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1 はじめに

 皆さん、こんにちは。伊達市の橘内です。
 広報写真に役に立つ撮影方法などの技術や思い、心構えなどをお伝えする10回目となります。
 とうとう記念すべき10回目となりました。9回目の終わりに何をやろうかと書いておりましたが、ほんとどうしようかなって悩んで、時期的に桜を撮影することが多いのではないかと思うので、昨年に引き続き桜撮影の話をお伝えしたいと思います。
 昨年の「心弾む桜」をまだ読んでいない、もう一度読んで見ようという方は、こちらをチェックしてください。

 昨年は、「朝夕を狙え」「ハイキーで撮影」「花曇りが最高」などお伝えしたので、また別の視点から、そして広報に異動して1年が経過し、本格的に桜を撮影するのは初めてという担当者に役立つ情報になればと思います。
 今回は、「カメラの設定」「レンズ選び」「天候などの条件で撮影を変える」「桜を美しく見せるコツ」をテーマにお伝えしますので、今年の桜の撮影の前に読んで参考にしてみてください。

2 カメラの設定

 表紙や特集のメインカットではない撮影を前提として、JPEGの撮って出しで使用されることを想定して紹介します。また、私のカメラがニコン製なのでニコンの場合の設定で紹介しますが、キャノンやソニーでも同様の機能がありますので、参考にしてみてください。
 2つパターンがあって、①遠景や青空を背景に入れて撮影する場合と、②近景や構図全体に桜の花が写るような場合で設定を変えて撮っています。
【①のパターン】
 ・撮影モード=絞り優先オートで絞りはF8〜11
 ・ホワイトバランス=自然光オートまたは晴天
 ・ピクチャーコントロール=風景(ビビット)
  ※詳細設定で、コントラストを若干マイナス、マゼンダを若干プラス
 ・露出=+0.3または0.7を基準に撮影して調整

上の大きな写真の方が、基本設定を表示したものになります。下の3枚はホワイトバランスの調整を順に示したものです。①ホワイトバランス選んで、②自然光オートを選んで、③詳細設定でマゼンダをプラス側で調整します。
①のパターンの設定で撮影した例となります。全体的にコントラストが強く、明暗がはっきりした写真にしがります。色や暗いところが強い感じとなる場合は、詳細設定でコントラストを抑えて撮影してみてください。

【②のパターン】
 ・撮影モード=絞り優先オートで絞りは開放〜F5.6
  ※人物や一部の桜に目をいくようにするには絞り開放〜F3.2
 ・ホワイトバランス=自然光オートまたはマニュアルで自分の思うバランスへ
  ※寒色系は3000〜4000、暖色系は6000〜7000で調整
 ・ピクチャーコントロール=ポートレート
  ※詳細設定で、明るさ+1.0、明瞭度−1.0
 ・露出=+0.7を基準に撮影して調整
  ※白飛びギリギリを狙って、+1.3~+2.0のハイキーもあり
 この2パターンを桜撮影のデフォルトにして、自分でアレンジしてみてください。そうするとますます撮影が楽しくなると思います。 

上の大きな写真の方が、基本設定を表示したものになります。下の3枚はピクチャーコントロールの調整を順に示したものです。①メニューからピクチャーコントロールを選んで、②ポートレートモードを選んで、③詳細設定で、明るさや明瞭度などを調整します。
②のパターンで撮影した例となります。全体的に明るく色を抑えた感じでふんわりした印象を与える写真に仕上がります。色が薄いとかボヤッとするとか言われる方もいて好みにもよりますが、私はこういった写真の方が春らしくていいかなと思います。ポイントは明るさと露出の調整です。

3 レンズ選び

 たくさん咲いている桜を撮影するとき、どのレンズで撮ったらいいのって悩む事があると思います。そういった場合のシーンごとレンズチョイスを紹介します。
 ①桜と人物を撮影する場合
  50〜70mmを基準に状況で広角または望遠を選んでください。
 ・背景の桜がスカスカまたは入れたい桜が入らない=望遠レンズで離れて撮影
 ・桜や人物の一部を強調したり、遠近感がほしい=広角レンズで寄って撮影
 ②一輪の桜など部分的に強調したい場合
  マクロレンズや望遠レンズで、できるだけ寄って撮影
  または、遠近感を出せる広角レンズを使って強調する撮影もできます。
 ③折り重なる桜を強調したい場合
  離れた場所(構図が収まる場所)から望遠レンズで撮影
※広角レンズや標準レンズのワイド端で撮影と思われがちですが、離れたところから望遠レンズの圧縮効果を使って撮影することでより折り重なって写ります。

