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簡単に紅天女になる方法

孫がギャン泣きしている。おばあちゃんの迫真?の演技で悲しくなってしまったらしい。

夜の10時になっても寝ない2歳の孫がチューリップの歌まで歌い出してしまった。今保育園で流行っているらしいと娘もあきらめ顔。
ここは昔取った杵柄、おばあちゃんの出番よね。寝かせ付けなら任せて!とばかりにチューリップさんがねんねする寸劇をやってみたら・・・。

「チューリップさんの花びらがそーっと閉じていきます」
両手をそっと合わせていく。

「チューリップさんが眠くなってねんねしました」
合わせた両手を顔の横に添えて首をかしげてみた。なりきるのよ!私は女優!

「明日また遊ぼうね~バイバイ」

おばあちゃんが変なことをやってる、とじっと見ていた孫が突然泣き出した。チューリップさんがねんねしてバイバイしてしまったことで寂しくなったらしい。

泣くほど感動するとは私の「演技」も捨てた物じゃないわね、と思ったら娘から冷たい視線が。ごめんね、孫を泣かせた極悪おばあちゃんは私です・・。

それにしてもチューリップになりきれるなんて、あの「紅天女」レベルではないだろうか?さすが「ガラスの仮面」の初連載からリアルタイムで読んでいたので魂にすり込まれてしまったのかもしれない(自画自賛)

紅天女とは美内すずえ先生の名作「ガラスの仮面」に出てくる劇中劇だ。40巻あたりまで詳しい内容を小出しにして、何だかすごい劇らしいぞ感を醸し出していた。
なんと漫画も完結していないのに、2020年にスーパーオペラ 歌劇「紅天女」になったくらいの伝説?の劇なのだ。

紅天女は紅梅の精で、戦乱の世を舞台に人間の男との恋愛もあり、月影先生の指導でも「梅の木になりなさい」と無茶振りするシーンもある。
小学校の学芸会で主役のニワトリ役に抜擢された華々しい芸歴もあるワタシ。チューリップの精になりきるくらい朝飯前だ。最近80代母にも熊の物真似が好評だったし・・・。

娘が言うには、孫はきらきら星のアニメーションでも泣くらしい。
お空に星の親子がいて、子供星だけ地上に落ちてしまうのだが、それを子供達が一生懸命お空に帰してあげるシチュエーションで悲しくなるのだそうだ。

見せてもらったが、星の子供をなんとかして空の両親星の元に帰してあげようとする子供達の姿が感動的で、それをハラハラしながら見守る両親星も可愛い。最後にお空に帰れて両親星に抱っこされるとほっこりする良質なアニメだと思うのに、お別れバイバイがダメなの・・?

保育園で作ったチューリップさんうちわを握りしめて泣く2歳期のあまりの感受性の鋭さにびっくりするが、80代母の子供返りの感性も一緒なのかもしれない。

子供心を持った観客がいれば誰でも簡単に紅天女名女優になれる。
心が汚れた大人は梅酒でも飲みながら「おそろしい子!」とつぶやくしかないようだ・・。



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