見入ってしまうパフォーマンスがしたい――フレスコボール日本代表、長田・橋詰ペアインタビュー【後編】
2017年12月に行われたフレスコボールブラジル大会で日本人トップの6位に入った長田涼・橋詰友人ペア。
大会での雰囲気や、練習後に飲んだビールの話、これから日本で普及を進めるために必要と感じたことなどを語ってもらいました。日本代表ロングインタビュー、後編です。
※前編はこちら
一緒に練習することで生まれた「仲間意識」
— ブラジルの言葉(ポルトガル語)はほとんどわからないわけですよね?どうやってコミュニケーションをとっていたんですか?
長田 言葉はわからないですね。だからジェスチャーです、向こうも。「ここだ!ここに打て!」っていう感じで。
橋詰 窪島さん(※日本フレスコボール協会会長)がちょっと通訳してくれたり、単語を教えてくれたり。でも、もうなんとなく…(笑)。あと、向こうの選手が結構数字で書いてくれたりしました。30秒とか、落球数の話とか、ノートを出してきて。
— 長田選手は2016年にイタリアの世界大会にも出場していますが、その時とは何が違いましたか?
長田 大会の規模も全然違って、イタリアの時よりは女子選手が盛んにやっていてレベルも高かったです。あと、イタリアの時もコミュニティ感を感じたけど、それ以上のつながりを感じました。
イタリアの時は周りの選手がみんな応援してくれたんですけど、ブラジルではそれ以上に、アドバイスをくれるんですね。「お前もっとバックアタック打て」とか。
すごい近くでポルトガル語で言われて、「何言ってんだ、こいつ」ってなりましたけど(笑)。ジェスチャーを読み取って、「ああ、バックね」みたいな。あとは水を持ってきてくれたり。
— もともとの知り合いではないのに、本当の仲間みたいですね。
長田 ほんと仲間みたいで。最初は日本人が珍しくて、「よく来たな」みたいな感じだったけど、一緒に練習することによって仲間意識が出てきて。終わった後もみんな「いいプレーだったよ」みたいなことをたぶん言ってるんだろうなってわかって。そういう部分は、イタリアより濃いものを感じました。
演出面では日本の良さも感じた
— 大会の雰囲気はどうでしたか?
長田 大会の雰囲気はイタリアより全然いい。
橋詰 演出面とかで言うと日本の方が盛り上がっています。ちゃんとやってるというか。日本だとみんな大会のために来て、ずっとそこにいるけど、ブラジルの場合は、自分のタイミングだけ。時間が決まっているから、その時だけ来て、終わったらちょっと離れて、みたいな。もちろんずっと見てる人もいるけど。BGMとかもないし。
長田 唯一すごいなと思ったのが、モニターがあって、そこにアタック数や残り時間など全部の点数が出ているんです。だからボールを落としたタイミングでそれを見て、アタック数とかをすぐ調整できます。まあ、すごい小さなモニターなんですけど。
橋詰 暑くて故障するしね(笑)。
長田 運営としては、日本の方がちゃんとしています(笑)。
橋詰 逆にブラジルの運営でも学ぶことはあって。全部の試合にMCをつけなくてもいいんじゃないかとか。そうすればもっと組数多く呼べる可能性が出てくるかもなって。もっと競技人数増えてきたら、予選はどんどんこなして、決勝だけはきちんとやるとかでもいいですね。
— フレスコボール以外で、印象に残ったことはありましたか?
橋詰 なんだろう、ビール?(笑)
長田 ビーチ沿いに、サクッと飲める簡易バーみたいなのがあって、そこでセルベージャというビールを飲んだのが最高すぎました。キンキンに冷えていて、味は薄目でアルコール度数も低いので、もう、瞬間で飲んじゃうっていう。
橋詰 回りにくいよね、日本のビールより。
長田 そうですね。あれはやばかった。練習後にビーチを見ながら、みんなで「くぁぁぁ!!」って(笑)。
まず競技レベルを上げる。そこから普及が進むんじゃないか
— ブラジルに行って、日本の人に伝えたい、これからやっていきたいと思ったことは?
橋詰 個人的には、やっぱり競技としてレベルを上げていくこと。競技レベルを上げて、いかに見る人に楽しんでもらえるかっていうところじゃないかなと感じていて。もっとレベルアップして、見て楽しくなるレベルにならなきゃと。
日本の場合は、まだフレスコボールが根付いていない。最終的にはそこに向かうために、自分がブラジルに行って感じた、言葉もわからない人たちと打った時の楽しさというのを、伝えられたらいいですね。国籍も関係ない、その枠を超えた楽しさというか。難しいですけど。
長田 僕は、はじめフレスコボールの競技以外の面にも惹かれていました。コミュニティ力が強かったり、ファッション性が高かったり、他のスポーツとの違いがすごくあって。それをもっともっと打ち出していきたいと、日本にいる間思っていたんです。
でも、実際ブラジルの競技大会に出て、いろんな選手を目の当たりにすると、競技面をもっともっと強化しないと、いくらプラスαの要素を作っても根付かないと感じました。そういう意味で、レベルアップはもちろんそうだし、「そこをめざして戦う」っていう、目標になるフィールドを作ることが大事だなって。
— 野球でいう甲子園みたいな?
長田 そう。そう考えると競技面をもっと強化する必要があるかな。競技人数を増やすことと競技レベルの向上。その普及プランで行くべきじゃないかなってブラジルに行って思いました。
— まず、競技力だと。
橋詰 やったことのない人がおもしろそうって思うのって、競技としてレベルの高いパフォーマンスを見ることなんだなって思ったんですね。
長田 自然と僕らもそうなっていたし。高いパフォーマンスに見入ってしまう。目が離せないんですよ。スポーツの魅力を伝えるにはやっぱりそれが大事だなって。
実際、お台場とかでも、トップ選手が打っていたら、みんな足が止まって「あれはなんだ?」ってなる。あれがまさにそうで、それが普及につながるんじゃないかと。だから、そういう施策を打っていければとすごく思いました。
橋詰 「知ってもらう」ということが必要だなと思います。やってもらうのはまだハードルが高いかもしれないけど、とにかくフレスコボールを日本で知ってもらうこと。それを実現するために、僕らはしっかりレベルを上げて、おもしろいパフォーマンスができるというのを示していくことが大事なのかな。
〇長田橋詰ペアのブラジル大会でのラリーはこちら
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