左から望遠レンズ(70-200mmF4)、標準レンズ(24-70mmF2.8)、広角レンズ(14-24mmF2.8)、マクロレンズ(60mmF2.8)。この4本があったら間違いないところですが、使用頻度は標準か望遠が高いので、この2本を持って行けば大丈夫。

4 天候などの条件で撮影を変える

 昨年は、朝夕を狙えとか、桜のポートレートは花曇りがいいとか書きましたが、そもそも天候は選べないし、なかなか思ったとおりの条件にならないと思うので、その天候にあった撮影を紹介します。

①快晴

 快晴の場合は青空を入れて撮影しましょう。青空と淡いピンクのコントラストを表現できる構図にすると雰囲気の良い写真になります。青空をより青く見せるには設定のピクチャーコントロールを風景またはビビットにし、太陽の光が当たる(太陽を入れない)順光で撮影してください。また、明るい状況での撮影となるので、露出をちょっとマイナスにするとより空の青さとのコントラストがきれいに表現できます。

この写真は、ピクチャーコントロールを風景に設定して、太陽の当たる順光側で撮影しています。露出はちょっとマイナス側で空の青さを強調しています。あんまり明暗を出したくなかったので、明瞭度は下げて撮影しています。

②曇り

 曇りの日は桜の木の中で、ポートレートや桜のアップを撮影しましょう。晴れと違ってコントラストが薄い状況になりますので、淡いピンク色の桜が透き通るような美しさを表現できるので、設定のピクチャーコントロールをポートレートにして、光量の少ない曇りですので露出をハイキーにセットして撮影してください。それと、曇りの日は、晴れの時とは逆に空(雲)を入れない構図で撮影してください。

曇りの日だったので、空は入らないような構図で撮影しています。自転車で通った女性が桜の美しさに思わず自転車を止めて撮影している1コマです。ピクチャーコントロールをポートレートモードにしてハイキーで撮影しています。
こちらも花曇りの日に撮影しています。空が入らない桜のトンネルのところで撮影して、これはかなり杯キーに設定して撮影しています。桜のトンネル感を出すために、距離をとって望遠側(100mm)で撮影いして桜が折り重なるようにしています。

③雨

 雨の日は桜の花びらに雨のしずくが写るようなイメージで、マクロレンズや望遠レンズで桜の花一輪に焦点を当てて撮りましょう。設定は曇りの日と同様で構いませんが、ピントを合わせるところ間違わないように、しずくに合わせて撮影してください。また、水溜りを見つけたら、水溜りに写る桜(リフレクション)の角度を探して撮影してみてください。

雨の日に撮影したもので参考例になるような写真がなかったので、水ということで水のリフレインを使った写真です。雨の後の水溜りやこういった桜の目の前に池があったら、風のない時間に撮影してみてください。この場合は、ピクチャーコントロールを風景モードにして、コントラストを高めにすると反射が良く写ります。

④その他(咲き始め、散り際)

 咲き始めは、どうしても全体を写すと咲いているのかどうかもわからないような写真になってしまいますので、太い枝や幹から一輪だけ咲く桜や、たくさんの蕾から一輪だけ咲く桜を見つけて寄って撮影してください。先始めの感じが伝わると思います。
 散り際は、風がある時に当たったら最高の写真が撮れるので、散りそうな時に風が吹いていたらカメラを持って桜に走ってください。風がないとゆらゆらと数枚ずつしか散っていかないので撮影するのは難しいです。風があると動画ではあんまりですが写真にするといい感じになるので、ぜひ状況が揃ったら試してみてください。あとは散ったあとは地面に着目して、ピンクの絨毯を撮影してみてください。

咲き始め感を出すために、太めの幹から出た花を探して撮影しています。できるだけ朝のうちの撮影で朝日が当たるようなところを探すといい写真につながります。
花吹雪の写真です。風の強い時はたくさんの花びらが舞うのでシャッターチャンスです。ここでは、撮影モードをシャッタースピード優先にして、SSを1/1000で撮影しています。舞う花びらを止めるのではなく、わざと流れるように撮りたい時は、シャッタースピードを遅くして調整してください。シャッタースピードを早くした場合は、被写体深度が浅くなるので、ピントを合わせる場所を明確にして撮影してみてください。

