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成功するアンティークコイン投資・国の知識を深めよう!「スペイン編①」

みなさんごきげんよう、アンティークコイン投資家の葉山満です。

今回はスペインのコインと歴史を見ていきましょう。大航海時代以外では世界史の表舞台にあまり登場しないので、どんな歴史を持つ国なのか、意外とご存じない方が多いのではないでしょうか?

この記事では、スペインの歴史を軸に、重要な出来事を象徴するコインを紹介していきます。アンティークコインのコレクターや投資家の方は、スペインのコインについての知識も深めていただければと思います。

スペイン王国の誕生まで

現在のスペインのあたりは次々に支配者が変わったため、スペイン王国の成立までは非常に複雑な流れとなっています。

旧石器時代にはネアンデルタール人が住んでいた土地ですが、フェニキア人やギリシア人が入植してきます。紀元前3世紀になるとフェニキア系のカルタゴ人とローマ帝国との間にポエニ戦争が勃発します。カルタゴのハミルカル・バルカはローマ軍に敗れたものの、息子のハンニバルが土地を取返します。しかしローマは第二次・第三次ポエニ戦争に勝利し、スペインに「イタリカ」という都市を作りました。紀元前19年には、スペインはローマの属州となります。

5世紀に入ると西ゴート族が侵入してスペインを征服し、西ゴート王国が成立します。その後はイスラム人のウマイヤ朝が侵攻してきて、イベリア半島の大半を支配することになります。イスラムの支配が長かったため、スペインはイスラム文化の影響を強く受けています。

キリスト教徒がスペインからイスラムを追い出して国土を回復しようとするレコンキスタ(国土回復運動)が起きたのは、9世紀のことです。キリスト教とイスラム教のスペインでの対立は1492年まで続きます。この年にようやくカトリック教徒が完全勝利し、レコンキスタが完了。カスティリャ王国とアラゴン王国が統一され、スペイン王国が誕生しました。
(画像:カトリック両王)

カトリック両王

ムワッヒド朝の正方形銀貨

イスラムがスペインを支配していた頃には既に、金属貨幣が流通していました。イスラムと一口に言ってもさまざまな国が建国されたため、コインも種類が豊富です。(画像:ムワッヒド朝の正方形銀貨)

ムワッヒド朝の正方形銀貨

その中でも珍しいのが、正方形の形をした銀貨です。1147年~1270年にあったムワッヒド朝(アルモハード朝)で流通したコインです。ムワッヒド朝は、北アフリカとイベリア半島南部の現在のアンダルシア州と同じあたりを支配していました。

銀貨の単位はディルハムで、イスラム帝国で使われていました。正方形銀貨は四辺が1センチ強という小さなサイズです。

正方形の形をしたコインは世界を見渡しても例が少なく、非常に興味深い作例ですよね。

日本の場合、明治以降の硬貨はすべて円形となっており、大量生産する上で都合が良いことや、角が無いため摩擦が少なく、入れ物を傷めないことなどの理由が挙げられます。他国でも似たような理由で円形のコインが多くなっていると推測されるので、ムワッヒド朝の正方形銀貨の珍しさがよく分かります。

カスティーリャ王国の2エクセレンテ金貨

1476年~1516年に発行された2エクセレンテ金貨は、スペイン王国誕生の重要な歴史を反映するコインです。カスティリャ王国のセビリアで作られたこのコインの表面には、フェルナンド5世とイサべル1世が向かい合った横顔が刻まれています。裏面には、スペイン王家の紋章がデザインされています。

2エクセレンテ金貨

フェルナンド5世はアラゴン王国の国王で、イサべル1世はカスティリャ王国の女王です。2人が結婚したことで両国は事実上統合され、1492年にスペイン王国が誕生しました。後述するように、同年にコロンブスが新大陸を発見します。この2エクセレンテ金貨は、スペインの始まりと繁栄を象徴する重要なコインだと言えるでしょう。

数十万円で取引されており、スペインのコインを集めるならコレクションを検討したいコインです。

大航海時代

大航海時代

中世のヨーロッパでは、進んだ科学技術を持っていたのはキリスト教圏ではなくイスラム世界でした。イスラムの支配を受けていたスペインやポルトガルには彼らの技術があったため、他国より進んだ技術を用いることができ、大航海時代に繁栄したという背景があります。

