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韓国佛教#01. 少林寺〜朝鮮王朝太祖が祈祷した洞窟のあるお寺で佛教を教わる〜

1年以上前になりますが、「少林寺」というお寺に行きました。

「少林寺」と聞くと、中国のあの有名な少林寺を思い出しますが、韓国にもあるそうです、少林寺。

偶然訪問した寺院ですが、やさしい僧侶の方に韓国佛教についても教えていただき、とてもありがたい時間を過ごしました。

その日はちょっと気分転換にと外に出て、バスに乗り、ゆっくりと散歩する場所を探していました。そう。大した目的はありません。ただ、静かで川のある場所が良いなと思いながら、バスを降り、適当にぶらぶら歩いていると、「大韓仏教曹渓宗 少林寺(대한불교 조계종 소림사)」という標識を見つけたので、行ってみることにしました。


大韓佛教曹渓宗 少林寺(대한불교 조계종 소림사)

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少林寺は大韓佛教曹渓宗のお寺で、同宗総本山である曹渓寺の末寺(本山の支配下にあるお寺)です。法堂の裏にある岩壁には洞窟があり、そこでは朝鮮王朝の太祖(태조)である李成桂(이성계)が祈りを捧げて開国を果たしたと伝えられています。

朝鮮王朝太祖5年(1396年)には恵哲先師に命じてお寺を創建し、名称からも分かる通り、達磨大師が9年間壁に面して座禅をした嵩山少林寺から名前を取って「少林窟」としました。

その後、少林窟は祈祷および修行の場として伝承されたほか、『朝鮮王朝実録』によると中宗(1506〜1544)と宣祖(1552〜1608)の時代まで国の仏教儀式が行われていたことが分かっています。

純祖17年(1817年)には観海僧侶がお寺を増築し、名称を「少林寺」と改称しました。1913年には斗三僧侶によって大房仏が建築され、1933年に七星閣、1935年に大雄殿、1942年に大房と山神閣が改築されました。

近年、少林寺は比丘尼(女性の僧侶)の修行の場となっており、1979年〜2003年までの間に慧允僧侶によって大雄殿、三聖閣、ヨサチェ(요사채、僧侶が生活する寮)、薬師殿が改修され、現在の姿に至っています。


◆鐘閣

階段を登って行くと門が見えてきます。

この門、上から見ると分かりますが、鐘楼(鐘閣)になっています。見晴らしもとても良さそうです。

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◆吠えるわりには人懐っこい犬に歓迎される 

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門を潜って階段をさらに登って行きます。

韓国のお寺は山の上に建てられていることが多く、この少林寺もまた、小高い山沿いに建てられていました。そのせいもあってか、階段が多いです。

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視界が開けると大雄殿のある場所に出ました。

わ〜綺麗だな〜と思いながら歩いていると、
「ワンワン! ウゥ〜〜〜! ワゥワゥ!」
と、犬の鳴き声が聞こえてきます。

「吠えないの〜。参拝者だよ〜」と、どこからか人の声。

それでもワゥワゥ吠える犬っこ。私は特に気にすることなく見回っていると、黒いモコモコした子がこちらにやって来ました。

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うるさいほどに吠えたわりには、近くに来てくれます。撫でても全く怒りません。

うむ、かわゆいぞ😎


◆薬師殿

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御本堂の裏です。

法堂の裏にある岩壁には洞窟があり、そこでは朝鮮王朝の太祖(태조)である李成桂(이성계)が祈りを捧げて開国を果たしたと伝えられています。

おそらく、こちらのことでしょう。ただ、実際に祈りをささげた場所が、左上に見える小さな洞窟のことなのか、それとも下にある薬師殿のことなのかは分かりませんでした。多分左上の方だと思いますが、そうだとしたらとても殺風景でした。

薬師殿の中には、とても大きな仏様が三体鎮座していました。

ものすごく神聖で厳格、しかし、どこかほんわかして暖かい雰囲気の漂う空間でした。瞑想するには最高の場所です。

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◆大雄殿

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御本堂の大雄殿です。

御堂の前には八角柱の形をした七重の石塔があり、それぞれの面には仏様が彫られています。

大雄殿に近づくと、祈祷の声が聞こえて来ました。

祈祷中だから入ったらダメかな〜。
韓国だから大丈夫な気がするけど〜。

なんて思いながら、外から手を合わせていると、

「들어가셔도 돼요~(入っても良いですよ〜)」

との優しい声が。声の方を振り返ると、女性の僧侶の方が大きなタライで野菜を洗っていました。

ではでは、失礼して・・・、お邪魔します。

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大雄殿の中はとても素敵な空間でした。

祭壇には、左から釋迦牟尼、観世音菩薩、地藏菩薩が祀られているます。


◆僧侶の方に韓国佛教を教えてもらう

「比丘尼の修行場」という言葉通り、祈祷している僧侶の方も女性でした。

ありがたいことに、祈祷が終わると僧侶の方が話し掛けてくれ、佛教やお寺のことについて色々と分かりやすく教えてくれました。

✓ 目の前に鎮座している仏様は3体いるが、中心にいる御本尊が誰かによって(阿弥陀如来なのか観世音菩薩なのか等)、両隣の仏様が決まる。

✓ 御本堂は三壇を設けた造りになっており、中央が「上壇」、向かって右側が「中壇」、左側が「下壇/霊壇」となっている。この形は韓国佛教の基本。

✓ 中央の上壇には3体の仏像を祀っている。中壇にいるのは仏の教えを守る、例えて言うなら守り神(ガードマン)が祀られている。霊壇はその名の通り、亡くなった方を供養する祭壇になっている。

また、日本ではお寺は世襲によって継がれることが多いですが、韓国では基本的に、

나도 부처님처럼 되고 싶다.
(私も仏様のような人間になりたい)

と思う人が希望してお寺に入り、修行して跡を継ぐことになると仰っていました。

また、全員が同じ修行をするのではなく、仏教の学問を究めたい人は学問中心の修行を、禅を学びたいと思う人は禅を中心とした修行を、という具合に自分で専門を選べるそうです。

へぇ〜~~。

今回お話をして下さった僧侶の方は、(と言っても日本の禅とは少々違うらしいが)を中心に修行をされているとのことでした。もともとは慶尚南道で修行をされていたようですが、この3カ月間だけ、少林寺に来てお務めをしているそうです。終わったらまた禅の修行に戻るそうです。


◆祈祷の時間は6時、10時、18時

最後に、「毎日6時、10時、18時から祈祷をやっているからおいで〜」と言われました。

ありがたい話ですが、誘われて決まった時間に行くのが好きじゃないあまのじゃくな私。

でも、素敵な御堂&薬師殿だったので、その後もちょくちょくお邪魔しています。


韓国佛教や歴史に興味のある方は、ぜひ。


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