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言い返した記念

ウマが合わないなぁと思っていた社内関係者と、米国出張中の多くの行程をともにした。
昨年一年間に積み重ねた悔しい経験から学び、傾向を読み取り、あれこれそれと対策を試みてきたことがようやく実を結び始めたのか、ここ数ヶ月は以前より彼女との歩幅が揃ってきたことを感じていた。
相手側も、私の取り扱い方や癖(偏り)を掴み取ってきてくれているように思う。たぶん。

とはいえ、プロジェクトの現場ともなると彼女は目についたことに言いがかりをつけたり、強い言葉で周りを責め立てたりするタイプの人だ、と心の準備をしていた。(人間、学ぶものよ。)

そして5ヶ月ぶりの再会。出張中、予想に違わずそのような場面が何度かあったが、以前の私ほど呆気にとらわれず、適度に受け流し、彼女の真に言いたいことを汲み取りながら、その場が丸く収まるよう振る舞っていた。

私と彼女の関係を理解している上司からも、「いい感じだね」などとコメントをもらった、日程も半ばに差し掛かったころ。
来年の活動計画に基づき、外部団体と仮契約を進めようという場で、社内の一部組織との合意が取れていないことに気が付いた。それを、彼女は私に「なぜ確認していないんだ」と強い語調で問いただした。

プロジェクトマネジャーとして、漏れなく社内合意が取れているか私が事前確認しておくべきだったかもしれない。しかし、来年の仮契約内容に関して各組織の予算と計画を聞き取り、要望としてとりまとめる、と事前に宣言していたのは他でもない、彼女である。むしろ私は首を突っ込むなと抑止されていたので、すっかり任せていた。もうびっくりだよ。

5ヶ月前の私なら、「はい、私の確認漏れです。すみません」と言って引き下がっていただろう。外部団体の担当者もいる場面、内輪のミスコミュニケーションは見せたくない。
しかし今回は、言い返した!
「あなたも確認していなかったじゃない!」と。彼女の刺すような言葉と視線に負けずに、言い返した〜!

彼女は、鳩が豆鉄砲を食らったような顔をして私のことを見た。まさか、彼女自身の確認漏れだとは認識していなかっただろうし、私が言い返すとは毛頭考えていなかったのだろう。第三者から見たら些細なことながら、私にとっては大きな一歩だった。

結局その場は、実績に基づいて仮契約をすることで収まった。その後すぐさま、彼女は私の上司をつかまえ、「どういうことだ」と個別にクレームしたらしい。
それより先に、上司に、「彼女が自ら取りまとめると言ったから私は介入していなかった」と耳打ちしていたことで、上司は私を擁護してくれた。(こういうの大事だなぁとつくづく痛感する。)私が言い返したとき、上司も「Huraaay!!」と心のなかでガッツポーズしていたらしい。

腹の虫が収まらないのか、彼女は私に、「自分の担当はここまでだ。あのチームは本来あなたの責任だ。」などと後付の理由でダメ押ししてきたが、私はもう意にも介さず「そうだね、次はちゃんと確認する」と軽く受け流すことができた。
何しろ、会心の一撃を返すことができて嬉しかったからね。


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