5 桜を美しく見せるコツ

①花だけではなく幹を入れてあげる

 桜を撮影するとき、どうしても咲いている花に目がいきがちで、花ばかり撮影してしまうものです。もちろん、画角全体に花を撮影することもありますが、落ち着いた雰囲気の桜や、桜の息吹が感じられる写真を使用したい時は、桜の幹を入れて撮影してみましょう。その場合、対角線構図や三分割構図を活用して幹のバランスを取ってください。また、広角レンズや標準レンズのワイド端側で、F値を絞って撮影することで奥行きを出すこともできます。

広角レンズを使って遠近感を出して、巨木感を出しつつ桜の花を撮影しています。この場合は対角線上に幹が入るような構図を探して撮影しましたが、そうすることで幹が伸びてその先にある花の奥行き感につながっています。

②桜を楽しむ人と撮影

 日本で桜を楽しむ花見というものが始まったのは、1200年ほど前の平安時代とも言われています。日本人が四季を感じ、春を楽しむ花として、日本人と共に歴史を歩んできた桜は、人とセットで撮影する写真がやはりしっくりきます。桜を楽しむ方々にお声かけしてみて撮影してみてください。その場合は、人と桜のどちらを主題にするのかで構図が変わってきますので、主題を決めて撮影に臨んでみてください。

やはり桜で楽しむ人を撮影すると春って感じが伝わると思います。春を告げる桜って、人のDNAレベルで身近な花でずっと愛されている花だからこそ、桜と人ってとても合うのでぜひ撮影してみてください。この写真は桜を主題としていて、桜を楽しむ人は副題として桜の魅力が伝わることを考えて撮影しました。
人が入ることで、この桜の大きさや年月を感じることができます。高さのある桜だったので、左半分が入れば問題ないので縦構図で撮影して桜の大きさを表現しています。大きな桜があったらぜひ人と一緒に撮影してみてください。

③前ボケを使って撮影

 桜の花は、ただ撮影するだけでも絵になりますが、望遠レンズを使って桜の花が折り重なるような写真ってとてもきれいで癒されます。普段は、背景をぼかして撮影することは多いかと思います。桜のように前後に折り重なるようなシチュエーションに出会える時は、前ボケも使って撮影してみてください。イメージとしては、背景をぼかす場合は、背景がピンクにきれいに塗られた上に桜の花を描くように感じで、前ボケを使う場合は、モリモリとピンクの花びらから、桜の花を覗くような感じになるので、どっちがいいとかはありませんが、イメージの違いを知って使い分けてください。

桜はたくさんの枝があって望遠で撮影するだけで、綺麗に写って絵になるものですが、背景のボケだけを意識しないで、前ボケも活用しながら撮影してみてください。

④副題とセットで撮影

 撮影場所がわかるように桜と一緒に副題をセットにして撮影するまたは、桜をさらに華やかにする副題を見つけたら一緒に撮影してみてください。東北だと残雪の山々と撮影することが東北らしい桜かな〜と思って、雪山を見つけたらついつい撮影してしまいます笑。桜とセットで撮りたい副題として菜の花もよくみられるシチュエーションだと思いますので、まちの中を巡って良さそうな撮影スポットを探してみてください。

桜単体でもとても綺麗なものですが、撮影した場所がわかるようなものとセットで撮影するのは定番かなと思います。こちらは川の堤防に咲く桜のように見えるかと思いますが、背景に蔵王山を入れることで、その地域の人がどこで撮影しているのかすぐにわかると思います。残雪の山と撮影するのは東北の春らしい写真の定番かなと思います。
こちらは土手にちょうど芝桜があったのでそれとともに撮影することでコントラスト豊かな感じの写真になっているかと思います。こういった桜とセットで撮影できるものがあったらそれを入れて撮影してみてください。この写真の場合は、二分割構図で半々になるように合わせながら桜にピントを合わせて撮影しています。
春らしい定番のセットもの菜の花と撮影しています。こういったシチュエーションはきっとまちの何処かにあると思いますので、まちを歩いて場所を知っておくといいのかなと思います。

6 まとめ

 昨年に引き続き、桜の撮影のポイントをお伝えしましたがいかがでしょうか。昨年はどんな状況をねらうのか、設定はどうすべきかみたな感じでしたが、そんな求めているシチュエーションはなかなかないだろうなと思ったので、撮影するパターンやレンズ選び、天気や状況によってうまく撮影できるポイントをお伝えしました。
 これから春本番!ぜひ、今年の桜をきれいに撮影して住民の皆さんに笑顔を届けてください〜。
 では、次回もお楽しみに〜。

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