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「それでもわかって欲しい」という態度を忘れないようにしたい

服、音楽、映画、本。など。
文化を愛する人たちが楽しみ、大きな影響を受けてきたものたちが今ではみんな「オワコン」扱いされ、稼げないうえに労働環境も悪いとしばしばニュースにも取り上げられてしまう現代。以前だったらロックバンドを組んで世界を変えようとしていたような若者たちはこぞってエンジニアになり、アプリで(実際に)世界を変えようとしているのも音楽が夢を叶える存在ではなかったことを証明するよう。


それらを販売するセレクトショップやレコードショップ、レンタルビデオ店に本屋。など。
特にそれらを扱う小売店はD2Cが当たり前になって誰でも欲しいものを手に入れられる現代に「審美眼」や「セレクトの妙」を売りにするのは時代錯誤と言われても仕方ないでしょう。
なんならその店で”選ばれている”ことだけを確認して、その店で売られている価格より安く買えるネットショップやフリマアプリで購入する人は多いと思いますし、それを防ぐのは買い手の良心だけです。
そんな状況で売上が上がるはずもないし、そこに携わる人の給料も増えない。それでも働く人がいるのは皆その業界に夢と希望を持って足を踏み入れたから。

「好きなことをしているんだから給料は安くて当然」「衰退している業界なんだから売れなくて当然」「興味のない人にはわかってもらえないもの」。そういう気持ちと折り合いをつけながら「それでも!」という人がその業界を支えてるんだと思います。

そして、「それでも!」と思うことの大切さを最近強く感じます。以前とは比べものにならないほど娯楽は増え、人の価値観も多様化して誰もが知っている共通の話題がなくなりました。そうして広く浅い趣味の世界を牛丼のように”早い、安い、すぐに美味い(楽しい)”コンテンツを少数の大きい企業がまとめて抱えていく。時間がかかり、お金がかかり、楽しくなるまで耐えて続けないといけない娯楽はこれからもう受け入れられることはないかもしれません。

それでも、冒頭のような文化を殺してしまいたくはないのです。時間のかかる娯楽はその分人の心を豊かにしてくれること、それを知っている人はあきらめずにその魅力を発信するべきだと思います。うっとうしいほどにしつこく、楽しそうに、ビギナーに優しく。ひとりひとりと会話をしながらその魅力を伝え、広げていく人が衰退していく業界には必要なんだと思います。

「その業界はもう終わった」なんていう周囲の声は聞き飽きた。そんなことはその業界の中にいる人の方が痛いほどわかってる。「それでもわかって欲しい」から、今日も空振りの発信を続けていくのです。
この文章を読んでくれているような方にもきっと好きな娯楽や大切にしている趣味があると思います。もちろん僕もその一人。自分だけ楽しめればいい、自分とその周りだけでも、とあきらめてしまわず、好きなことの魅力を発信し続けていきましょうね。


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