見出し画像

【建築・インテリアを考える前に読むブログ】第2回 デザインが決まる瞬間(後半)


第2回は「デザインが決まる瞬間(後半)」について書いていきます。

第1回ではクライアントとの対話の中で探し当てる本当に望んでいることについて書きました。
今回はそこで見つけたものをデザインに落とし込む”プロセス”について書いていきます。

デザインの決め方は
これまでの経験であったり、閃きであったり、ロジカルに組み立てたりと色々で
「こうすればデザインが生まれる」というセオリーはありません。

デザインが閃く瞬間を逃さない

どんなデザインにしようかというイメージは、
クライアントとの対話の中で自然と浮かんでくることもあれば、
そうじゃない場合も当然あります。
クライアントの話す内容やその雰囲気からすぐに湧きあがれば良いのですが、
今回は、何も湧き上がってこない時はどうやってデザインが決まっていくのかについて掘り下げていきます。


私の場合、一番閃く瞬間が多いのはシャワーを浴びている時で、
その次は眠りに落ちる前の意識が朦朧としている時です。
共通してリラックスしている状態にある時にパラパラといろんな要素が浮かんできます。

クライアントから引き出した言葉や情報をもとに、私のこれまでの経験からくる直感がピタリと全て繋がる瞬間に最高のデザインが生まれます。

逆に、デザインを考えるために机に向かっているような追い込まれている時はデザインが浮かびにくい傾向にあります。

特にまだまだ経験が浅かった頃は、
ひたすらデザインのことばかりを考え、
中々デザインが思いつかず焦り始め、
そうなると更に浮かはまないというループに陥ることがありました。

焦った結果なんとか捻り出したものはやっぱり腑に落ちない部分があり、
ズルズルと時間を要することもありました。


浮かばない時にいくら考えてもいいデザインは浮かばない

デザイナーの方は経験上わかる方もいると思います。

でもだからとい言って考えないようにするのはとても難しいことです。
「今はやめておこう」と思っていても気付けばそのことばかり考えてしまいますし、
期日があるものを放置しておくということはとても勇気のいることです。

考えては焦り、離れようとしては失敗する、そんな経験を繰り返しながら、
日々の思考を見直したり行動を変えてみたりと試行錯誤しながら
少しずつ期が熟するまで待つことを実践できるようになっていきました。

また、以前は思い付いても実現できるか不安で図面をひくまで安心できず、
その場で図面を書き始めることもよくありましたが、
今ではデザインが浮かぶ時は同時に完成までの道筋までが全てイメージで見えるようになり、
その場ではデザインのキーとなるフレーズをメモしておくだけで翌日以降デザインをしっかりと書き起こせるようになりました。

これも何度も繰り返し経験を積んでいった結果だと思います。

そして、それは捻り出して辻褄を合わせたデザインよりも断然説得力があり、
自信を持ってクライアントに見せることができるデザインだと言えます。

先ずは思いをデザインし、伝える

デザインを決定する際に心がけていることとして、
私はかなり早い段階でそのデザインをパースに起こし、
クライアントに見てもらうようにしています。

一般的には初回プレゼンはプランやゾーニングの説明が主で、
何回かの打合せを経てようやくパースを見ることができるのではないでしょうか。
設計を依頼したことのある方の中には経験した方もいらっしゃると思います。

私は初回のプレゼンでパースを見て頂く場合がほとんどです。

<前半>で述べたように、本当に見せたいもの、本当にやりたいことを理解しているからこそ、まずクライアントに伝えるのは

前回の打ち合わせで聞いた「何が不満で、今後何がしたくて、どういう空間に見せたいか」という問いに対して私が考え視覚化(デザイン)したもの

であるべきだと思っています。

先ずは思いをデザインして視覚的に伝える
そのためにパースを早期に作成し、見てもらうのです。

コンセプトとも言えるデザインが早い段階で視覚化され、
そのデザインがクライアントの想像以上のものであれば、
その先の設計はとてもスムーズなものになります。

「やりたかったことはこれだった」
「まさかこんな解決策があるなんて思いもしなかった」

こういう言葉をよくいただけるのは
自信を持って生み出したデザインをまず見てもらうことができるからだと思います。

私にとってデザインが決まる瞬間とは

イメージと対話の中で見えてくる道筋を早期に可視化し、クライアントに見ていただいた瞬間です。

これはやはり深く話し合い、信頼関係を気付けているからこそなし得ることなのだと思います。


#建築デザイン #インテリアコーディネート


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?