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やばい日本史はまだまだ続く?名もなき庶民のサバイバル

先日、京都のとある博物館を訪れました。そのミュージアムショップで「やばい日本史」という書籍を見つけ、つい衝動買いしてしまいました。

漫画のようなイラストに溢れていて読みやすそうだったのと、そのタイトルからして学校教科書では教えない日本史の裏の部分を知ることができそうで、非常に興味をそそられたからでした。

おそらくは、児童向けに書かれたこの本。数時間で読み終えてしまいましたが、そこには多くの発見がありました。言ってみれば、哲学的な悟りのようなものです。人間という生き物について抱いていた幻想を砕かれたような、それでいてこれからの世界を生き抜く心構えを享受して貰ったような、妙に吹っ切れた心境に落ち着きました。

 

まず、「天皇」という存在について。私たち日本人にとって「天皇」は国民の象徴と学校では教えられました。第二次世界大戦が終わる前までは、神のような存在と位置付けられていました。そんな歴史の背景から、やはり高貴な人というイメージを誰もが持っているのではないでしょうか。この書籍の冒頭部分に「古代日本の地方豪族の中で一番喧嘩が強かった者が、後の天皇だった」とあります。この一文でここ最近モヤモヤしていた気持ちが腑に落ちました。

 

時の流れが始まりの状況を徐々に洗練して行ったり、整えて行ったりするので、現存する形を見ただけではその始まりを想像することすら難しくなってしまうのですが、結局人がすることや考えることはシンプルで、数千年前と大して変わり映えしないということです。強い者が偉くなり、弱い者は負けていく。時に残酷に負けていくのです。今でこそ、正義とか平等などという概念が実在しそうな錯覚に陥っていますが、これらはあくまでも希望であって、実際はそうでもないことに最近みんなが気づき始めているのではないでしょうか。

 

そして、歴史に名を残した人々のほとんどは変人だったということも、この本が教えてくれました。織田信長は中二病を拗らせたような人物だったとか、野口英世は恩師にお金をたかって遊びまくっていたとか、普通という型から外れていた人々が特別なことをしでかしながら“歴史物語”を作っていったのかもしれません。逆を言うなら、私を含め普通の人々は時の向こうに消し去られていくものなのでしょう。

 

国家権力の腐敗や戦争、気候変動や経済危機、ことが大きすぎて個人ではどのように対処すれば良いのか分からない問題が最近は多いように思います。普通の人にできることは限られていますから。私がこの本から悟ったのは、「なるようにしかならない。ただ、この本に出てこない歴史に葬られていった何億、何兆もの人々が今を生きる人々に繋がっている」ということです。DNAを残した名もなき人々、彼らもまた勝者なのだと思います。

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