタニック (Titanic 666 もしくは Titanic 3)

あらすじ

タイタニック号沈没の悲劇から110年後の2022年、最新設備を備えつつ外観は初代を復元したタイタニック3号が完成し、大西洋へ処女航海へ出航する。しかし、かつての遭難現場に近づいた頃、船は突如制御不能となり……

U-NEXT

 タイトルで落ちてる。制作会社がアサイラムってので最初から酷いものを観るつもりでいたけど、いやぁ……

 これはアサイラムの中でもダメな方のアサイラム、いつもの吹っ切れた金のあるクソ映画じゃなくて、変に理性を残した酷いとも言い難い微妙な映画ってかんじ。

恵まれた素材を台無しにする構成の下手さ

 まず、発想は良いと思うよ(かなり不謹慎だけど。多方面に怒られてそう)。タイタニックの悲劇が呪いとして現代に蘇り…… っていうテーマ自体にはかなりワクワクするし、豪華客船が舞台ってのも密室ホラーとしてなかなか好み。

よくあるC級ホラーらしくインフルエンサーとガチムチ警備員はちゃーんとタヒぬ上、最後に生き残るのが「報告して」と「問題が発生した」しか言わない船長(こいつ本っ当になにもしてない。よくあるC級ホラーで言うなら主人公の女)っていうパンチラインもある

 ぶっちゃけ、料理の仕方でどうとでもなった作品だと思うんだけど(ならなかったからこんな低評価なんだけどね)、恐ろしく悪いテンポがそこそこ良かったはずの素材を台無しにしてる。順当に作れば猫まんまくらいにはなったはずなのに、料理が下手なせいで味のない乳粥になっちゃった、みたいな。

作業用クソ映画

 テンポが悪すぎる。この映画最大の問題点がこれ。廊下で会話してるところを5分も眺めてたいヤツなんているか?ストーリーに関わってくる会話なら良いんだけどさ、繰り広げられるのはなに「お前のせいだ」だの「呪われた」だの電波みたいな会話。一体全体、観客にどういうリアクションを求めていたのか、甚だ疑問だね。寝ろと?

 そもそも、シーンの長さに対する情報量が少なすぎるんだよな。僕はゴッドイーターやりながらこの映画を観てたんだけど、それでもストーリーを完全に把握できた。この映画からいらないシーンを削ったら30分以下になっちゃう気がする。

 これ、木曜の深夜に奥様がパックしながら見る、落ち目の女優とイケメン俳優の恋愛ドラマ並みの内容しかないから、この映画を観る時は、何か別の作業を兼ねた方が良いよ。

敵の内訳 [なんちゃってディメンター、山田うどんのロゴ、どう見てもコラ画像、ダースベイダー]

 テンポさえ良ければ面白いのかと言うと……全然そうでも無いんだ。さて、この映画の二つ目の問題点は、怪奇現象に統一性がないこと。いくらホラーには理解不能な領域が必要とは言え、それはトッピングであるべきで、起こされる攻撃がバラバラじゃいけないんだ。

リングなら、TVから貞子が出てくるってのは一貫してるし、チャッキーは殺り方こそバラバラだけど、人形にって部分は作品のテーマになってるよね。

この映画はその部分がバラッバラなんだよ。おばけが人を倒し始めたかと思えば、よく分からないままにエンジンは爆発するし、おばけを呼び出した結局何がしたかったのかがイマイチ分からない女は超能力に覚醒して暗黒面ごっこし始めるし。

 こうなっちゃったのは、たぶんおばけの殺り方が地道すぎるからだと思うんだよね。時間かけすぎなんだよな。数人いなくなった所で、観客は「別にいっぱい人いるし……数人くらい別にね……」みたいな気持ちになってハラハラしないし、脚本的にも最終的な沈没イベントに繋がらなくて詰む。だから、多少無理やりにでも、エンジンをぶっ壊したり、超能力者を出したりしなきゃいけなかったんだ。無理やり過ぎるけどね。

 おばけの攻撃手段がヴァイオリン弾いたり息吹きかけたりするだけってのも気に食わない。明るいところでやるもんだから、めちゃくちゃコラ画像みたいだったし。あーでも、山田うどんの体勢で追いかけてくるのはちょっと面白かったかな。

これをタイタニックと呼べる図々しさは見習いたい

 ここまでかなりボロクソに言ったけど、観られないレベルの映画でもなかったんだ。故に、アサイラム映画としては駄作也。空飛ぶサメの幽霊にでも襲わせた方が面白かったんじゃないの?

 まぁ、こんなものにタイタニックと名付けられる図々しさ?現代人は見習うべきかもしれない。


この記事が参加している募集

映画感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?