コロンブスが1492年に新大陸を発見し、大航海時代が幕開けとなりました。ポルトガルも同時に航海に乗り出し、トルデシリャス条約に署名して世界を2つに分け、教皇子午線から東はポルトガル、西はスペインのものとして支配領域を分割しました。

スペインはメキシコや南米へも支配を広げ、そこで大量の金や銀を採掘しました。スペインはヨーロッパの大金持ちとなり、栄華を極めていきます。

ハプスブルク家による支配と太陽の沈まぬ国

ハプスブルク家による支配と太陽の沈まぬ国

結婚してスペインを統合させたアラゴンのフェルナンドとカスティリャのイザベルの間には男子が生まれず、娘のファナは神聖ローマ皇帝でハプスブルク家のフィリップ(スペイン名はフェリペ)と結婚しました。その子であるカルロス(カール5世)がスペイン王位を継承し、カルロス1世(カール5世)として即位します。これにより、ハプスブルク家がオーストリアとスペインを統治する強大なハプスブルク帝国が誕生しました。
(画像:カルロス1世(カール5世))

カルロス1世(スペイン)

カルロス1世の死後、その子であるフェリペ2世が王位を継承します。フェリペ2世時代がスペインの最盛期で、「太陽の沈まぬ国」とまで呼ばれるほど繁栄しました。父から相続したスペイン、ネーデルラント、ナポリなどヨーロッパだけでなく、アメリカ大陸やフィリピンも支配していました。さらに1580年にポルトガル王家が断絶した後に併合し、自らフェリペ1世としてポルトガル王に即位しました。ポルトガルを併合したことによってイベリア半島を統一し、海外にも領地を獲得し、「太陽の沈まぬ国」となりました。
(画像:ポルトガル王に即位したフェリペ1世)

フェリペ2世

しかし、1588年にネーデルラント独立戦争が始まります。ネーデルラントを支援したイギリスに対し無敵艦隊を派遣したものの、イギリス海軍に敗れ、スペインの全盛期は終焉を迎えました。スペインは商工業の中心であったネーデルラントを失ったこともあり、経済的にも失速していきます。

カルロス1世時代のエスクード金貨

カルロス1世時代の1516~1556年に発行されたエスクード金貨は、表面には盾が、裏面には十字の紋章があしらわれており、王の肖像などではありません。直径は3センチ程度ですが、綺麗な円形ではなく縁はガタガタしているものが多いです。デザインにも精密さは無く、同時代の他国のコインと比べてもかなり簡素な方でしょう。

エスクード金貨

このタイプのコインは「コブ・マネー」と呼ばれているもので、金を棒状にして輪切りにすることで作っていました。1つ1つのコインの重量を一定にすることが優先され、デザインはある意味どうでも良かった、と言えます。よって、簡素なデザインで形もいびつですが、これでOKといった感じだったのでしょう。

当時のスペインはアメリカ大陸などから大量の金銀を仕入れていたので、それをすぐに貨幣として使えるようにする必要がありました。そのため、デザインへのこだわりは後回しで、コインとして最低限使える状態にすることに重点が置かれたのだと考えられます。

デザインの美しさで人気があるイギリスのコインと比べると、美術的価値は低いと言わざるを得ません。とはいえ、スペイン全盛の歴史を象徴するコインであることは確かで、数十万円くらいで取引されることが多いです。

フェリペ2世時代のレアル銀貨

フェリペ2世時代にも、上記と同じエスクード金貨が発行されています。デザインの簡素っぷりも変わらず、急いでコインを作っていたのだなと感じます。

レアル銀貨

1556~1598年にはレアル銀貨も発行されていたので、こちらを見ていきましょう。とはいっても、表面は盾の紋章、裏面は十字の紋章が刻まれており、エスクード金貨と似たようなデザインです。こちらも「コブ・マネー」で、急いで作られたことが窺えます。

多角形のように縁がカクカクしているコインもあるのですが、これは一定の重量を超えるコインができてしまった場合、縁を切り落としたからだそうです。なかなか大雑把に作られており、几帳面な人にとっては衝撃的ではないでしょうか。

当然ながら、表面の摩耗や黒ずみが少なく、また形は円形に近い方が価格は上がりやすいです。

次回は三十年戦争以降おスペインについてお伝えします。

みなさんにアンティークコインで幸あれ!

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