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アメリカ臨床留学への道①:海外留学のきっかけ〜資格取得まで

現在アメリカで外科医として勤務してます。まだ半年しか経っていないので成功している訳ではありませんがこれまでの過程について紹介しますので海外留学をお考えの方の参考になれば幸いです。
アメリカでのトレーニングを続けていく上でポジションを獲得するまでは経済的な問題が一つ大きな悩みの種です。もし参考になりましたら
サポートいただければ幸いです。

=海外留学へのきっかけ=
まず海外留学へのきっかけですが正直大したものではありません。単純に海外(特に北米)で働く医師像というものに憧れがありそれに自分が近づきたいというモチベーションからでした。動機みたいなものについては個人個人の考えがありますので深く語る必要はないと思います。しかし実際に留学をするとなるとサポートしてくれる人もいれば何故か足を引っ張ってくる人も多くいます。誰に何を言われようと自分が留学したいという思いやきっかけを大切にして目標を見失わないことが大切です。

=キャリアプランをイメージした準備=

準備には莫大な時間と労力と費用を要します。具体的にはアメリカの場合はUSMLEの対策、それと第二言語(多くの人の場合は英語)の習得です。USMLEと英語の対策にについては多くのリソースがあると思いますのでそちらを見ていただければ良いと思います。あえて一つのポイントを挙げるとすればYou tubeの活用です。英語、特にリスニングは一朝一夕では身につかないのでリスニングの強化をしながらUSMLEの勉強・対策を進めていくことをお勧めします。You tubeには極めて有用なレクチャー動画が多数ありますのでぜひ活用して下さい。費用に関してはSTEP2 CSがなくなりSTEP3以外では渡米する必要がなくなり現在では少し負担は軽くなっていると思います。
また試験の受験時期については自分のキャリアプランを考えながら具体的に計画を立てることが重要です。私の場合は研修医1年目にUSMLE STPE1を、2年目にSTEP2 CKを、専攻医1年目(医師3年目)にSTEP2 CSを受験しました。前述の通り、現在はSTEP2 CSはなくなりOETに置き換えられています。私の良かった点は比較的時間制限の緩い、学生時代と研修医時代に多くの勉強時間を割くことができた点です。医師3年目、4年目、5年目となっていくに連れて一般的には忙しさは増していき海外留学に興味を持ち始めた頃にはゆっくりと勉強する時間がなく諦めてしまう・モチベーションが続かないという話はよく聞く話です。一方で、キャリアプランを考えていなかった(考えていたが自分の理想だけで頭の中でだけ勝手にサクセスストーリーを作っていた)ことが私の最大の反省点です。つまり私の受験プランで言うと、医師5年目ぐらいにアメリカでレジデンシーを始めれば良かったのかもしれませんが当の本人はフェローで海外留学を果たすつもりでした。そのため、ある程度日本での臨床経験を積んでからの留学が望ましく、また日本での専門医などを取得しておかないと面接にたどり着かないことが現実でした。実際、フェローの募集要項を見ていると「アメリカでの専門医を持っていること・海外からの応募者はそれ同等の専門医資格を有すること」という記載があることが多いです。つまり私のキャリアプランではUSMLEを終えたとしてもなかなか応募先の病院がないというのが現状でした。また医師5年目程度の実力では思い切って渡米してみる覚悟も自信もなく、それからしばらくは留学活動も下火になりモチベーションも低下してしまっていました。また当時所属していた医局の教授からも専門医を取ってから留学しなさいと言われており、応募の際に必要な推薦状(通常は3通必要)を書いてもらえない状況でした(実際に断られた訳ではありませんが頼んでも難しかっただろうと思います)。私自身の経験から言うと、自分はレジデンシーから開始するのか、フェローから開始するのか、医師○年目で留学をしたいのか、と言ったキャリアプランを具体的にイメージした上でUSMLEの受験時期を選択することが重要と思います。ただ学生や研修医時代にはうまくこのキャリアプランをイメージできないことがほとんどだと思いますので留学経験者や留学を考えている先輩に相談することも大切です。私はそこからしばらく燻っていましたが、ある程度の年齢になりこのままチャレンジしないまま後悔しながら生きていくことはやりたくないという思いから医師10年目過ぎに最後のSTPE3を受験し、留学へ辿り着きました。
最後に留学の先に自分はどうありたいのかを考えておかなければなりません。アメリカに残るのか、日本に帰るのかによって戦略が大きく変わってきます。例えばアメリカでずっと続けていき最終的にはアテンディングと呼ばれる指導医を目標とする場合は例外も多いですがレジデンシーから始めてアメリカでの専門医資格を取ることが王道です(専門医がなくてもアテンディングになるチャンスはありますが専門とする科や州によっても条件は異なります)。日本に帰る場合は日本の専門医や指導医を持っていないとなかなか施設のトップになることは難しい場合もあったり、日本での臨床経験がないとシステムの違いや周囲との軋轢から思ったようにアメリカでのキャリアを活かせないと言ったこともあるように思います。これについても自分の専門分野で留学経験のある先輩医師に具体的に相談をすると、自分の予想していなかったポイントを教わることができると思います。

次回記事にてSTPE3合格後から実際の留学までの道のりを紹介します。
また海外留学する上で実問題として直面する家族の問題・お金の問題についても別頁で取り上げたいと思っています。



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