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現地で見るのはやっぱり違った――フレスコボール日本代表、長田・橋詰ペアインタビュー【前編】

2017年12月に行われたフレスコボールブラジル大会。長田涼・橋詰友人ペアは一般(アマチュア)カテゴリーで持ち前の安定したラリーを見せ、今回出場した日本人ペアの中でトップ6位という成績を残しました。

2017年1月のスポーツイベントでフレスコボール体験会を開いていた長田選手と、そこに遊びに来た橋詰選手。その場で軽くラリーをしてみた2人は、直感的に「合う」と感じてペアを結成。

ペア歴は1年にも満たない2人(2017年12月時点)ですが、日本開催のお台場カップとジャパンオープンでは、ともに総合2位入賞を果たしています。

彼らがブラジル遠征を経て感じた、ブラジルと日本のフレスコボールの違いとは?そして、ハイレベルな現地の選手たちを見たからこそ、自分たちに感じた可能性とは?日本代表ロングインタビュー、前編です。

フレスコボールが文化として根付いている

長田涼選手(左)と橋詰友人選手(右)

— まず、ブラジルと日本のフレスコボールは何が違いましたか?

長田 環境が違うのを強く感じました。もともとブラジルはビーチ文化が発展していて、たとえば常設のビーチサッカーコート、ビーチバレーコート、ビーチテニスコートがあったり、もちろんフレスコボールも。そこに毎日誰かしら人が集まって活動していて。

フレスコボールだけでもコミュニティがたくさんありました。僕らはそのコミュニティを転々としながら、いろんなところでフレスコボールができて、朝8時から夕方までずっと打っているような毎日でした。

橋詰 ビーチがすごく長いから、どこからでもビーチに出られる環境が日本とは違うなと。地域全体的にビーチがあるから、だいたいの人はフレスコボールを知っているし、僕たちがフレスコボールの服やグッズを身につけていると、街中で「play frescobol?」って聞かれたりとか。やっぱりそれだけ根付いているんだなと思いました。

— 環境面の違いはやっぱり大きいですよね。

長田 できる場所が整えられていて、スクールの形で教えてくれるプロの方もいます。そうやってビジネス面でも、少しずつ可能性を見出していて。あとはスーパーに行っても普通にレジャー用のフレスコボールラケットが売っていたり、文化になっているというのは感じました。

一番の違いは、「正確性」

— 実際に、現地のいろいろな選手と練習したと思いますが、レベルなどはどう感じましたか?

橋詰 僕は行く前に「アタックがすごい」という先入観を持っていて、もちろんそれもそうだけど、それよりディフェンスがすごかったですね。ディフェンスが正確だからとにかくアタックを打つ方も楽です。

— ブラジルの人はスピードもかなり速いですよね。

橋詰 スピードもコントロールしていました。全部を速く返すんじゃなくて、いなすところはいなす。スピードは速いけど、正確で、ちょっと逸れたところに打っても同じところに返ってくるんですね。僕はディフェンスが得意ではないだけに、それがとても大きく感じました。

— 長田選手はどうですか?

長田 正確性はすごいです。アタックも全部同じところに来るし。

— 動画で見ると粗っぽく見えるんですが、実は正確なんですね。

長田 フォームはすごく大きいし、スイングは半端ないんですけど、ボールはほぼ同じところに来ています。あと、テンポも速くて、ジャパンオープンで優勝した倉茂・五十嵐ペアより速いのが当たり前でした。

橋詰 あと、落とさない。上の選手になればなるほど本当に落としてなくて。

長田 それはありましたね。世界一のマルセロ選手と一緒に打ったときに言われたのは、「お前ら落としすぎなんだ、最低でも30秒は当たり前に続けろ」って。彼と打ったのは衝撃でした。「どんどん打ってこい」って言って、本当に何でも取るんですよ。あれはやばかったですね。

僕、日本にいるときは、テイクバックを大きめにしていたんですけど、テンポが速いからそれじゃ間に合わなくて。このままじゃまずいと思って、フォームを変えました。「このテンポじゃないと勝てないんだ」と教わりましたね。

いろんなタイプの選手がいて、正解がない

— 日本だと2人はトップレベルですが、さらに上の選手を見ることで刺激も大きかったんじゃないでしょうか。

長田 そうですね。模範となる人は多かったです。たとえば、僕はフォアでディフェンスもアタックもするんですけど、そういう人は日本にはいなかった。でも向こうだとそういうタイプの人も結構いて、参考になるところがいっぱいありました。

橋詰 いろんなプレースタイルの選手がいて、それがおもしろかったですね。同じフォアフォア(両者ともフォアハンドでラリーすること)でも、その人によって打ち方は全然違う。正解がないってこういうことなんだなとわかった気がします。

— 正解がないから、自分の形を突き詰めていける。

橋詰 そう。こうしなきゃいけないというのはなくて、いろんなことを自分で試して合うものが見つかったらそれでいい。やっぱり日本にいて動画で見るのと、生で見て、その人と打ってみるのとでは全然見え方が違って。それが一番行った価値があると思ったところでした。

— 女性選手でもものすごいアタックを打ちますよね。

長田 やばかったっす。マジで。

橋詰 でも、動画だとパワーでねじ込んでいるように見えるアタックもディフェンスも、やっぱりみんなすごく細かい技術を持っていて、ラリーの中で使っているのがわかって、それが衝撃的でした。

自分たちの立ち位置がわかって、目標がぐっとリアルになった

— ブラジルに行って自信が持てた部分はありましたか。

長田 はい。現地の人はみんな半端なく上手かったんですけど、打ち方や戦術を試行錯誤して、テンポも上がったし、ミスの回数も減ってきて。だんだん手ごたえを掴んできた中での大会でした。

結果としては6位で(※日本人トップの成績)。5位からが入賞なので一歩及ばなかったんですけど、5位とも僅差。あと3球ぐらいアタックすれば変わったんじゃないかというレベルでした。

〇大会でのラリーの様子はこちらから

そこまで行けたのは驚きでしたし、その事実が自信につながったというか。この練習をあと1年やって来年出たら、入賞はできるだろうって。まず入賞を目指して、その次は優勝、そうすればあとはプロへの階段も上れるんじゃないかと。その階段が見えた感じでした。

橋詰 いい意味で目が肥えて、日本だけじゃなく、世界の中での自分たちの立ち位置というか、レベル感がわかりました。僕は大会で結果が出せたからっていうよりは、それを知れたことで自信になりましたね。目標とするところがぐっと広がって、それが良かったなと。

— 自分たちがブラジルに行って、一番変わったと思うところはどこですか?

橋詰 僕は、また下から這い上がっていく意識に戻れたことですかね。上の位置からさらに上に行こうとするのと、下から上に行こうとするのは全然違って、まだまだ全然やることはあるなって。

長田 僕も似ていますね。まだまだ全然満足してはいけないなっていうマインドもそうだし、より可能性を感じたということもあります。「ブラジルで優勝しよう」っていう気持ちに現実味があるというか。それまでは、「優勝したい」って言っても、そんなにリアルじゃなかったんです。でも今は、これをやればあそこまでいけるんだっていうのが見えたので、それが一番変われたことですね。

後編に続く———


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